2012-04-18 Wednesday
尖閣諸島買い取り
 
 中国人船長事件以来、誇りを失った民主党政府の弱腰外交に憤懣やるかたなかったが、4月17日(現地時間16日)ワシントンでの石原都知事発言で溜飲が下った。東京でなくワシントンで発表したのは、いち早く世界に伝わるからだろう、正解である。政府が何も手を打たないからという理由もある。
 
 民主党政府のだらしなさは有名として、いつのころからか定かではないけれど、どの党が政権の座にあっても秀才の外務官僚はひ弱で外圧に弱い。中国人船長事件のさい、最高検に圧力をかけて船長釈放に動いたのは、外圧に弱く内圧に強い内弁慶の外務省ではなかったろうか。
 
 民主党政府の政権担当能力のなさを改めて露呈した石原都知事発言。今回、石原都知事が一部の口の堅い人間にしか伝えていなかったのは正解。息子の伸晃に伝えていたら、訪米前メディに洩れていただろう。彼は口が軽い。
 
 税金で買うのはどうかという意見もある。税金で買わなければ何で買う。税金を使うのが許せないなら募金という方法もある。尖閣諸島のうち3島の所有者は以前より個人には売らないと宣言している。これも正解。
個人は中国の回し者である可能性も高く、回り回って中国に転売される恐れ濃厚。税金でまかなう方法以外に寄付という手もあるではないか。なに、尖閣3島の購入資金など即座に集まるだろう。
 
 中国のご機嫌を損ねはしないかと危惧する人、中国民の反日感情が再燃するのではと心配する人、日中外交の行方に気をもむ人、日中間の経済摩擦に思いをはせる人など、様々な人たちのいることは小生も承知している。
 
 外交は機嫌を損ねるのを恐れているようでは始まらないし、無理難題に屈すると相手はますます増長する。反日感情は集中豪雨、早晩降りやむ。それにしても民主党政府や財界の中国に対する姿勢はどうしたものか。まるで腫れ物にさわるかのようにびくびくしてみっともないことこの上ない。
中国の理不尽な声明に反発もせず、こそこそ隠れるか、ごまかすばかりだ。中国に工場進出している企業は相当数にのぼるとして、中国各市で実権を握っている共産党幹部の頻繁なルール変更に企業は振り回されているという。
 
 これまで多くの人が論評をくり返してきたように、中国の経済力・軍事力が増強し、民主党政府の右往左往と対応のボロボロぶりにつけ込まれた結果がこのありさまであり、議論=言葉だけが頻繁に行き交い、実現に向けての姿勢をあいまいにし、当然のごとく責任を回避し、国の誇り、個人の誇りを置き忘れてきた政府を中国は見逃さない。
 
 外交・防衛において有効な手を打たない政府は、中国からみればまことに御しやすく、鳩菅以来、強硬発言に弱い民主党政府の体質を見透かされている。彼らの迷走がきわだっているだけに中国もやりやすかろう。
日本の領土であるものを日本の領土と言わず、領土問題は存在しないと言う不思議。たしかに領土問題の存在を認めれば中国の思うつぼという一面はある。そこに引きずり込みたい中国政府の罠にはまることは避けねばなるまい。
 
 中国人船長事件直後、尖閣諸島3島の買い取り、もしくは3島のどこかに自衛官、あるいは海上保安官が交替で住むといった政策を政府が打ち出すべきであったのに、施策に一貫性はなく閣内も党内もバラバラ、すべてに出遅れる民主党政府の体質変化は期待できず、彼らが政権を担うのは100年早いというほかない。
 
 対中国の外交防衛政策を転換しなければ日本は沈む。3島買い取りに関する今後の展開に注目したい。それはともかく、十年一日のごとき中国贔屓の朝日新聞、中国の提灯かつぎついでにいっそ本社屋を北京に移転してはどうか。

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