2011-04-20 Wednesday
原発工程表
 
 東京新聞4月18日ネット版は『首相は、東京電力福島第一原発事故を含めた政府対応について「百パーセントとは言わないが、関係者が全力を挙げて対応し、政府も一丸となって取り組んできた。
国民にも一定の評価をいただいている」との見方を示した。そして、首相は自らが指示した結果、東電が17日に原発事故収束に向けた工程表を発表したことを説明。「できるだけ早く実現できるよう、政府として全力を挙げて協力する」と強調した。』と報じている。
 
 4月20日夕方の関西テレビ「スーパーニュースアンカー」青山繁晴氏によると、工程表は米国とNRC(米原子力規制委員会)、フランス原子力庁とアレバ社の合同作成によるもので、日程のみ官邸の指示ということだそうである。
青山繁晴氏の裏付けは念入りになされているから取材は正しいとみて差し支えないだろう。となると、「政府も一丸となって取り組んできた」との声明はまゆつばであり、工程表を発表したのは東電でも、作成したのは米仏諸機関ということになる。
 
 原発開発に一日の長ある米仏にお智恵拝借の状況としても、日本の原発専門家や放射性物質研究者はどこにいるのと訝ってしまう事態である。同盟国・米国とNRCの助力を仰ぐのはOKとして、また、フランス原子力庁も営利団体にはみえないからかまわないとして、問題はアレバ(AREVA)。
 
 アレバは世界最大の原子力産業複合企業であり、傘下に複数の原子力産業企業を持つ。と同時に青森県六ヶ所村にある六カ所再処理工場の核燃料サイクル事業に関する技術協力を一手に引き受けていることでも知られている。
 
 具体的にいうと、六カ所再処理工場は2010年の本格稼働を想定し、アレバ社の下でアクティブ試験(試運転)を行ってきた。試運転は2009年2月終了予定であったにもかかわらず、トラブルが頻発したため工場完成予定は2012年に延期された。完成までの延期は延べ18回に及び、今後さらに延期されることもある。
この間、当初予定されていた建設費用7600億円がことし2月現在で2兆1900億円余りに膨らんだ。予定は予定で、工期も費用も未確定である。
 
 ここからの推定はだれにも容易なことだ。原発工程表は単に予定にすぎず、東北や各地避難先で不安と苦痛、焦燥の日々を送っている方々に安息の日がいつやって来るのかわからない。
アレバのアンヌ・ロベルジョンなる女性CEO(最高経営責任者)はやる気満々。何に対してやる気満々なのかといえばむろんビジネス。民主党政府ほど御しやすく、いいなりになる相手も珍しかろう。原発汚染水処理費用に関する見積もりは処理が優先との理由で後回し。テレビ画面のロベルジョンのにんまり顔が強く印象に残った。日本政府なんかは「カモ、カモ、来々」というわけだ。
 
 請求書が回ってきたとき数字の大きさに菅大僧正、仙谷ヤナギ大明神、枝野権宮司がギョっとして経や祝詞を唱えても後の祭り。汚染水処理の延期もありうる。そうなればその間に費用も膨らむ。要した費用の3〜5%がロベルジョンへの特別賞与となれば彼女ますますやる気満々。
なに、何千億円、何兆円かかっても税金でまかなえばいいと菅仙らは財務省目線で流れてゆくのだろう。果たして大僧正、自分を守りたいのか、日本を守りたいのか。

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