2月17日(日)鳥取目指して・・・

  今日と明日は連休だ。
 昨日は、すごくいいお天気だったのに、今朝はうって変わっての
 曇り空。

  天気予報では一日雨。
 なんててついてないんだろう。
 
  新聞の天気図をながめてみる。
  京都は傘マーク。舞鶴も傘マーク。
 しかし、一カ所だけかろうじて雲のマークが付いているところが
 あった。
  それが鳥取だった。

 
 かくして、私と沙羅は鳥取目指して旅立つ
 ことになった。


  行く前に知り合いの家に寄ったら、
 「コーヒーでも。」という誘いを断れず、 少し遅くなってしまった。

 
京都を出たのは12時だった。

  予定オーバー。 こんなので果たして鳥取まで行けるの
 だろうか?

 
9号線を北上
  福知山を過ぎると、あちこちに雪が残っているのが見えた。
 コンビニに寄って、お昼ごはんの仕入れとトイレ。

  和田山あたりまで行くと、かなり景色が白くなってくる。

  沙羅は雪の匂いがわかるのか、窓を開けると堪りかねたように
 ワンワンうるさく騒ぎ始める。
  あまりうるさいので窓を閉めて、開かないようにロックする。
 そうとは知らない沙羅は、窓を開けようとして一生懸命前足で
 パワーウィンドウのボタンを押し続けた。

  村岡町の手前で、車を脇道へやり、沙羅を田圃で少し遊ばせて
 やる。

  雪の上をうれしそうに走り回って、転げ回って、体中で雪を
 楽しんでいるかのようだ。

  「さあ 行こうか。」と、名残惜しそうな沙羅を車に乗せて、
 Uターンをしようと田圃に続く坂道に車の頭を突っ込んだ。

  ギアをバックに入れ、アクセルを踏み込み、さあ発進。

 
   「あれっ!?」 「動かない。」

  タイヤが空回りしている「ウィーーン」という音が聞こえた。

 
まさか!!??

  そのまさかだった。地面が雪で柔らかくなってタイヤが、グリップ
 しなくなったのだ。

 
「うわっ! どうしよう」

  落ち着いて、落ち着いて・・・・

 
 こんな時は・・・・毛布 そう毛布だ。 
 毛布をタイヤの下にかませるんだ。


  そう思いついて、いつも積んである沙羅専用の毛布をタイヤの
 下に敷いてみる。
  まず、車を前へ少し出して、それからそこへ毛布を敷いて・・・
 ところが毛布はそれ一枚しかない。

  他に敷くものは・・・ えっと・・・
 車に載っている、ありとあらゆるものをタイヤの下に敷いてみた。

  まず、キャンプ用の「銀マット」。

  
うぃーーーんっ! 全然ダメ。 
 あっという間にタイヤに飲み込まれ、後ろに吐き出される。

  続いて、「お風呂マット」(これは、寝るときに下に敷くためのもの
 で、これを敷いて寝るとクッションもよく、すごく暖かいのだ)。

  これも 全くダメだった。 すぐにタイヤの後ろに飛んでいった。

  それから、リヤシートが汚れないようにと掛けていた、防水性の
 カバーを沙羅の足下から取り上げて敷いてみた。

 
だめ だめ だめ。

  その次は、車の足下マット。

  
おおっ! これは少し効果あり。

  左タイヤはうまくグリップしてくれたが、右のタイヤは、
 それまでに地面を深くえぐりすぎていたため、ダメであった。

  「前へ出て、次にバック」を繰り返したため、車はどんどん下へ
 移動していた。

 何もかも泥んこだ。

     
ああ・・・・


  そんな時、 幸運にも
 軽トラックのおじさんが、後ろを通りかかった。

  あわれなぬかるみの女?を見て、
 「家から何か敷くものを持って来たげるから待っとり。」と言って
 農道を戻って行かれた。

  私はそれでもまだ無駄な努力を続けた。

  しかし、続けるほど、状況はますますひどくなっていく。

  すぐにおじさんが、ムシロを持って再び現れ、
 タイヤの前にムシロを敷いてくれた。
  「さあ、まず ここまで前進して。」
 言われるように車を前へ少し出した。
  今度はタイヤの後ろにももう一枚敷く。

  
「さあ 思い切ってバックして。」

  やってみたが、やっぱりズルズルとムシロが滑るばかりだ。
 何回か同じことを繰り返すうちに、タイヤの作る溝が深くなって
 きた。

  今度はおじさん、トラックから長い板を降ろしてきた。 さすが!
 
  タイヤの下にできた溝に板を置いて、さあもう一度。

  私が、ギアをバックに入れて、アクセルを踏むと、おじさんは
 前から私の車を押してくれた。 顔が真っ赤になっている。

  3回くらい繰り返して、やっと車が上へ上がった。

  
「やったああ!!!」

 
ああ よかった  おじさん ありがとう!!

  何度も何度もお礼を言う私に、おじさんは
 「いい いい。 灯油を買いに行くとこやったんや。」
 と言い残して、農道へ消えて行かれた。

            つづく

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