2002.11.8

私の「物欲」について


秋だ。街ゆく人はみんなブーツだ。

ブーツが急に欲しくなった。

前に買ったやつはかかとが高くて、すぐに足が痛くなるし、
やっぱりかかとの低いブーツで・・・
ショートブーツは持ってるから、
今度は膝の下まであるやつ・・・

「欲しいっ!」と、思いついたら、
私の病気が始まる。

こんな・こんな・こういうやつ・・・・


頭の中で思い描いて、街に出る。

思った物が見つかるまで、どこまででも何時間でも歩く。

仕事が終わってからジャスコに出かけた。
やはりこの頃は、駐車場があるところをついつい選んでしまう。

靴屋さんに即行!

ぐるっと見回し、膝丈くらいのブーツで、
かかとが低いのを物色。

かわいいのはいっぱいあったけれど、
この頃はみんな合成皮革なんだね

合皮にしては高いじゃん!
12800円だって。

やっぱり靴は、履くほどになじんで、味の出てくる・・・「革」でしょ


もう一軒の靴屋さんを覗く。

あっ!

あった!

革だ!

しかも9800円。
お手ごろ価格だ。


そこでさっそく履いてみる。

うんうん

なかなかいいぞ。

両方履いてみよう。

なるほど・・・

ふと横のブーツに目がとまる。

こっちのは?

履いてみよう

いや

やっぱりさっきのがいい。

色は「黒」と「茶色」があった。

「黒」もいいけど「茶色」もかわいい・・・


どうしよう

うう〜む



「黒」と「茶色」を片方ずつ履いてみて鏡の前に行ってみる。


うう〜ん


どっちにしよう・・・・・


うう〜ん

その場を離れ、またぐるっと回ってそこに帰ってくる。

ここで悩むこと、約20分


店員さんが気になる。
あきれてるだろうなあ

早く決めないと・・・

うう〜ん



家に持っている私の服を思い出してみる。

「黒」に合う服か、「茶色」に合う服か・・・


そこでなぜか

「やっぱりオーソドックスな黒にしよう。」
と、

やっと決心する。

そしてレジでお金を払い、るんるん気分で帰ってくるのだが、


いざ家へ帰って、着たい服を着て買ってきたブーツを履いてみると、
なんか「黒」だと重たい感じがしてしっくり来ない。

やっぱ「茶色」がよかったかなあ・・・




そうなるともう引き返せない。

あくる日にまたジャスコへ出かけることになる。


「茶色」が欲しいんだったら「黒」と交換すればいいようなもんだが、
なぜかできない。

昨日あれだけ悩んでやっと決めた手前、
店員さんの目がとても気になる。

「黒」もそれはそれで、短いスカートの時にはかわいいし・・・

ええ〜いっ!

両方買っちゃえっ!!


どきどきしながら茶色のブーツを手に、レジへ向かう。

よかったあ
昨日のレジの人とは違うみたいだ。


また9800円と消費税を払って、るんるんで帰ってくる。
この時は、多少の罪悪感がつきまとう。

帰ってさっそく「ファッションショー」が執り行われる。



やっとそこで私の心が落ち着く。





でもさあ。

スカートっていつ履くの?

このブーツ・・・いつ履くの?


そういえば去年も悩みの末に買ったショートブーツ・・・
一回履いただけだった。

他にも「一度も履いていない靴」が押入に眠っている。
イメルダ婦人のように、私の靴は増えて行く一方だ。

これは靴に限ったことではないのだが、
洋服に関しては今のところ私の物欲は収まっている。

一通り買ってしまえば自分の好みが固まってきて、
次もまた、同じような物を選んでしまうのに気がついたからだ。

ところが、洋服というのは年とともに似合う物が変わってくる。
とても気に入ったワンピースでも「もう40才なんだ」と思うと
悲しいかな袖を通せなくなってしまう

服が変わると、当然それに合う靴もいるし、カバンも・・・

自慢じゃないが、私はカバンもいっぱい持っている。

一時期は休日の度に買い物ばかりしていたし、
通販地獄に陥ってもいた。


けれど、そんな自分がとても虚しくなる日が
ふとやってくる。

物を買えば買うほど虚しいのだ。


どうして一つの物で満足できないのだろう。

本当に気に入った物が、ひとつだけ・・・

そんなシンプルな暮らしにあこがれる。


どんな格好をしても
「ワークブーツ」と「黒いリュック」。

そんな時期もあったのに・・・


結局「歳を取ると、定番も変わって来る」ということなのか。

好みは全然変らないのに・・・


それにしても、仕事ではGパンか綿パンだし、
休みの日には沙羅とアウトドアだし・・・

スカートを履く時なんてほとんどないのに、
どうしてスカートを夢見るのか・・・

たまにはおしゃれをして、沙羅とおしゃれな街並みを歩いてみたい。

そんな思いが、私のどこかにあるのだろうか



今、黒と茶色のブーツは

寝室の出窓のところに、
仲良く並んで飾られているのである。