2003.3.30

落ち着き


食器棚を買い換えてからというもの、
インテリアにすっかり凝ってしまった私であった。

雑貨屋さんを見つけては、
「シュガーポット」や「ソルトポット」を買ってきたり、
今まで買ったままで使っていた
胡椒や七味などの調味料も
「シンプルな入れ物」に入れ替えたり、
やかんの形の「キッチンタイマー」や
「スパゲッティを入れるポット」・・・

ついでに「シャンプーとリンスのボトル」なんかも買ってきて
メーカーのボトルから入れ替える。

私の家は・・・家にいるときは殆どをキッチンで過ごすので、
正しく言うと私の「キッチン」は
劇的な変化を遂げる・・・ それほどでもないが・・

そして

ここまでキッチンに凝ったら、
やはり、料理もちょっとは、しないことには・・・


そこで、一番シンプルな料理・・・

「スパゲッティ・ペペロンチーノ」
を本格的に作ることを覚えた。

まず、鍋にたっぷりの湯を沸騰させ、
(と言っても小さな鍋しかないのであるが)
出来るだけ味のある塩(「味塩」ではない。「岩塩」がいいらしいが、
私の場合は「赤穂の粗塩」)を入れる。
そして、
スパゲッティを入れ、タイマーをセットする。

スパゲッティがゆであがる時間に合わせて、
「エキストラ・バージン・オリーブオイル」と
ガーリックと鷹の爪をフライパンに入れ、
弱火でじっくりとオイルに香りを移す。

スパゲッティがゆで上がるのを待ちながら、
ここで、ワインなど頂く。

ここがポイント

ほんわりとした気分で楽しく料理ができてしまうのだ。

ガーリックがこんがりときつね色になる頃、
ジリジリジリ・・・とタイマーのレトロな音がする。

スパゲッティをざるに上げ、フライパンで熱したオイルと絡める。


ただこれだけだ。


スパゲッティ・ペペロンチーノ

なんて、簡単でおいしいの。


スパゲッティ・ペペロンチーノ

その上、いかにも「本格的」な感じがするではないか。


これに、菜っぱを入れたり、トマトを入れたりするのも良いし、
サラダなど添えればサイコーだ。


こんなわけで、
休日のお昼ごはんには、
スパゲッティ・ペペロンチーノをつくり、

昼下がりに、日当たりのいい部屋で、
ほろ酔い気分でギターを弾いたりする。

沙羅はスパゲッティのおこぼれにあずかり、
ギターを弾いている私の横で気持ちよさそうに寝る。

陽が傾き掛けた頃に、ベランダに干した布団を取り入れ、
フラリと沙羅と散歩に出かけ、

そして、

晩ご飯を食べて、
お日様の匂いのする布団で、ふくふくと眠りにつくのだ。

なんて幸せなんだろう。


これが、私の最近の休日の過ごし方。


インテリアに凝ったら、
すっかり家にいるのが好きになってしまった。


わざわざ遠くに出かけなくても
こんなに身近に幸せはある。

でも

これって、

世間で言う

「落ち着く」ってこと?


「そろそろ、結婚でもして落ち着きなさい」
って、よくお母さんが息子に言ったりするよね。


私は、ついに

落ち着いてしまったのだろうか?


それとも単なる
「一時的なもの」なのだろうか


そのうち、家にいることに飽きてきて、
また外に飛び出して行きたくなるのだろうか?

果たして・・・?


自分でも興味津々である。



しかし、忘れてはいけない事がある。

私が、ささやかな日常にこんなに幸せを感じられるのも
沙羅がいてくれればこそ なのである。

私が家でくつろいでいるときは、満足そうに傍らで横たわり、
散歩に行こうと支度を始めると、
「待ってました」とばかりに、大喜びでお供してくれる。




本当の「独り暮らし」の時は、
休日、どこへも出かけずに夕方を迎えるのが
我慢できなかった。


「サザエさん症候群」
というのがあるらしい。

日曜日の夕方、
ちょうど、テレビで「サザエさん」が始まる頃、
「淋しくて仕方なくなる症候群」。

買い物に出れば、
やたら家族連れの楽しそうな様子が目に映る。

帰ってくるのはひとりぼっちの部屋。

結婚なんて考えてもいないのに、
そんな時だけ人のことがうらやましくなったものだ。

そんな忘れていた昔のことをふっと思い出した。


今は沙羅が私のベスト・パートナーだ。
(「人間いつか結婚するのが当たり前」と
思っている人達にはつっこみを入れられそうだが・・・)



沙羅がいちばん。



そうすると、沙羅とみやちゃんが私の家族で、
家庭を築いた私はやっぱり

落ち着いたの?