2003.3.30

みやちゃんの気持ち


みやちゃんは生後一ヶ月くらい(たぶん)で、うちにやってきた。
知り合いの家の近くで野良猫として生を受け、捕獲され、
明日保健所に連れて行かれるという時に、
運良くその知り合いに飼主を世話してもらうことになったのだ。

ちょうど私も留守番中の沙羅の遊び相手を捜していたところだったので、
そのネコを引き取ることにしたのであった。

とりあえず、そのころ、私は沙羅に夢中で、
ゴエモンのことなどさらさら眼中になく、みやちゃんにもあまり関心がなかった。

ただ、まだ小さな子猫だったので、離乳食はちゃんとスプーンで与えた。

ゴエモンの幼少時代には、それこそゴエモンしかいなかったので、
いろいろと世話をして、遊んでやって、からかってやって・・・
だから、ゴエモンの考えていることは殆ど理解できたし、
意志の疎通が取れていた。

ゴエモンが沙羅に対して焼き餅を焼いているのも知っていたし、
知っていながら、やっぱり沙羅中心の生活を送ってしまった後生であった。


ところが、みやちゃんというと・・・

考えていることがさっぱりわからない。


私と沙羅が散歩から帰ってくると、近くに寄ってくるでもなく、
向こうの方でゴロゴロと咽を鳴らしながら
シッポをピンと立てて、前足を一生懸命交互に踏みしめて足踏みしている。

これは、子猫が母ネコのお乳が出るようにマッサージする
行動なのだそうだ。

「もしかして私と沙羅が帰ってきて喜んでいるのかな?」

と、私なりに理解する。

私が歯を磨き始めると、なぜかいつも私を見上げて「ニャーニャー」と
何をか訴え始める。

電話で喋っているときも。テーブルに座り、何かしようとしているときも・・・
ひたすら「ニャーニャー」・・・

私がコーヒーを飲もうとしている手に
下から頭をグイグイ押しつけてくるので、コーヒーをこぼしそうになる

これはやっぱり、甘えているのだろうか?
背中を撫でてやると、シッポを立てて私の手から逃れようとする。
「イヤなのかな?」と思っていると
またすり寄ってくる。

「つまり気持ちいいのか?」

そのうち、そのしつこさに少しうんざりして、羽交い締めにして
思い切りお腹やら背中やらそこら中を撫でてやると、
どういう訳か、私の手に噛みついて、ネコキックを始める。

「うーん これは遊んでいるのか?」

そうかと思えば、這々の体で、私の手の中から逃げていく。

「やっぱり イヤなのか?」


みやちゃんが二階に居るときに、私が階段を上がっていくと、
とても驚いたようにシッポをピンと立てて、戦闘態勢をとる。

「かかってくるのか?」と思うと突然、
たたたたっ! ととととっ!と、部屋中走り回る。

「なんだろう?」


沙羅が階段を下りるときは、階段を二段くらい下りたところで、
仰向けになり、階段を下りてくる沙羅を待ち伏せしている。

「遊んでいるのか?」


私が椅子に座っているときは、大抵、食器棚の上にゴロンと
寝そべり、いつ見てもなぜか目が合ってしまう。

「見張っているのか?」


寒くて、ファンヒーターの前に膝掛けをして座れば、
決まってその膝掛けの中に潜り込んでくる。
そして私が少しでも動こうものなら
「にゃー」と迷惑そうに鳴く。

夜寝るときもそうだ。
必ず私の足と足の間に乗ってきて眠る。
寒い夜には布団に潜り込み、私が動くと文句を言う。



こっちから寄っていくと、
まるで野良猫が人間と顔を合わせてしまったように、
まん丸な目でじっと睨み、たたたたっ!と逃げていく。

「私のこと嫌いなの?」


かまわれるのがイヤなのかと思えば、自分からニャーニャーと
寄ってくる。

お腹が減っているのか?と思えば、そうでもない。


理解不可能


そういえば
「ネコは気まぐれ」って、言うよなあ。

世間のネコはみんなこうなのか?

ゴエモンがあまりにも「犬的」なネコであったのだろうか?

ゴエモンはいつも「ゴエモンっ」と呼んだらやってきて、
いつ私が触っても喜んでいて、
座ったら必ず私の膝に乗ってきて、
「こらっ!」と怒れば、ちゃんとその意味を理解していた。


そういえば、ゴエモンも
私が歯を磨き始めたらニャーニャー何か言ってたっけ?
あれは、私がどこかへ出かける合図だと認識して、
「行かないで。どこへも行かないで。」と
鳴いているようだった。

みやちゃんも ひょっとしてそうなのだろうか?

いや みやちゃんに限って・・・・

いや、やっぱり置いて行かれるのは淋しいのだろうか?

私がベランダにいるときも、中からニャーニャー鳴いてるもんなあ

出してやると、隣の家の屋根に飛び移ろうとするから、
あわててひもを付ける。

やっぱり 外に出たいだけなのだろうか?


私とみやちゃんが解り合えるまでには、
まだまだ時間がかかりそうだ。