2003.8.25

お盆休みの過ごし方

お盆休みが近づいてきた。
いつもなら4連休なのだけど、今年は日曜日がくっついているので5連休だ。

なのに、あんまり気分が盛り上がらない。

いつもなら、何をしよう。どこへ行こう。と
爆発しそうにウキウキしているとこなのに・・・

一緒に遊びたい友達とは休みが合わない。
(遊びたくない友達というのは友達ではないけど・・)

沙羅とふたり・・・

平日ならそれでいいんだけど、お盆休みとなると、
どこへ行っても人で埋め尽くされているのは、目に見えている。

こっちも友達連れだと、何とも思わないのだけれど、
沙羅と二人で、家族連れの中にいるのはなんだか落ち着かない。

さびしいとかそういうのではないのだけれど、
なんだかこう、ゆっくり出来ないのだ。


かと言って、5連休に、どこへも行かずに、
家でゴロゴロ過ごしてしまうのも・・・
あとで、虚しくなるのは目に見えている。


そんなわけで、

お盆休みが近づいてきても、憂鬱になるばかりであった。

どこかへ行こうという気が起こらないのは、
歳をとったせいでもあるかもしれない。

なんだか、前と違う自分・・・

そんな自分がさみしくもあった。


お盆休みの前夜。

とりあえず、「これはやりたい」と思うことを
紙に書き出す。

○ギターを弾く
○本を読む
○昼寝をする
○海に行く
○洗面所と床の掃除をする
○キャンプ道具の整理をする

そして、

「めんどうくさいと思わずに丁寧に過ごす。」

と、充実したお盆休みを過ごすためのモットーを書き出す。


この頃何かにつけて
「めんどくさいなあ。」と思ってしまうことが多く、
そう思うともう最後、だらだらと何もせずに
休日が終わってしまうことを身をもって体験しているからだ。



この前見たテレビによると、3年後には人類は滅亡するそうだ。

もし、それが本当だとしたら、私は何をしたいだろうか?

そんなことを考えて、とりあえず、1日、1日を大事に
丁寧に過ごす。
という考えにたどり着いたのである。

そんな思いに至ってからは、

毎日しとしと雨の降る梅雨の日々も、
なんだかもう二度と巡ってこない貴重な日に思えて、
愛しく感じてしまうようになった。



お盆休み第一日目は、
すっごい いいお天気であった。


目標通り、いつもの時間に起きて、散歩に行き、
だらだらと過ごすことなく、部屋の掃除をやってしまった。

きれいになった部屋で過ごすのは気持ちのいいものである。


外が爽やかでいい天気であれば、何をしても気持ちがいい。

午後からは本を読んで、昼寝をして・・・

ソワソワし始めた沙羅を連れて車で出かける。

いつもの河原の公園で、沙羅とのんびり。
向こうの方でドーベルマンがフリスビーのトレーニングを
やっている。

昔の沙羅なら犬と見るとすぐに挨拶に近寄って行ったが、
この頃は知っている犬以外には、近寄らなくなった。

向こうから挨拶に来られてもビクビク臭いを嗅いで、
さっさと避けていく。

沙羅をリードから放したままで、
ベンチに座ってぼーっとする。


その時、なぜかお盆休みだというのに、
仕事の電話が入る。
「お客さんがどうしても15日までに要ると言われるんですが・・・」
営業所からの電話である。
工場が13日から休みだというのを忘れていて、
預かってしまったらしい。


電話の応対をしている間も、沙羅は私のすぐ近くで、
ゴロゴロと芝生に背中をこすりつけていた。


反対側にベンちゃんとレイちゃんがやってくるのが見えた。

「沙羅べんちゃんや。 いこか。」

と言って歩き始めると、沙羅も私に従って歩き始めた。


う〜ん

すごい。


沙羅も大人になったもんだ。


ベンちゃん達と合流して、河原の公園を一周する。
おかあさん達とおしゃべりをしながら、歩くのはとても楽しい。


あれっ?


ふっと、沙羅が姿を消した。


沙羅?


沙羅っ!!?



そうだ!

と、思い当たることがあり、階段を登っていくと、
やっぱり。


沙羅は朝の散歩の時に発見した野グソを
覚えており(朝はリードを付けていたため助かった)
それを夢中になって舐めているところであった。

コラーっ!!



沙羅っ!!

コイっ!!


沙羅は「あっ しまった」というような顔をして、
べろべろと、茶色い口を茶色い舌で舐め回しながら
渋々やってきた。


「コイ」で、やってきた沙羅を叱るわけにもいかず、
怒りたいのをぐっと堪えて、ポケットに入っていた
おやつをやる。

くっさ〜!!


そのあと、手洗い所で沙羅の口をすすぐ。

ああ この癖だけは、大人になっても直らんかあ・・・


そのあと、メールで、誘っていたコタママと
コタが登場!

たわいのないおしゃべりをして、楽しい時間を過ごす。


お盆休みのお楽しみをなんだかいっぺんに
すませてしまったような1日であった。



2日目は、朝から雨。

目が覚めたら雨の音がしていて、
雨かあ・・ と思ったら、また眠くなり、
次に目が覚めたら8時だった。


トイレだけの散歩をすませ、
帰ってきてだらだら過ごす。

まあ こんな日があってもいいだろう。

ソファだけの部屋にギターと本を持ち込んで1日を過ごす。

お腹が空いたらそうめんをゆでる。

夏はやっぱそうめんだね!


と、いうわけでお盆休み2日目は
あっという間に終わる。



さて、3日目

やっぱり雨だった。


散歩のあと、
ごはんを食べて本を読んでいたら眠くなって
ウトウト・・・


しかし、よく眠れるもんだなあ。

知らないうちによほど疲れがたまっていたのだろうか。

「お腹が減ったら食べる。」
「眠くなったら寝る。」


こういう生活は理想だけれど、
果たして、身体にはいいのだろうか?

寝るだけ寝ると、身体の中が元気になるのか、
今まで私を占拠していた「無気力感」の
ようなものが、なくなってきて、
どこかに行こうかなあと、思い始める。


考えてみれば、長いと思ったお盆休みも
もう半分終わったことになる。


お昼前になってやっと雨が上がった。

それに誘われるようにして、沙羅と車で出かける。

実家に帰る事にしたのだけれど、
まっすぐ帰るのもつまらないので、
遠回りをして帰ることにする。


沙羅は今までのストレスが爆発したのか、
すごく興奮して、ワンワン吠える。

けれど、「今日こそは、これを止めさせる」と
心に誓った私は、沙羅が吠えると思いっきり鼻先を
握って、ぐにゅっっと、力を入れ、ダメっ!!
と叱ってやった。

これが功を奏したのか、
2〜3回繰り返すと、なんと、
沙羅は吠えなくなってきた。


おおっ


今まで、ずっと叱ってきたけれど、
ちゃんと沙羅に伝わっていなかったということか・・・


そして、とっても快適なドライブができるようになった。
ただ、ひとつ、
運転している私の左腕に
前足を乗せてくるのは、止めて欲しいんだけど・・・(^^ゞ

これは、沙羅のおねだりのポーズなのだけれど、
(はよ、あそばせろ!はよ、おろせ!)

カーブの続く山道でこれをやられちゃたまらん。

おかげで、左手で沙羅の前足を押さえ、
ほとんど右手だけの片手運転をするように
なってしまった。


山の中や、川のあるところ、
気に入ったところで車を停めて、
沙羅と散歩したり、座ってぼーっとしたりしながら
半日を過ごす。


あてどない旅もいいけれど、
行き先がありながら
気ままに寄り道をするのは、なんとも楽しい。


川の水はここ2日の雨でかなり増水していて、
とても沙羅が泳げるような状態ではなかった。

「川がこんな増水したとき、中に住んでいる魚は
どうしているのかなあ・・・
流されないように、どこかで避難しているのだろうか?
それとも流されるままに流されて、流された先々で
新しい生活をまた始めるのだろうか?」

などと、

この休みに読んだ本
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の主人公のような事を
考えている自分に気づく。

「永遠の名作・不滅の青春小説」と書いてあったので
このお盆休みに読むことにしたのだが、
なんだかワケのわからない小説であった。

けれど、
「どこへ行っても 何をやっても そこから逃げ出したい
と、思わずにいられない。」その少年の心境には、
自分と似たところがあり、
なんだか、やっぱり、私も普通の人とは違うのかしら・・・
と、思わないではいられない。

そうなのだ。

私は、どこへいっても
なんとなく落ち着かず、
他に自分のやるべき事があるような気がして・・・
でも、それが何であるのかわからずに、

ずっと、ずっと、そんな風に、もがきながら生きてきた気がする。


沙羅と暮らすようになってから、
「これこそが、自分の落ち着くべき場所であったのだ。」
と、一旦落ち着いたように思えたのだが、
やはり、この頃では、
まだ別のところに、自分が生きるべき場所があるような
気がしている。

それは、沙羅が大人になって、昔のように
「うれしくてうれしくて仕方がない」といった様子を
見せることがなくなってきたせいかもしれない。

と、いうことは、
私は今まで、ただ沙羅を喜ばせることに
喜びを感じていただけなのだろうか?

自分のために生きているのではなく
私は誰かのために生きているというのか?
「一人が好き」だと、思ってきた私も
それでは結局
「一人では幸せになれない」と
いうことなのだろうか?



話が深刻になってきたので
もとにもどそう。


4時頃にようやく実家にたどり着く。

兄の子供達が大喜びで沙羅を迎えてくれた。

沙羅も喜びを大爆発させてワンワンワンワンワンワンワンワン
吠えまくる。


近くの池で釣りをしていた兄の様子を見に行くと、
沙羅が興奮して兄に飛び付き、なんと、兄のシャツの
袖を破ってしまった。

あ〜〜〜あ・・・ 
なんちゅうことを・・・

沙羅が人に飛び付き、誰かに被害をあたえる。
それは、とてもショックな出来事だ。

心許せない人には、沙羅を近づけることはないし、
たいてい、こういう時の相手は、
私が心を許している人であるのだが、
考えてみれば私の「甘え」に過ぎず、
どうして、もっと気を付けなかったのだろう。
と、いつもあとから思うのだ。

ああ  みなさん  ごめんなさい。


今日も魚を釣らなかった(?)兄と
一緒に帰ってきて、
バーベキューの用意が始まった。


炭を熾すのは兄の役目。

子供達もテーブルを出したりして用意をする。

今まで家に引っ込んでいた父も母も出てきて
一緒にビールを飲む。


お盆には死んだ人の霊も帰ってくるというが、
お盆というのは田舎に集まって、みんなが顔を合わせるものらしい。
近所の家の人も みんな帰ってきて、
なぜか、どこもバーベキューをしてワイワイ騒いでいる。
もしかしたら、見えないけれど、
亡くなった「ご先祖さん」もその辺にいて
見守っているのかもしれないな


沙羅もいっぱいおすそ分けをもらった。


そして、ヒュー!  ドンッ ドンッ!!
と大きな音がして花火大会が始まる。


音がこわくてソワソワし始めた沙羅を連れて
子供達と一緒に花火見物に出かけた。


沙羅は雷と花火が怖い

こういう打ち上げ花火はもちろんのこと、
近所の子供達がやっている手持ち花火でさえこわがる。
家の中にいても外で子供達が花火を始めると、
こわくてそわそわし出し、部屋のどこか狭いところへ
入り込もうとして、
一人で出られなくなって
途方にくれていたりする。


よその家のゴミ箱の陰に潜り込もうとする沙羅を
なんとか押さえながら花火鑑賞を楽しんで帰宅。

家に帰ってきたら、沙羅はさっさと
私の車に乗り込んだ。
仕方がないのでこのまま朝まで
寝かせることにする。


そのあと、久しぶりに子供達と家花火?をした。


兄は休みになると、朝早く釣りに出かけるため
早々に寝てしまったので、
私も寝袋で寝ることにする。

気まぐれで、いつ帰るかもわからない私のために
布団を出したり入れたりしてもらうのも
なんだか気にかかり、
この頃は田舎に帰るにも寝袋持参である。


テントの中だと、結構熟睡するのに、
慣れない家だと、夜中に何度も目が覚める。

朝までに2回くらいトイレに行き、
朝方、兄がこっそりと釣りに出かけて行く
時にもまた目が覚めた。

夜が白々と明け始めた頃で、
なぜか「ヒグラシ」が鳴いていた。

カナカナカナカナ・・・

短かすぎる夏を惜しんでいるのだろうか
夏の夕方に聞こえると、なんだか淋しく聞こえるが、
朝早くに聞くヒグラシの声もねえ・・・

なんていうのか、
空気を規則的に細かく菱形に切り取って、
少しずつ、少しずつ、横にずらしていくような鋭角的な音・・・


そんな音を聞きながら、再び寝ようとしたのだが、
寝られず、朝までただ寝転がって過ごす。


ようやく朝がやってきた。

もう ヒグラシは鳴いていない。


車の中で待っている沙羅を連れて、
近くのコンビニまで散歩がてら朝ご飯を買いに行った。

いつのまにか、歩いてすぐの距離に、
コンビニやスーパーができ、とても便利になった。
(もしかして、京都のわたしんちより、便利かも?)


睡眠不足だと、頭がぼんやりして、何をやっても
おもしろくないのよねえ・・・


天気予報は毎日「明日から晴れる」と言っているのに、
朝起きると雨が降っている。このところずっと・・・


でも お盆休みなんだから・・・
貴重な連休なんだから・・・・


ということで、子供と一緒に
同じく睡眠不足の兄を説得して
海に行くことにする。


勝手だけれど、途中に雨がひどくなり、
何度も「もう帰ろう」と言いたくなりながら、
なんとか「天の橋立」に到着。

細かい雨が時々降ってはくるが、寒くはなく
暑くもなく、ちょうどいい気温であった。

  

最初は、服が濡れないようにと、気を付けながら遊んでいた子供達も
いつの間にか服のまま海に入って泳いでいた。

でも私は、参加できなかった。
歳を取るとこうなってしまうのか・・・

沙羅は何度も何度も子供達が投げるボールを
取りに行き、砂浜に穴を掘って、
遊んでもらった。

最後には「精根尽きた」という感じだ。


浜辺にはシャワーが設置されているので、
精根尽きた沙羅をそこで洗って、
先に車に乗せる。


今日は宮津の花火大会があるらしい。


人も車もいっぱいだ。


橋立で、花火を見ながらバーベキューを
しようという人もあり、混雑する橋立を抜けだし
渋滞を避けるように家路につく。


帰りは兄の次男が、沙羅と一緒に私の車に乗ってきた。
沙羅と同じくらいの体重であるせいか、
完全に同等に沙羅と張り合っているのがおもしろい。


ついこの間まで同じように沙羅と乗っていた
ヒロくんは、すっかり声変わりしてしまって、
なんだか、違う人になったようだし・・・

けんかをしては兄に叱られている子供も
帰るたびに、順番に変わってきている。


自分だけが、なんだか昔とちっとも変わっていない
ような気がする。


晩ご飯は「吉野屋の牛丼」
子供5人ともなると、とにかく「安さと量」が優先になる。
兄のお嫁さんは赤ちゃんを抱きながら・・・
上の女の子は下の子にスプーンでごはんを
食べさせている。

黙々と牛丼をかっ込み空腹を満たす。

福知山でも大文字の送り火が行われていた。



実家で次男を降ろし、そのまま京都の家に帰る。

帰ったら10時半だった。

疲れたなあ・・・


でも

出て行った時とは、

何かが、やっぱり違っていた。

心の中に、ほんわかと、
残るものがあった。


兄の優しさや家族の思いやり・・・
私を気に掛けてくれている人が
いるんだなあ・・・という実感。

五児の父親になったとはいえ、
兄は相変わらず私の兄で・・・


やっぱり
家族って
いいなあ・・・





と、思ったのであった。


おわり


    



お盆休み最終日は午前中は家でゆっくり過ごし、
お昼から来客があったので、沙羅は大喜びで・・・
そして夕方の散歩に一緒に出かけ、
あっという間に終わってしまった。

実はもうひとつ、お盆休みにやりたいこととして、
「ホームページの更新」という項目をあげていたのだが、
・・・・


なかったことにした。