いわゆる「Cyber-U2」3部作のトリを飾る「POP」をリリースしてのツアー。「POP」に関する評価はこっちを見てもらうとして、このツアーのセットや構成はまさに「POP」のメッセージを具現化した、「Cyber-U2」の集大成となっていた。会場に入って驚くのはステージ後方に設置されているスクリーン。冗談ではなく、サッカーのグラウンドくらいの広さはあるのではないか?ここに演奏とリンクして様々な映像が映し出される。これだけ大きいと後ろのお客でもはっきり見えると思うが、まさしくスタジアム・ツアー仕様である。僕は真ん中よりは前の方で見ていて、ステージの上で演奏する彼らの姿を無理なく肉眼で追えたのだが、スクリーンの方にも思わず目がいってしまう。
しかしそういった大掛かりなステージ・セットとは対照的に、ライブはギミックのない、4人の男が演奏するロック・バンドの音そのもの。前回のツアーでBonoは別のペルソナになりきって歌っていたらしいが、今回のツアーではそういうパフォーマンスも特になく、「Discotheque」を除けば極めて自然体である。「All That You Can't Leave Behind」で彼らは原点に戻ったと言われているが、シンプルなバンド・サウンドで演奏するというアイデアは既にこのツアーから生まれていたのではないだろうか?