高野一巳
5 面白くない
リョウタはオサムがいろんな面でよくなっていくのを見て、おもしろくありませんでした。 楽に儲かる仕事はないものだろうかとそんなことばかり考え、どうして怠けようかということに頭を使っていました。 そんなですから、仕事上のトラブルが絶えず、しょっちゅう上司に叱られ、愚痴ばかりこぼしていました。 以前ならそんな愚痴をオサムと言い合って溜飲を下げていたのですが、このごろはオサムは忙しくて言い合う機会も減り、最近の調子のいいオサムを見るとなおのこと、むかついてくるのでした。 こうなってくると、あのブレスレットは本当に幸運を呼ぶのだろうかと思うようになってきました。 リョウタは何カ月ぶりに引き出しからブレスレットを引っ張り出しました。 そして、リョウタは思いました。 リョウタは自分のブレスレットをしげしげと眺めました。 それは、ブレスレットをすり替えるというものでした。 特にオサムはリョウタに完全に心を許しているので、すり替えるのはそんなにむずかしいことではありませんでした。 オサムはそれが自分のブレスレットと知らないで、リョウタが腕にはめているのを見てとても喜びました。 |