幸運を呼ぶブレスレット

高野一巳



3 何だか楽しそう

しばらくは、ふたりの身に何が起こることもなく、過ぎていきました。
でも、リョウタから見ると、ブレスレットを買ってから、オサムは毎日何だかうれしそうな顔をずっとしているように思いました。
「最近、楽しそうだな、何かいいことでもあったのか」
「別に特別なことは何もないよ。でも、このブレスレットが何か幸運を呼んでくれるんだと思うと、どんなことが待っているのか楽しみなんだ。あれこれ想像するのが楽しいんだよ」
「ふん、単純なやつだな。何もいいことなんて起こらないことを保障してやるぜ」
リョウタは放っておこうと思ったのでした。

リョウタはブレスレットを引き出しにしまい込んでしまいました。
リョウタは相変わらず、浮かない顔をして、オサムにあきれながら、ため息をつくのでした。


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