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メッセージ

「一人で悩まないで下さい」

 貝塚聖書教会牧師 池尻良一

 

虐待


 こんな話を聞いたことがあります。親鳥は雛が敵に狙われているのに気付くと、わざと自分が傷ついているふりをして、敵の目を自分に向けさせ、雛を守るのだそうです。その自己犠牲的な振る舞いは感動的です。人の世界でも、昔は親の献身的な愛がよくドラマ化され、その是非はともかくとして、親とは、特に母親とはそのようなものだと教えられました。ところが今日はどうでしょうか。

 「虐待」、この陰鬱な言葉を聞くと、私たちは「親子・家庭」をすぐにイメージします。それぐらい頻繁にその種の事件が現在起こっています。ではどうしてそんな風になったのでしょうか。その原因はひとつふたつではないはずです。しかし親子、家庭から何かが失われてきている、それだけは確かなようです。


精神の倒壊現象


 子育ては親なら誰にでも出来るはずです。ところがその誰にでも出来るはずのことが現実にはそうでなくなってきているのです。そこに現代の問題があります。あるスクールカウンセラーが「大人は子どもの心配をするのが仕事」と言いました。ところが親自身に情緒安定の著しい欠落、即ち、「精神の倒壊現象」が起きていて、それが正常な感覚で子どもを心配する力を失わせているのです。そのため、わが子を可愛いと思いながらも、募るイライラは、自分をコントロール出来なくし、制御の利かない体罰にまで発展させてしまうのです。


親子の因果関係


 教育心理学の専門家はこう言います。「子どもの精神構造の安定した発達を保障すること。これは子を生んだ親が、もっとも責任をもたざるを得ないものである」。そうすると親の情緒が不安定でわが子にその任を果たせないのは由々しき事態と言わねばなりません。子どもはやがて大人になり、親になります。その際、自分が親から受けたことをわが子にも繰り返すという、悲劇的な因果関係がそこに起こり得るのです。私たちはその連鎖をどこかで断ち切らないと、子を持つということが、とてつもなく煩わしいものになり、極端な場合、益々紙上を賑わす事件を繰り広げることにもなりかねないのです。ではそれを解決する、何か秘策はあるのでしょうか。


ひとりで悩まないで


 親として何を理解し、自覚するか、それは当然とても大事なことです。しかし私はそれ以上に大事なことがあると考えています。それは「ひとりで悩まないで」ということです。ボヴェーという精神医学者がこんなことを言います。「人間の心の平衡が保たれるために何といっても大切なことは、父親と母親との二つの機能が互いに調和していること」。これは確かにその通りです。しかし私はそのためにも、子育てには適切な「第三者」が必要だと考えています。第三者?いかにも無責任な立場の別名のようにも思えます。ですが子育てとは元来、人の経験に照らして学ぶもので、そこが本能だけでわが子を育てる動物とは違うのです。人間だけが子育てで悩みます。それはどうしたらいいのか教えて欲しいという、第三者に対する叫びなのです。もしその叫び声に真剣に応えてくれる人と場があれば、それは必ずや親を支え、子育てを助けてくれるに違いありません。

10月のお花

過去のメッセージ

2007.8-9月掲載分「思い煩いからの解放」
2007.6-7月掲載分「目を覚ましなさい」

      
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