日本においては、弥生時代にはすでに銅とスズの合金でできた青銅による鏡が、 農具、銅鐸、銅鉾と共に製造されています。特に、青銅鏡は三種の神器(八咫鏡・天叢雲剣・八尺瓊玉)のひとつとして
皇位の象徴とされたことからもわかるように、大和政権下の古墳時代には多くの青銅鏡が作られていたようです。
日本のガラス鏡は、安土桃山時代の天正3年(1575年)にポルトガル人が長崎にガラス製法を伝えて「鬢鏡(ビンカガミ)」別名ビロ ード鏡が製造され、長崎から大阪の堺に伝わりました。天保13年(1842年)には、泉州岸和田の佐野地区にガラス鏡の同業組
合があって,16戸の鏡元と200人近い職人がいました。従って、日本の鏡の発祥地は大阪と言えるわけです。
その後、明治に入ってヨーロッパから板ガラスが輸入されるようになり、それまでの水銀法に代わる硝酸銀による製法が伝えられ ました。 さらに板ガラスの国産化とあいまって、わが国の鏡産業は大きな発展を遂げてきたのです。現在では日本各地に鏡取扱業者
がいますが、なお大阪が鏡工業の中心地と言えるでしょう。