(side 大石)
俺は驚いて聞きなおした。
英二が俺の事でそんなに怒るなんて・・・
先に手を出すほどに怒るなんて・・・
俺の為に?
「なんだよ!!そんな事って!!俺は手塚に取り入る為に大石と一緒にいるんじゃないぞ!
ただ大石と一緒にいたいだけなんだ!それなのにアイツら・・・」
英二は泣きそうなのを堪えながら、唇をギュッと噛んでる。
俺は保健室のベットに座って俯いてる英二を、下から覗き込むようにしゃがんでゆっくりとさとすように話した。
「英二落ち着けよ・・俺がそんな事って言ったのは、まさか英二が手をだした原因が俺だと思わなかったから・・・
その・・ごめん・・・ありがとう。だけどもうこんな事しちゃいけないよ。
俺の事で英二が喧嘩するなんて・・・そんなの駄目だよ。」
英二が俺の為にこんな姿になるなんて、絶対あっちゃいけないんだ。
「だけど悔しいじゃんか!!!」
悔しい・・・?
英二が叫んだ言葉に驚いた。
確かに英二から聞いた話は喜べるような話ではなかったけど
だけど今は英二が俺の事でこんなに怒ってくれる事が嬉しいなんて思うのは不謹慎なのだろうか?
でも実際イライラ顔の英二とは裏腹に、俺の顔はほころび始めてる。
英二・・・
「くやしい事なんてないよ。英二は俺のことちゃんと見てくれてるだろ?
それだけで十分だよ。言いたい奴には言わせておけばいいよ。
だからもう英二は俺の事で無茶はしない事」
そう言い終えて英二の顔を覗くと、キョトンとしていた。
その顔が可笑しくて、可愛くて俺は無意識に英二の顔に手を伸ばしていた。
〈ドキン・・・〉
俺は今何をしようとしたんだろう?
英二の顔を引き寄せて、抱きしめようとしたのか?
それとも・・・
伸ばした手が熱くて、誤魔化す振りをして英二の頭をなでた。
ここまで来たら後はラストまで突っ走って下さい。(残り1ページ)