動き出した想い
(side 英二)
知らなかった・・・大石って怒るとめちゃくちゃ怖いじゃんか・・・
俺の事を気遣いながら運んではくれてるけど、顔は怒ったままで
保健室に着いてからも、黙ったままテキパキと俺のキズの手当てをしている。
そして俺もその姿を黙って見ていた。
「ハイ!これでおしまい・・・もうあまり無茶はするなよ」
そんなあきれたような言い方されたらなんて言っていいかわかんないじゃん・・・
だけど・・・
「ごめん・・・ありがと・・・」
俺が素直に謝ると、大石も急にいつもの大石にもどって
「えっ!いっいや・・別に英二に謝って欲しかったんじゃなくて・・・
それに礼なんて、俺たいした事してないし・・・あの・・その・・」
そう言いながら頭をかいた。大石のクセだな・・・
「そんな事ないよ!大石が来てくれて、スッゲーうれしかった・・」
俺がそう言うと大石は顔を真っ赤にしながら照れている。
まさか大石が来てくれるなんて、思ってなかったからビックリして
だけど本当に嬉しかったんだ。
「英二聞いていいかな?なんで先に手を出したの?」
さっきまで真っ赤な顔で照れていた大石が、真面目な顔で俺を見ている。
それは・・・竹本達があんな風に言うから・・・
俺は少し迷ったけど、あった事をそのまま話した。
「あいつら、大石の事よく知らないくせに・・・」
するとそれまでジーと黙って聞いていた大石が、目を丸くして呟いた。
「そんな事で?」
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