動き出した想い

                                                                                     (side 大石)




「お前ら!何してんだ!英二から離れろ!!!」


心臓が止まるかと思った。

嫌な予感は的中して、やっと見つけた英二は竹本に馬乗りにされて殴られてるところで

俺は自分の中から湧き上がる怒りを抑えながら、急いで英二のもとへ駆け寄った。

竹本達は俺の登場で、少し怯んだのか英二を殴るのをやめてボー然と立ち尽くしている。



「英二大丈夫か?」

「大石・・・俺・・・」

「別に何も言わなくていいよ。それより早く保健室に行こう」



側まで行って見た英二は埃まみれで、殴られたらしい頬っぺたは赤く腫れていた。

俺は急いで英二の腕を肩に回して、そっと立たせる。



「歩けるか?」

「うん・・・」



英二の体を気遣いながら、保健室へ行こうと歩き出した時、それまで俺達の行動を黙って見ていた竹本が叫んだ。



「言っとくけどな大石!!先に手を出したのはエージだからな!!」



何だって?

本当は英二をこんなにした竹本達を殴ってやりたいぐらいなのに・・・

だけどあまり事を荒げるのも、お互いの為にならない・・・

そう思ったから、この溢れる怒りを抑えて、なるべく竹本達を見ないようにしてたのに・・・

英二が先に手を出したからだって・・・

だからってここまでするのか?

俺は歩みを止めて竹本をギッと睨んだ。



「だからといってこんな事をしてもいいと思っているのか?」



怒りを抑えながら告げた言葉は自分が思う以上に低く冷たく威圧感まるだしで、

竹本達もそれ以上は何も言ってこなかった。



「行こうか英二・・・」

「あっ・・うん」





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