28MHz 基本波発振 2石 CW 送信機の製作
2018/11/21
Last update : 2019/6/8
28MHz 基本波発振 2石 CW 送信機 の概要
28MHz 基本波発振 2石 CW 送信機を製作しました(2018年8月完成)。
「トランジスタ2個で地球の裏側に電波が届くか?」をテーマにしています(後述)。
28MHz 基本波発振 2石 CW 送信機
(アルミケースはテイシン TC-111。廃番になったのが残念)
製作のきっかけは、米国の QRPme のウェブサイト で、基本波発振と明示された 28.060MHz 水晶振動子を見つけたことです。これなら「あゆ」の基板に組めば、VXO にして、フィルタもローパスだけでよく、簡単に 28MHz CW 送信機が作れます。「あゆ」は、JF1RNR 今井 OM が設計され、CQ誌 2009年7月号に「7MHz CW 送信機」として掲載、基板が付録していたので、製作された方も多いと思います(現在でもマルツからキットが売られています)。「あゆ」の詳細はこちら。
主役の 28.060MHz 基本波発振 水晶振動子
(手前のトランジスタは 2SC1906)
文字は、インクジェットプリンタ(染料)を用い、A-one フィルムラベルシール[インクジェット] ツヤ消しフィルム・透明 A4サイズ 品番 N28793 に印刷して貼りました。1回失敗しましたが、次からきれいに貼れました。
28MHz 基本波発振 2石 CW 送信機 フロントパネル(左)とリアパネル(右)
(「ACC」はアクセサリの意味。今のところ未使用。)
今回の製作概要
28MHz 基本波発振 2石 CW 送信機 内部
(右下がブースタ増設用スペース。放熱器用の穴もあけた)
(2個の半固定抵抗は出力セット用)
オリジナルの「あゆ」のトランジスタは、2個とも 2SC1815 ですが、本機は周波数が高く、次項を意識して出力も少しアップしたかったので、2SC1906、2SC2053
に交換し、2個のトロイダルコイルの巻き方も変え、出力500mWにしました。具体的には、発振段とファイナルとの間のコイルは FT-37#43 バイファイラ
8T としました。オリジナルの「あゆ」で使用されている 220pF と 100Ωは不使用。0.01μF 使用。今井OM にお見せしたところ、この部分は「(FCZ
コイルなどを使って、)同調回路にした方が良い」とアドバイスを頂きました。
ファイナルのコレクタに接続されるコイルは、FT-37#43 10T としました(バイファイラ巻きではない)。
VXO 用コイル(左)とファイナル 2SC2053 (右)
発振回路は VXO にし、DX の周波数と国内コンテストの周波数を確保したかったので、大小のコイルを切り替えて、表の範囲を確保しました(「大」は FCZ コイルを両方使用、「小」は 7S25 だけ使用)。
VXOコイル | 周波数可変範囲(例) | 備考 |
FCZ 7S25+FCZ 7S14 (1.76〜4.1μH) |
27.9989〜28.0465 MHz | ←現状設定値(LOW) |
FCZ 7S25 (0.84〜1.7μH) |
28.0500〜28.0576 MHz | ←現状設定値(HIGH) |
ファイナルの後のローパスフィルタは、オリジナルの「あゆ」は2段なのですが、もう1段追加し3段にしました。
リレーを使ってフルブレークインにしました。
交信状況など〜トランジスタ2個で地球の裏側に電波が届くか?
交信実績はまだ 1 回です(2019/6/8現在)。
小生の QRP (5W以下)での地球の裏側(10,000km以上)との交信実績は 139回(南米が89%)で、JT65 などディジタルモードを除くと(SSB、CW) 86回になります。ただし、出力 1W となると、21MHz CW の2回だけです(ちなみにトランジスタ4個の送信機使用)。また、8,000km 程度なのですが、7MHz CW 300mW (これは2石)で米国と3回交信しています。以上の状況より、電波伝搬が良ければ、28MHz CW 500mW は可能性があると考えています。いつ伝搬が良くなるのか、気の長い話です。
ハムフェア2018での展示
2018/8/25〜26 に開催されたハムフェア2018 の JARL QRP CLUB ブースで実物を展示しました。
ブースにお越しいただいたみなさま、ありがとうございました。
ハムフェア2018 の JARL QRP CLUB ブースで展示した、28MHz 基本波発振 2石 CW 送信機
(中が見えるよう、上部と左右をアクリル板(厚さ 1mm)にしている)
(掲示した説明文はこちら(PDF)です。)
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