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IC-202
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IC-202 CWサイドトーンの追加

ジャンクのIC-202を入手。修理調整後、さらにCWサイドトーンを追加することに。

その1:ジャンクのIC-202を入手し修理する

 IC-202は1975,6年頃に井上電機製作所(現在のアイコム)が発売した144MHz SSBポータブルトランシーバです。
外観を図1に示します。同じ外観でIC-502という50MHzSSBポータブル機もあり、このあたりからVHF帯のSSB化が急速に進んだ記憶があります。


1-1.IC-202を入手
 知り合いからジャンク(ゴミ状態)のIC-202をもらいました。
 へこみや大きなキズは無いもののまったく送受信不能でかなり汚く、サイドパネルの留め具は割れてるし、内蔵のホイップアンテナもグラグラで見事なジャンク品です。

1-2.修理
 アイコムのホームページから取説をダウンロードすると、ブロック図はもちろん簡単な回路の解説と周波数調整方法まで載っています。さらに海外のサイトからは回路図も入手できました。これなら何とかなりそうです。
外装部品をすべて外し洗浄して組み直し、コネクタやジャック類は交換または接点を清掃します。

ホイップアンテナは、根元部分の支持板が割れており補強材を入れて修理しました。
送受不能の原因は調整ズレによるVXOの発振停止でした。バンドスイッチも酷い接点不良の状態です。

発振回路の調整とバンドスイッチ接点の清掃であっさりと送受信可能となり、他は回路図を元に受信感度や送信出力などを調整して、ほぼ定格どおりの性能に蘇りました。図1にIC-202の写真を示します。



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図1.IC-202
その2:CWサイドトーンの追加

 さて、このIC-202はCW運用が出来るのにサイドトーンが付いていないというちょっと残念な仕様です。
このままでは不便なのでサイドトーンを追加することにしました。(後継機のIC-202AにはCWサイドトーンが付いています。)
検討の結果、AF発振器を追加してAFアンプのミュート条件を変更すればできそうです。実際の基板を見るとパターンカットは必要ありません。(ますますヤル気に!)


2-1.AF発振回路の追加
 まずは800Hzの発振回路をユニバーサル基板に組み、CWのキーイングでON/OFF出来るようにします。(発振周波数は好みで800Hzより少し下げて750Hz程度としました。)
発振回路の出力は受信音同様にAFボリュームを介してAFアンプで増幅しスピーカを鳴らします。
発振回路を図2に、実際に作成した回路を図3に、接続回路図を図4に示します。

接続はうまいことに、TX Vcc(送信時9V)、GND、KeyはP1という配線し易いコネクタ端子に出ています。AF OUTはAFボリュームに接続します。今回の全改造箇所を図5に示します。
AF発振器のP1への接続の様子を図6に、AFボリュームへの接続の様子を図7に示します。AF発振回路は熱収縮チューブに入れて筐体内部に貼り付けました。

図2.AF発振回路


図3.作成したAF発振回路

図4.AF発振器の接続

図5.全改造箇所

図6.P1へのAF発振回路取り付け
(黄:Key 橙:9V 緑:GND)

図7.AF VR(R1)へのAF発振器取り付け(AF OUT)

2-2.AFミュートの改造

 もともとの回路ではSSB,CWのモードを問わず送信時は無条件にAFアンプがミュートされていますが、サイドトーンを鳴らすのでミュートはSSB送信時のみとしなければなりません。
そのために、R32の片側(Q14のコレクタ側)を持ち上げてJ13(SSB TX)に接続します。ミュート回路の改造回路図を図8に示します。
J13の実際の改造を図9に、R32の実際の改造を図10に示します
R32のQ14(コレクタ)側を持ち上げてJ13へ接続する

図8.ミュート回路の改造

図9.J13の改造(J13にR32への線を追加)

図10.R32の改造(R32の黄丸側の足を上げJ13へ接続する 右は電池ケース下の半田面)
その3:改造も終わり

 修理、調整とCWサイドトーンの追加が終わり、これなら十分実用になりそうです。
ところで、後継機のIC-202Aにはまず使うことのないLSBモードが付いてます。(衛星通信用とのことですが、これで衛星通信はやらんやろ。) IC-202AはIC-202の筐体をそのまま引き継いだため、電源ON/OFFと照明のON/OFFとモード選択が1つのロータリースイッチになっていてこれがちょっとマヌケ(5接点で電源OFFと、USB 照明OFF/ONと、LSB 照明OFF/ON)です。さらにRITもセンタークリックが無くマイナス側回しきりでOFFに変更されています(もっともIC-202はRITボリューム中心のクリック位置で±0になるよう調整が必要ですが)。そう思うとサイドトーンを追加したIC-202の方がカッコ良く見えてきました。

もっとも144MHzの国内QSOにはまったく興味は無く、また普段無線でおしゃべりする近所の友人もいない現状ではこの無線機の出番は年数回の国内コンテストくらいです。ただ、出力が3WなのでQRP(低送信出力)部門での参加にはピッタリかもしれません。
とりあえず免許申請して国内コンテストに出てみたいと思っています。

 その後、IC-202は新スプリアス確認保証可能機器リストに上がらず、2022年11月30日までしか使えなくなってしまいました。