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セミナー・講演
イタリア文学セミナーの案内 | |
シエナ大学 Romano Luperini教授 | |
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Il tema della musica negli Ossi di seppia di Eugenio Montale | |
エウジェニオ・モンターレ『烏賊の骨』における音楽のテーマ | |
日時・場所: | 2008年11月13日(木)13時〜 総合研究棟2号館第8演習室 |
11月13日(木)13時〜 | 総合研究棟2号館第8演習室 |
雑誌『プリモ・テンポ』(Primo Tempo)に掲載された『和音』(Accordi)は、モンターレの『烏賊の骨』以前の最初の重要な出版である。これらは、自然の調和との融合の瞬間として、また主体の忘却の原因として、象徴的に捉えられた音楽のテーマから着想を得ている。モンターレは、『和音』からは、たった1つの詩「イングリッシュ・ホルン」(Corno inglese)しか『烏賊の骨』に収録していない。したがって、この詩を詳細に分析して、現在では『散逸詩』(le Disperse)に入れられている、1916-22年の時期の一連の詩との関連を考察する。 音楽というテーマは、『烏賊の骨』の2つの版のどちらにおいても、重要な位置を占めるが、しかしテーマ自体は、変化して発展している。詩集の第3部「地中海」(Mediterraneo)では、ヴェルレーヌからダヌンツィオまでの、いまだに象徴主義的に捉えられていた音楽の概念が、危機の瞬間を迎える。ここで願望されているのは、音楽による主体の忘却ではない。詩人は、海に対して大地を選び、原初的なものへの自己放棄に対して、自覚を選ぶ。それゆえ、「地中海」に始まって、『烏賊の骨』の流れに沿って行くにつれて、音楽はますます実存的な危機に代わる選択肢を提供することができなくなる。この点できわめて意義深いのは、詩集の最後の方に置かれた詩「アルセーニオ」である。この詩によって、ダヌンツィオ的な詩の横断と超克が、音楽というテーマを横断し超克することと、最終的に一致するからである |
Romano Luperini |
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1940年、ルッカに生まれる。シエナ大学の文哲学部イタリア現代文学科教授。カナダ・トロント大学でも教鞭をとる。 専門はモンターレ、ヴェルガ、ピランデッロ、トッツィ、文芸批評・理論研究。 主要著書に『モンターレ、ないしは否定されたアイデンティティー』(1984年)、『モンターレ物語』(1986年)、『出会いと偶然、近代小説と西洋人の運命』(2007年)など、さらには共著にイタリア文学の教科書『エクリチュールと解釈、西洋文化の枠内でのイタリア文学史』がある。また、作家として小説を2作発表している。 |
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