セミナー・講演
イタリア文学セミナーの案内 |
ボローニャ大学 Gian Mario Anselmi教授 |
Tre snodi della letteratura italiana |
|
日時・場所: | 2009年3月25、26、30日 京大文学部新館2階第3演習室 |
| |
第1回講義 | 3月25日(水)13時30分〜15時 | 文学部新館2階第3演習室 |
---|
《ルドヴィーコ・アリオストの『狂えるオルランド』における空想と哲学》 |
この講義においては、『狂えるオルランド』の内部には、無尽蔵の空想力にあふれた物語の発明者としてのアリオストと、人生のもろさと権力者の圧力の間で浮き沈みする人々の運命の探究者という、より《思索的》なアリオストが共存していることに焦点を当て、それによって彼の作品の出典が多種多様にわたっていることを明らかにする。つまり、さまざまな物語の出典だけでなく、ルネサンス文化の哲学的・政治的・世俗的議論と関連した出典についても触れる。この講義で取り上げるのは、第34歌の71〜92節である。 |
第2回講義 | 3月26日(木)13時30分〜15時 | 文学部新館2階第3演習室 |
---|
《トルクヮート・タッソの『解放されたイェルサレム』におけるヒーローやヒロインたちの恋愛》 |
この講義では、『解放されたイェルサレム』の2つの重要な恋愛物語である、タンクレーディとクロリンダの物語と、リナルドとアルミーダの物語を取り上げて、この作品は戦争を歌う典型的な叙事詩であるにもかかわらず、その真の中心テーマは、恋愛であることを明らかにする。というのは、この作品のフィナーレ自体が、愛の神の星の下で完結するからである。タッソは、その後何世紀にも渡って、音楽や絵画や近代心理小説に登場する、無数の愛のテーマの変奏曲の元となった主題曲を提供した。講義では、第12歌の48〜70節と、第20歌の127〜136節を取り上げる。 |
第3回講義 | 3月30日(月)13時30分〜15時 | 文学部新館2階第3演習室 |
---|
《ニッコロ・マキアヴェッリの『君主論』第18章における政治的人間革命》 |
この講義では、マキアヴェッリの傑作『君主論』全体の中でも、おそらくは最も革命的な章である第18章(「君主はどのようにして信義を守るべきか」)を分析する。彼は人間の2つの本性である、《理性的-人間性》と《本能的-野獣性》について、過激な徹底した分析を加えていることを明らかにする。このような分析は、政治の世界において、恐れを知らぬ大胆な現実主義によって、効果的に行動するために必要なことであった。しかしそれは、国家の総体的な革新によって善政を確立する計画の内部にある限りにおいてである。そしてとりわけ、政治危機のさ中にあったイタリアの諸国家においては、これ以外の道はほとんど残されていないように、彼には思われていたのである。 |
Gian Mario Anselmi |
ボローニャ大学文哲学部のイタリア文学科主任教授で、専門は、歴史家と歴史書の研究や、文学史の時代区分の研究や、人文主義とルネサンスの文学研究で、具体的には歴史家のマキアヴェッリとグイッチャルディーニ、詩人のアリオストとタッソ、劇作家で散文家のアレティーノなどの研究者である。
主著としては、『歴史学者マキアヴェッリの研究』(1979)、『人文主義とルネサンスの時代:近代ヨーロッパのルーツとしてのイタリア』(1996)、『文学の知恵』(1998)などがある。
また、数多くのシリーズ刊行物や研究誌の企画や監修に携わり、『国家版マキアヴェッリ全集』では、マキアヴェッリの『フィレンツェ史』と『歴史論集』を担当し、『ヨーロッパ地中海の文学地図』(2001)の編者でもある。
現在では、アスティにあるアルフィエーリ研究センター理事長、ボローニャにあるCARISBO財団評議員、トレッカーニ・イタリア百科全書協会評議員を務めている。さらに、イタリア研究者協会(ADI)の事務総長でもある。 |
Copyright (C) 2010 京都大学文学部イタリア語学イタリア文学専修 , All rights reserved.