第3話  −お遍路の宿−



歩き遍路をするについて、宿をどうするかは重要な問題です。今回の遍路に際しては、野宿をするということは考えないことにしました。荷物が増えるし、何より自分の体力では長丁場をもちこたえられないだろうと思ったからです。

「実際に利用した宿」
民宿(19)、旅館(11)、ペンション(1)、宿坊(3)、ビジネスホテル・クアホテル(10)、簡保の宿(1)、国民宿舎(1)、個人宅(5)

旅館と名がついていても、中味が民宿と同じようなところもあり、旅館と民宿の境目はあいまいです。
宿坊に泊まると、朝か夜のどちらかに本堂でお勤めがあります。これもまた一つの経験と考えて、三泊しました。58番仙遊寺のお坊さんの説教は、斬新で印象に残りました。
相部屋になったのは、民宿で2回、宿坊で1回、計3回だけで、あとは全部一部屋を占有できました。

「温泉」
出発前に知人から、「温泉に入って英気を養ってくるように」という有難い助言をもらったこともあって、温泉がある宿には8泊しました。中でも白地温泉(徳島池田町)の景観は素晴らしく、昔、作家の林芙美子が気に入って逗留したということでした。90日くらいのゆとりのある日程を組めば、気に入った温泉で2、3泊したり、遍路道を外れてでももっと多く温泉を利用できたことでしょう。しかしそんなことをしていたら、歩き遍路などアホらしくなって続けられなかったかも知れないですね。

「費用」
一泊二食付きで、5,000円〜10,000円。6,500円あたりがもっとも多かったかな。旅館では、一般客より2,000〜3,000円安くしてくれたようです。それで10,000円以内におさまったというところ。
この他にビール代と昼食費が必要なので、宿を利用しての歩き遍路の費用は、最低でも概略8,000円/日くらいはかかります。

「予約」
宿は前日か、遅くとも当日の昼には電話で予約を入れました。連休にもかかりましたが、満員で断られることはまずありませんでした。それとリストに載っていても、臨時休業や、既に廃業している宿があります。こういうこともあるので、目的地に宿が一軒しかないようなときは絶対に予約が必要ですよ。

「宿の情報」
宿のリストは、へんろみち保存協力会編の「四国遍路ひとり歩き同行二人」に、電話番号や札所からの距離など詳しく載っているので、これを頼りに予約をしました。これ以上の情報はないわけですから、「当たり外れは覚悟の上」ということになります。二度と泊まりたくないというような所もありましたが、まずは良しとするべきでしょう。泊る宿があるだけでも有難いことです。
遍路を楽しく続けるには、どんな宿・食事でも受け入れる寛容さが必要です。あまり贅沢を言うと、歩き遍路などするなという事になります。

「例外」
どうしても目的地に宿を取れない場合もあります。そういうときはどうするか。
「タクシー・バスなどで宿のあるところまで行き、翌日また元のところまで戻って遍路を再開すればいい。こうすれば札所間を歩き通したことに変わりはない」と書いた本がありました。わたしも、息子宅に泊まったとき、知人を訪ねたときに、2、3度この手を使いました。


前頁へ 次頁へ
トップへ 遍路目次へ