第2話  −お遍路の日課−



歩き遍路の日課は実に単純です。朝食を済ませて宿を出ればただ歩くだけ、札所の巡拝・昼食・休憩以外は歩いていることになります。そして宿に着いて入浴・洗濯、夕食が済めばあとは寝るだけ。

「起床」
わたしの起床は5:00でした。朝食までの間に、テレビで天気予報を見、その日のコースを地図の上で調べ、その日の宿の見当をつけます。

「朝食」
宿によって違います。一番多かったのは6:30、次いで6:00、7:00の順。どの宿でも一応は、「何時にしますか?」と聞いてはくれますが、六時より早くしてくれるところはまずありません。またその必要も感じませんでした。

「出発」
7:00〜8:00が普通でした。一度だけ、涼しいうちに山越えをしたいと思い、六時に出たことがあります。また遅い方では、十一時出発というのが2、3回あります。長い道中ですから息抜きも必要です。まるきり歩かなかった日が51日のうち2日ありました。

「昼食」
遍路道沿いの食堂を利用したのが一番多く、途中に店がなさそうなときは、宿に弁当を頼むか、コンビニで買って用意しました。しかし地図には載っているのに営業していない店や、コンビニなどない土地もあり、都会にいる様にはいきません。

「宿到着・洗濯・入浴」
4:00前後には宿に着くようにしました。洗濯と入浴は一日も欠かしたことはありません。大半の宿では洗濯機を貸してくれます、中には宿に着くなり、「お遍路さん、洗濯もんがあったら出してください」といってくれるところもありました。嬉しいものですネ。
入浴は4:00からというところが大半ですが、早く着いてもすぐに用意してくれる宿もあります。とにかく歩き遍路にとって風呂ほど有難いものはありません。風呂とビールと睡眠で一日の疲れが見事に解消します。

「夕食」
6:00〜6:30がほとんどでした。内容のほうは、季節柄「かつおのたたき」、「ハチクの料理」が続いた時期がありましたが、おおむね満足でした。
朝夕とも食事は、自分でも驚くほどよく食べました。出てきたものは一つ残さず食べ、ご飯も腹いっぱいになるまでお代わりしました。それだけカロリーの消費量が多いということでしょうか。それでも最後には体重が三キロ減りました。
同宿のお遍路さんがいたら、朝夕の食事時によく情報交換や、時には自己紹介の延長で身の上話・体験談などを披露しあったりもしました。遍路の日課の中では楽しいひと時です。

「就寝」
飯を食ったらもうあとは寝るだけ。テレビのニュースをたまに見ることはあっても、あまり関心もわかず、プロ野球中継も見ようとは思いませんでした。7:00には横になり8:00〜9:00にはもう夢の世界にいました。眠れない夜はありませんでした。

「その他」
毎日夕食の前か後に、娘の携帯にCメールを使って、当日の宿を家に連絡しました。一応無事であることを知らせる意味と、用事があるときは電話をもらうためです。
宿の予約は、前夜か遅くとも当日の昼頃にしました。やはり飛び込みは宿にとって迷惑なのです。食事が用意できないなどの理由で断られると結局こちらが困ることになります。


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