「血が止まらないっ!」ある日の電話 
注文の替わりに頂いてきたモノはへ                             HOMEへ

ある日、現場に出ている夫から家に電話が入ったので
「なんだろ」と思い、出てみると、
「どうしよう、血がとまらへん…」と珍しくあわてた様子でした。

「どこ切ったの?」と聞くと、クロスをカットする「地ベラ」という道具を
うっかり落としそうになって、新しいフローリングを貼り立ての床にキズでもつけたら
大変だと思い、とっさに手で受けてしまったというのです。

「地ベラ」は言ってみれば包丁に垂直に持ち手がついたようなT型の道具ですが、
よく研がれた刃のようになった部分があります。

「手」のことなので血が勢いよくでてきて、動転したようです。
お客様も留守で、勝手に家を空けるわけにも行かず、
彼に仕事を頼んできた下請けの担当者とは電話連絡がとれない。
しかも元請けさんがどこの業者さんかもわからない

ということで、困って
「どうしよう…」と私に電話してきたのでした。

「とにかく、落ち着いて。まわりに、タオルとかエプロンのひもでもいいから、
なにか手首にまいて止血できそうなものはない?」
といっても、工事中で片づけてしまっているからか「見あたらない」と。
「なんでもいいから、こんな事情だから、もっと見回して借りれるものはない?」
「クロスのジョイント用のテープがあるから、それで結んどくわ」
「そしたら、腕は上にあげとくんやで。今からそっち向かうわ」

急なことだったし、私もその場を見ていないので
どんな状況かもわからず、
「なんとしても病院には行っとかないと」、と現場に駆けつけたのでした。

現場につくと、「やっと血止まったわ」といって、
片手で仕事を続けている夫の傷口を見てみると、
心臓の脈にあわせて、血がビュッビュッとにじんできています。

「とにかくそれ、縫わなあかんわ。無理しても、今日中にはできへん」

ようやく担当者を通じて元請けさんにも連絡がとれたのですが、
迷惑そうに「今日中に仕上げてもらわないと」と言われる始末。
職人仲間に手当たり次第に電話をして、
やっとひと組、自分たちの仕事が終わって帰る途中に
駆けつけてもらうことができました。

続きはその二人にまかせ、
洗面所など、血がついていたので、きれいに掃除し、
現場の近くの病院を探して縫合してもらいました。

病院から帰ると、お客様がとても心配されていましたが、
こちらも自分でやったことなので、夫は
「どんくさい職人やと思われてたら、いややな」
と、きまり悪そうにしていました。(笑)

ただ、その現場、後から彼が言ったことには、
「段取りが悪くて、それで工期が延びたのに、
俺ばっかり急かされたからイライラしてて…
前の日に、あの現場いややな〜、行きたくないな〜って
思ってたら怪我して、本当に行けなくなってしまった」
とのことでした。(悪いように考えれば「悪いことを呼ぶ」といいますよね。)

職人さんも人間なので、まあいろいろとあるでしょうが、
怪我をしてはどうにもなりません。
くれぐれも安全第一でがんばって欲しいものです。



注文の替わりに頂いてきたモノはへ                      HOMEへ




リフォーム業界を リフォームしたい