7月21日  なんやかんやでいつのまにやら出費がかさむ・・・ 今日の一枚を見る

 半日ツアーのスタート。約束である8時の10分前に起きたぼくは、とりあえず既にロビーでスタンバってたスティーブに30分待ってくれとお願いしてゆっくり朝飯を食べることにする。この時点では気持ちは大金持ち(←やることが小さくてせこい)。
 朝食はシンプルなイングリッシュ・ブレックファストでよくあるパターンの内容だがそこそこうまい。

街にあるのだ  で写真(左)のピラミッドへ向かう。このようにまったくの街中にあるということを本当に自分の目で見てしまうとなんだかヘンな感じがするが、ギザはカイロの隣というより中にあるイメージで、大阪でいうと森之宮辺りから大阪城が見えますよ程度な感覚に近い(と思う)。

 そのピラミッドへ向かう途中にスティーブの様々な勧誘と商売がある。
 知り合いや親戚がやっているという香水屋や絨毯屋、民芸品屋、さらにパピルス博物館などに連れて行かれるのだが、これが結構しつこくて巧妙。
 ぼくはこういったパターンはほとんどうまく断ることができてたように自分では思っていたのだが、スティーブにはこれらの店ほとんどに連れて行かれてしまった。

 もうねトルコ人以上にしつこくて裏を感じさせない。その分後味がなんとも言えない悪さなんだけど、うまく断らせないように時間を制限無く消費しようとする。観光の時間がもったいないので、脱出するために安いものを買ったりする短期の旅行者(日本人はほとんどコレにあたる)が多いのも、もう向こうには分かっていることなんだろう。

 スティーブのタクシーはかなりオンボロで、昨日もエンストを起こして15分ほど高架バイパスの上で立ち往生して渋滞を引き起こしてしまっていたが、今日も調子はあまり良くないようだ。というより余りにボロいクルマなのでいつもこんな感じっぽい。
 友人の店だと言うコーヒー屋でアラビックコーヒーとシャイをおごって貰う。もちろん後で分かったことだが、既に作戦は始まっている。
 まずパピルス博物館(と日本語で書いてある)。パピルスの作り方を、日本語を勉強しているという学生アルバイトの店員から説明を受け、そのままいくつかのパピルスに描かれた絵を見せられる。見た目からしてエジプト土産にちょうどいい感じで、案外安かったのでちょっとその気になって聞いていると、途中で日本円に直した金額の桁を一つ勘違いしていることに気がつき、景気よく抑えていてもらっていたパピルス画を全部キャンセル。桁を勘違いしていたことを正直に話して、本当に土産程度になる小さいものを3枚買い、精神的に少しダメージを受けつつ第一関門をクリア。

 そしてスティーブの兄が経営する香水屋で休憩。スティーブは用事があると言って姿を消し、兄と紹介されたヒゲのおっさんが、自分や店員が日本人と撮った写真を見せながら商品の説明を長々とする。しかしこの時点では気持ち的にまだどうにか余裕だった上に香水はどう転んでもいらない(男の癖に香水なんて、お前はオカマかと思ってしまうぼく)ので、時間はロスしたもののどうにかクリア。出された冷たい飲み物はとりあえず頂く。

 続いて親戚だという絨毯屋へ。当たり前なのだが、ぼくは何度も早くピラミッドへ行けと注文している。
 がトルコのときと同じように気に入ったデザインの商品は、やはりある。そもそも悪いものではないのだから当然と言えば当然。そしてもちろん「ぐっど」と言ってしまったからには向こうは引かない。「ぐっど」なのに買わないのはおかしいという論法だから、どう説明することもできない。「ぐっど」だけどいらないとは向こうの商売では成り立たないのだ。もちろん、はるかエジプトくんだりまでやって来ておいてカネが無いなどとは、それこそ笑止千万。
 こうなってしまってはもう向こうが納得しない値段で交渉して逃げるしかないので、70US$だという花瓶敷き大の絨毯を30US$でふっかけてその場を切り抜けようとする。50US$だと買えてしまう危険、10US$だと殴られる危険がある。
 値引きには中々応じないのでスティーブにしつこく早くタクシーを出すように迫るが、最終的に35US$でお願いだから買ってくれとせがまれ、こんな日本人は初めてだと言われながらシルクでダブルノッチの品を購入。正直言って中々良い品だが、もう買わないぞ。

砂漠警察  そうしてやっとピラミッド。タクシーはラクダと馬を飼っている厩舎へ向かう。まあせっかくだしラクダも悪くないとそのまま走らせたが、料金は30US$、25US$、20US$の3コース制。そもそも始めからエジプト値ではないので頑なに拒否し、連続する露骨な観光地商売にますますエジプトに対する印象を悪くしていったが、結局このツアーほとんど別料金やんけと今更ながらスティーブに抗議。
 でここでもこんな日本人は見たこと無いと言われながら25US$のコースを20US$で契約、いざラクダでピラミッドへ。写真(右)の砂漠警察に声をかけられながら、そしてケツを痛めつけながらポックポック進む。
 厩舎のヒゲのおっさんは馬を薦めていたが、ぼくはやっぱりエジプトはラクダだろうとラクダを選ぶ。まあ現地人が薦めるわけは後で身をもって知ることになるのだが、ラクダの場合は馬に比べてかなりケツが痛くなる。さらに尾てい骨の当たりに荷台の柱が当たるのでそこも痛い。ぼくの場合は尾てい骨周辺という普通はあまりそのような傷に縁の無い箇所にズルズル剥けの傷を負ってしまった。もちろんシャワーを浴びると腰が引くくらいヒリヒリする(^^;; いい教訓になった。

ピラミッド スフィンクス
 写真(上)はご存知ピラミッドとスフィンクス。(右上)の写真を撮った場所の丁度真後ろ方向にはトリビアでも有名になったあのファストフード屋がある。
 何枚かピラミッドがうまく写る場所で写真を撮り、そして実物まで足を伸ばす。いくつかの情報ノートには「ピラミッド登頂計画」なる面白い計画を実行した人の話も載っていたが、よくまあこんなのを登ったなというのが正直な感想。まず暑さでそれどころではないはずだ。それに、写真や遠目で見るよりかなりデカイということが、近づくにつれてようやくわかってくる。

 ピラミッドに到着すると見計らったようにドリンク売りがやってくる。経験しないとわかってもらえないのだが、とんでもない暑さなので目の前に冷たいコーラなんか出されるとついついこちらから手招きしてしまいそうになる。
 で値引きしない強欲なドリンク売りから2EPでコーラを買う。スティーブはこれはチープだからちょっと恵んでやってくれとバクシーシを代わって要求してきた。暑い上にうっとおしいので1EP渡す。エジプトは何から何までこんな調子で、本当に面倒くさい。
 この体験を通じて、自分にはまだまだインドは無理だという総合判断を下すにいたった。日本というヌルヌルの過保護社会で何十年も生きてきた人間が、仕事として乞食(←この言葉は問題あるのかな?でもそれ以外に合う言葉はないと思う)をする人間とはとてもじゃないけど勝負はできないと思った。それも勉強だと言ってた上級者もいたが、ぼくのようなアマちゃんには理解できない。

 そして最後に土産物売り屋へ。スティーブは「ばざーる」だと言ってたので現地の市場か何かだと思っていたが、単なる土産物屋。がっくりしたがとりあえず見て回るように言われて、買う気を見せないように(商品の前で立ち止まらないように)ゆっくり歩いて回る。
 それでも一応定番のポストカードを数枚買い、その土産物屋を脱出。なんと1枚1EPも取りやがろうとするので猛抗議。10分ほど文句を言ったら3枚2EPになったが、このぼったくり精神というのは普通の日本人の魂をグダグダにさせる何かを持っていると思う。非常に疲れる。

 スティーブは日本人はもっともっと色々なモノを買うと言っていたが、本当にそんなアホみたいな日本人今時いるのだろうか?
 あとはホテルまで送ってもらって半日ツアー終了だが、とてつもなく大きな渋滞につかまりあと10分くらいと言い始めてから1時間くらいストップ&ノロノロを繰り返す。
 イライラしているのはスティーブ。ぼくは効きは悪いが冷房のあるタクシー内でゆっくりしていたが、遂に追い出されることに。。。
 ガソリンが高いとか何とか最初12US$で決めていた料金をアップするように、とても運ちゃんとは思えない口調で迫ってきたのでだんだんバカらしくなってきて12US$を叩きつけて自分でタクシーを降りた。
 歩けば5分くらいの距離だったので助かったが、早くエジプトとは決別したい思いで一杯になった。

 スティーブはタクシーの中で何度も、ラクダに乗ったとかパピルスを買ったと他人には言うなと念押しした。もしそれを他のエジプト人に言うと自分は金持ちだからと公言しているのと同じで、みんなバクシーシをしにくるということだった。
 何度も言うのでしまいにスティーブの焦りが見えてきた(笑)。値段を言うとぼったくりしているのがバレバレだからということじゃないのか。エジプトというよりスティーブ、あんたがダメだ。

大統領のお通り ナイル川
 部屋に戻るとなんと床が水浸し。上の階から水が漏れてきて大変なことになっている。幸い荷物はほとんど大丈夫だったが、早速部屋を変えてもらい、ランドリーサービスを無料でやってもらうことを要求して受け入れてもらう。
 昼寝するつもりだったが、ちょっと落ち着かず久しぶりに普通の飯を食うことにしてホテルでチキンのチャコールというものを注文。さらにサラダを追加して腹いっぱいで5US$。この点ではエジプト最高なんだけど・・・

 写真(左上)は警官による人の壁です。
 ナイル川周辺を散歩しようとホテルを出て歩いていると、そこら中警官だらけになって交通整理を始めた。様子を伺いながらさらにブラブラしていると、かなりの距離にわたって警官が等間隔で整列してだんだんと物々しい雰囲気になってきた。
 カメラを向けると真顔で「のー」だと言われて引き下がる。写真(右上)のナイル川を撮ったりした隙にさっと一枚撮ったのが写真(左上)なのだが、他の一般の人に聞いてみると、大統領のクルマがお通りになるということでこの厳重警戒になったのだそうだ。
 テロの可能性があるのだろうか・まさかなと日本人らしく能天気に考えていたが、この能天気さが日本人であるのことの証左だろう。どこにいてもその可能性が無いということは無いのだが、こういう事態に慣れていないということも含めたその弱さが、世界と(いや敵とでも良い)対峙したときにどう影響するのだろうか。それを考えるととても怖い。

 大統領のクルマが一瞬で去り、警官たちも一安心で異邦人であるぼくにちょっと意識を向けているようだ。
 日本でも少し昔は外国人をみると取った態度のようなことを、警官がする。何人かはどこでも聞かれたように「ちん?こり?」と聞いてきたが、ぼくは毅然と「じゃぱにー」と応える。
 ナイル川の夕焼けを眺め、日本人が常駐しているという旅行代理店に行ってみるが既に閉店していた。ちょっとエジプトのぼったくり精神に対する対処法なんかを聞いてみたかった(まったく、普通に働いている人間に対して迷惑だなあ)のだが、明日また行くことにして、日本人パッカーが大量にいるという安宿に足を伸ばしてみる。

映画館  アラブのパターンどおり夜になると人がどっと増える。カイロは大都会だからその喧騒も凄い。
 写真(右)はアメリカ禁酒法時代というか古きよき欧風の風情を残した映画館です。とてもおしゃれな感じがして撮ってしまいました。

 安宿・スルタンホテルにいた日本人男性の若者と一緒に散歩する。
 お勧めだというジュース屋へ行き、マンゴージュースとバナナジュース(各1EP)を飲む。これがまたべらぼうにうまくてびっくり。値段と味のバランスが取れてないのではないかと心配してしまうくらい美味いので、明日も来ることを決めて安宿に戻る。
 宿は思ったよりかなり不潔な感じがした。住み着いている(に等しい)方が情報ノートにいくつか注意書きをしてあったが、その方の言はごもっともで説得力があった。とても参考になるが、何人か見た宿泊しているのであろう日本人にそれを守る気持ちがあるかと言えばどうも怪しい。どうせヒマなんだろうし、目くらいは通していると思うが・・・。
 宿の近くではやはりだらしの無い日本人若者を多数見たが、足を露出して椅子の座に片足を上げて座り込み、さらにその汚い顔で現地の男にまじって水タバコを吹かす日本女を見たときには、もうこの世も終わりだと感じたものだ。
 トルコの有名安宿でもあっけにとられることが多かったが、他に日本人がいると何か気を緩めてしまうのか恥を恥とも思わない行動が目につく。非常に不愉快な思いをすることが多いが、ある意味旅行も外交なんだという気持ちも忘れないで欲しい。アカン過ぎるのが多いような気がする。

 帰りに地元の商店でセブンアップとスナックを買い、宿でコパ・アメリカ、アルゼンチン対コロンビアを見ながら眠りにつく。商店のオヤジはいくつかアラビア語を教えてくれたが、ぼくはもう明日にはトルコへ移動するのです・・・

 エジプト エジプト/カイロ ニューガーデンパレスホテル 2004年7月20,21日泊
ニューガーデンパレスホテル ニューガーデンパレスホテル
宿泊料2泊で40ドル、エアコン・バス・トイレ・テレビ付
カイロに着いたのが深夜だったのでタクシーの運ちゃんに最小限の要望を伝えてやってきた宿。この運ちゃんも結構曲者(自称スティーブ)だったが、最初に入ったときは値段のわりに良い設備だったのでうれしかった。ところが初日の観光を終えて部屋に戻ってみると雨漏り(最上階ではないので上の部屋からの水漏れ)で部屋中びしょぬれ。その対応も納得いかないものもあったし、頼んでおいたランドリーサービスもまったくできていなかった。
この値段で納得できるサービスを求めるのもなんだが、ランドリーはホントに最悪。ビニルバッグに洗濯物をつめて渡したのだが、その内の1/3くらいしか洗濯せず戻してきた。クレームをつけてやり直しさせたが、それも手を抜いたとしか思えない仕上がり。最初の喜びようは一体なんだったのか・・・非常に後味の悪い宿だった。観光中にもあったことをあわせて、エジプトは総じて印象が悪い。
ADD:11Modareat Al Tahrir St.Garden City
TEL:7964020-7964365

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