7月20日  エジプトってこんなに入りにくい国だったの? 今日の一枚を見る

 ヨルダンで初めて部屋にテレビがついたのでちょっと夜更かししてしまう。テレビの恐ろしいところは、必要なく頭にも入らないのに見てしまうところだが、正にそのパターン。番組なんて何一つ覚えていない。
 でも結局翌朝7時過ぎには目を覚ます。一応携帯電話で目覚ましをセットしているのだが、どうしてかその5分ほど前に目覚めてしまうことが結構ある。日本に戻ってもこうだったらもうどれだけ楽チンだったことか・・・

 すぐに出発してホテルの前からタクシーで港へ。宿で値段を聞くと2JDほどだと言うのだが、現金の残りがわずかだったため、すこしのヨルダンディナールをケチろうとメーターを倒すように指示して乗り込む。
 しかしこのメーターが癖者だった。おかしなくらい早いスピードでカウントが上がっていき、港に到着したときはなんとそのメーターは4.95JDを指していた。
 どうみても4.95JDと表示されているので仕方なしに5JD支払う。ドライバーはちょっと思うものがあったのか0.5JD返してくれたが、当初考えていた計算がさっそく狂ってしまった。
 ヨルダンからエジプトへ出国する場合は出国税として5JD必要なのだが、もうその現金がない。もしタクシー料金が2JDで済んだらギリギリ払えるはずだったのに、ヘタに考えすぎた行動をとると逆に失敗するという良い例だ。

 小額のUS$をJDに両替(もちろんレートは悪い)、とりあえずヌエバ行きのチケットを買いに列に並ぶ。このアカバ−ヌエバ線は速いスピードボートと遅いフェリーとがあり、もちろん遅いフェリーのほうが安くて多くのパッカーはこちらを使うそうだが、ぼくはスピードボートを選択。ヌエバから楽園ダハブへ行く羨ましい人たち(大抵はスローボートに乗る)を横目に、ぼくは今日のできれば早いうちにカイロに着いておきたかったのだ。トルコではこんな考えでも大抵きちんと物事はうまくいくのだが、さてエジプトではどうだろうか?

 36US$のスピードボートのチケットを買い、スタンプを押してもらい、出国税を支払い、と全て別の場所で長い列にならんで済ます。もうちょっと合理的にできないものか、と思ったがそれもお国の事情ってことなんだろう。
 スタンプを押してもらう時に係員が最初に「へじめますと」と言ってきた。なんだろうと思って考えてみると(その間何度か「へじめますと」と言って笑っている)どうやら「はじめまして」と言ってるらしい。ここを通過した日本人に教えてもらったのだろう、何度も長い列に並んだ疲れも少し和らいだ。
 しかしながらなんやかんやで結局2時間くらい手続きにかかってしまう。出港が11時なので早めに着ておいて良かった。

 残った小額現金で船酔い対策として水とガムを買い船に乗り込む。
 なんと荷物は全員クルマの停車庫の端に各自で置く様に指示される。無くなると取り返しのつかないものを中心に、デジカメの備品などを肩掛けバッグに移して船内に持ち込んだが、船を下りるときもなるべく早めに荷物の前に着いてなければ、最悪持って行かれる可能性もある少々危険なシステム。
 そう言えば、イタリアのアンコーナからクロアチアのスプリットへ渡るアドリア海横断船でも同じように荷物を置くように指示されたなあ。世界標準ではこんなものなのかもしれない。

 客室に進み、空いている席に座ろうとすると「のー!すたんぷ!」と怒鳴られたので、その船員のおっさんの指差す方向に向かってみる。
 だがその先で別のおっさんにまた指差しでそこに座れと空いている席を指示され、わけわからないうちに席に座ることになる。何だスタンプって?
 座った周りはスペインからのツアー客。船酔いがきついと聞いていたので細心の注意を払って対応していたが、幸い何事もなく船は進む。

 途中スペイン人たちに促されて船員の所に行きパスポートを見せると、ヴィザが無いとのことで預かられてしまう。しつこくついて回ってそのパスポートをどうするのか聞き出すと、到着後イミグレにて渡すとのことだった。
 むーん本当か? 怪しさ爆発ではないか・・・しかしどうすることもできないのでその船員の近くでずっと立ったまま遂にヌエバ到着となった。

ヌエバの貨物集配所  写真(左)はヌエバの貨物集配所です。ようやくエジプトに入国を許可されてここにたどり着いた時に安堵の気持ちで撮ったものです。
 というのも、ここまで来るまでが大変だった。

 まず到着して下船する際に早くもぼくのパスポートを持った船員を見失う。
 近くにいた韓国人とロシア人の男性と話をして同じ境遇だということで、一緒に船を下りてとりあえずイミグレへ向かう。そしてそのイミグレでは、銀行に行ってヴィザを買えと言われ少し迷って銀行を探し当てるが、なんとびっくり閉まっている。
 三人が三様にがっくり度を体で表現していると、近くにいたおっさんが「かむかむ」と言いながら別の銀行へ案内してくれた。が、その銀行も行員が1人いるのになぜかダメだと言われたようで、かむかむのおっさんに首をすくめられた。

 強烈な炎天下でにっちもさっちも行かないので、またイミグレへ戻り、さっき銀行へ行けと言ったヒゲのおっさんに文句を言う。
 しかしなんだかんだでなだめられて、熱いお茶を出してもらい30分間エアコンの効いた部屋で待って再び銀行へ行くと、今度は長い行列ができていて、実にその列の大部分はその恐ろしいまでの直射日光を思う存分に浴びている。うんざりしながらその行列にならんでやっとヴィザをゲット。ついでに両替(20US$→123.3エジプトポンド(以降"EP"とします))してやっとエジプトに入国を果たし、写真の風景にやってきたわけです。
 ちなみにヴィザっていっても、銀行で印紙を買ってパスポートに貼り付け、それを係りのおっさんがボールペンでしゃーしゃーと二重線引くだけ。正直、なんじゃそりゃと思った。

 韓国&ロシアの2人組みはそのまま楽園ダハブへ向かい、ぼくはヌエバのバスターミナルからカイロを目指す。
 既に昼の2時を回っており、カイロに着く予定がかなり遅くなる予感。暗いエジプトなんてかなり怖い(と勝手に思っていた)のでダハブのトロピカルな楽園風景(完全に想像)が頭の中をグルグルと回りだす。
 イマジンしながら歩いていたので何人かの客引きをスルーしたが、いつのまにかカイロ行きチケットを買う列にならんでいる。これはもうカイロへ行ってから考えよう。第一、高い金を払って押さえたカイロ−イスタンブル便までそんなに日にちが無いのだから。

 チケットは45EP、50EP渡したら5EPのおつりをもらうのに15分くらいかかった。チケット販売所にはその小銭が無くて他の客から5EP支払われるまで待つのだ。これしきでうーと言ってはエジプトでは生きていけない。それくらいのことはぼくでも分かる。
 バスは客で満員になるまで待ち、3時半頃ようやく首都カイロへ向けて出発。待っている間、席に座って外を眺めていると大道芸のような見世物をやっている人がいて、時間つぶしになった。

タイヤ交換  と出発して30分も立たないうちにストップ。なんだと思ってると写真(右)のようにタイヤ交換をはじめる。おいおい。
 横に座ったスーツを着たサラリーマン風なヒゲのおっさん(アラブでは男はほとんど「ヒゲのおっさん」)に聞くと、カイロに着くのは夜中になるとのこと。ほーう、どうしましょう?タクシー捕まえるしかないな。。。

 寝たり起きたりしながら車窓を眺めていると遠くに明かりが見えてきた。やっとカイロかとちょっと姿勢を正して見ると、横のヒゲのおっさんがスエズだと教えてくれた。明るいのはスエズの街が放つ光で、これからその有名な運河の地下を通っていくのだという。そしてその道路は日本の協力によって造られたとやさしい口調で教えてくれた。
 さらにカイロの地下鉄も日本とフランスの協力によって造られたということも付け加えて教えてくれ、「さんきゅう」とまで言われた。
 入国の際にダウンしたエジプト人のイメージが大きくアップした。ヒゲのおっさん以外の乗客も友好的な態度であった。
 こういうことを政府も戦略的宣伝と言っては聞こえが悪いが、やっていかねばならないと思う。余りにも悪い例が近隣国にあるんだから教訓にはできると思うのだが。

 カイロのバスターミナルには夜11時過ぎに到着。交通量は多いが、やはり危ない。
 カイロの地図は旧市街中心部の手書き地図しか持ってないので、ここがどこだかもまったく不明。最初の予定通りタクシーを捕まえてその旧市街周辺の安ホテルへ行ってもらう作戦で動く。
 と言っても歩き出してすぐにタクシーの運転手が何人か声をかけてきたので、その中からカタコトの日本語を話すおっさん(自称スティーブ)のタクシーに乗り、エアコンがあって、ランドリーサービスもある20ドルくらいのホテルへと指示する。タクシー料金は5US$。ちょっとボリやがった。
 スティーブは自分の知っている日本人が3組宿泊中だという45US$のホテルを薦めるが、そんなイージーな手は通用しない。
 指示通りだがそれでも一応面識はありそうなホテルに連れて行かれ部屋をチェックする。スティーブに明日ピラミッドへ行くタクシーに指名するからとぼくの条件をホテル側に伝えさせ、結果的に少し値引きをしたことになったようだが、部屋は想像以上に清潔で気持ちよく1泊20US$の2泊を決定した。
 スティーブもぼくも満足。明日の朝スティーブが迎えに来てピラミッド・パピルス博物館・カイロ博物館とホテルとの往復で12US$という半日ツアーもとりあえず生返事で答えて帰し、ホテルのレストラン、なんとバーもあるので久しぶりにセレブなビールで1人乾杯。ほとんど食事もしていない疲れた体に冷えたビールがなんともうまい。
 20US$でこのクラスのホテルならエジプトではかなり節約できるだろうと、すきっ腹に飲んだビールに酔わされて眠る。

 エジプト エジプト/カイロ ニューガーデンパレスホテル 2004年7月20,21日泊
ニューガーデンパレスホテル ニューガーデンパレスホテル
宿泊料2泊で40ドル、エアコン・バス・トイレ・テレビ付
カイロに着いたのが深夜だったのでタクシーの運ちゃんに最小限の要望を伝えてやってきた宿。この運ちゃんも結構曲者(自称スティーブ)だったが、最初に入ったときは値段のわりに良い設備だったのでうれしかった。ところが初日の観光を終えて部屋に戻ってみると雨漏り(最上階ではないので上の部屋からの水漏れ)で部屋中びしょぬれ。その対応も納得いかないものもあったし、頼んでおいたランドリーサービスもまったくできていなかった。
この値段で納得できるサービスを求めるのもなんだが、ランドリーはホントに最悪。ビニルバッグに洗濯物をつめて渡したのだが、その内の1/3くらいしか洗濯せず戻してきた。クレームをつけてやり直しさせたが、それも手を抜いたとしか思えない仕上がり。最初の喜びようは一体なんだったのか・・・非常に後味の悪い宿だった。観光中にもあったことをあわせて、エジプトは総じて印象が悪い。
ADD:11Modareat Al Tahrir St.Garden City
TEL:7964020-7964365

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