FFRと冠循環の特徴



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《Contents》

FFRと冠循環の特徴
FFRの最大充血と論理的根拠
FFRの特徴と最大充血薬
FFR測定の実際
参考文献





 

■FFRとは

 FFRとは

  FFR(Fractional Flow Reserve;冠血流予備量比)とは、最大拡張時において狭窄のない正常血管の最大血流に対する狭窄血管の最大血流の比を大動脈圧(Pa)に対する狭窄遠位部の冠内圧(Pd)の比で表すことで心筋への灌流の程度を反映し、冠動脈の狭窄の重症度(心筋虚血の有無)を客観的に評価する生理学的指標です。

FFRとは
狭窄血管の最大血流
正常血管の最大血流
狭窄遠位部の冠内圧(Pb)
大動脈圧(Pa)
で表すことで
冠動脈の狭窄の重症度(心筋虚血の有無)を評価する生理学的指標

  FFRの正常値は、1.00であり、FFR<0.75の場合、ほぼ心筋虚血が存在し、FFRが0.75〜0.80の場合、虚血が存在することがありグレーゾーンと呼ばれています。虚血を有する病変(有意病変)に対しては、薬物治療より血行再建術(PCI・CABG)をした方が良いとされ、逆に虚血を有しない病変(非有意病変)に対しては、血行再建術よりも薬物治療の方が良いとされています。

虚血の閾値

  実際の測定では、大動脈圧(Pa)はガイディングカテーテル(GC)の先端圧、狭窄遠位部の冠内圧(Pd)はガイドワイヤーに圧センサーを付けたプレッシャーワイヤー(PW)を冠動脈の遠位部にもっていきその圧を用いて測定します。
FFRの測定

FFRの測定 =
PWの圧
GCの先端圧

  但し、そのFFRの測定には、冠動脈の最大拡張(最大充血)が不可欠となります。その理由については後ほど説明していきます。

FFRの最大充血の必要性


■冠循環の特徴

 冠循環の自己調節能(オートレギュレーション;Autoregulation)

  冠循環の自己調節能とは、大動脈平均圧が40〜130mmHgの範囲内では一定の血流を維持する機能です。これは、0.5mm以下の抵抗血管によって血管の抵抗を調節し、血流を一定に調節しています。
冠循環の自己調節能(オートレギュレーション)

≪冠動脈と抵抗血管≫

  冠血流に対する抵抗の75%は冠動脈側に存在し、その機能はサイズによって異なる。

レベル血管径特徴
導管血管>500μm・PCIの治療対象である心筋外血管は導管血管として働く
・狭窄が存在しない限り抵抗はない
前細動脈500〜100μm・冠血管抵抗の約25〜35%を担っている
・冠内圧の変動(拍動)に対して抵抗の調節を行う
・血流依存性の拡張反応を起こす
細動脈100〜10μm・冠血管抵抗の約40〜50%を担っている
・冠内圧の変動(拍動)に対して抵抗の調節を行う
・虚血のようなストレスに対して血管拡張し血管抵抗を減少
毛細血管<10μm・心筋細胞と毛細血管がそれぞれつながっている
・左室肥大、心筋虚血、糖尿病等において抵抗が増大

抵抗血管


 拡張期優位の血流

  通常臓器は、心臓の収縮期の駆出によって臓器に灌流されるため収縮期優位の血流となります。冠血流は、他の臓器と異なり拡張期優位となっています。これは、心臓が収縮することで心筋内の血管が圧迫され抵抗が増大し、収縮期の血流が低下し、拡張期には心筋が弛緩することで心筋内の血管の圧迫がが解除され、血流が増大するため拡張期の優位となっています。
ただ、右心側を走行する右冠状動脈は、左心室に比べると右心室の心筋は薄く、又、大動脈圧と右室収縮期圧の圧較差が大きいことから収縮期にも血液が流れやすいため右冠状動脈血流は、収縮期の優位性はなくなります。

大動脈圧と冠動脈流量



参考

タイトルアクセス日アドレス(URL)
知って得する病気の話_本当に治療が必要な患者さんへのカテーテル治療(循環器内科) | 彦根市立病院2019/5/26http://www.municipal-hp.hikone.shiga.jp/0000000397.html
心機能と冠循環:心筋虚血の生理学2019/5/26https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&ved=2ahUKEwiHkcOAi7niAhXDZt4KHQNRCkYQFjAAegQIARAC&url=http%3A%2F%2Fwww.med.kyushu-u.ac.jp%2Fmolcar%2Flecture%2520notes%2FH25Joint%2520class_cardiology.pdf&usg=AOvVaw0UtJjxyeWoo3AvhPSQmHNv
2. 冠循環生理の基本 - RAISE Study2019/5/26https://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&ved=2ahUKEwiJv67AhbniAhWaMN4KHRdsCAoQFjAAegQIARAC&url=http%3A%2F%2Fraise.umin.jp%2Fzsp%2Fdownload%2F2_zscore.pdf&usg=AOvVaw2IjIjFAjTupHN1hZNhhocu
毛細血管(もうさいけっかん)とは - コトバンク2019/5/26https://kotobank.jp/word/%E6%AF%9B%E7%B4%B0%E8%A1%80%E7%AE%A1-142094

書籍著者(編者、監修)名書名(タイトル)出版年出版社
FFRプラクティカルガイド―冠内圧測定を用いたインターベンションの実際 (Hands‐on Book) 田中 信大 FFRプラクティカルガイド―冠内圧測定を用いたインターベンションの実際 (Hands‐on Book) 2007年中山書店
FFRのすべて 田中 信大 FFRのすべて 2015年メジカルビュー社
Abbott PressureWireTMHandbook 不明


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