薬理学まとめ

HOME : 試験案内 : 目次 : 掲示板 : 参考書 : Link : 参考文献 : メール



  未熟な左手が作った臨床工学技士国家試験の薬理学に関するよりぬきノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。




薬物療法の目的

原因療法

  病気の原因を取り除く


対症療法

  病気による不快な症状を取り除く


補充療法

  体の維持に必要なものを補充する


予防療法

  病気の発生を未然に防ぐ



薬理作用

主作用

  治療の目的に合った作用


副作用

  治療上不必要又は有害な作用


薬物動態学

  薬物が、吸収(血中に流入)・分布(全身に分布)・代謝(化学変化をうける)・排泄(体外へ排出)される段階。いわば、体が薬に働きかける相


薬力学

  薬が細胞膜の受容体(薬物受容体)に結合し、情報伝達物質(セカンドメッセンジャー)によって情報を増幅され、薬効が表面化する段階。いわば、薬が体に働きかける相



薬物与薬方法

経口適用(内服)

  最も多く用いられる。薬物作用は小腸で吸収され、門脈、肝臓、心臓を経て作用部位に到達

≪利点≫

・ 安全、簡便かつ経済的

・ 作用発現が穏やかで持続的

≪欠点≫

・ 吸収が遅くかつ不確実

・ 作用発現が遅い

・ 胃内の食べ物やpHに影響される


注射

  皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、クモ膜下腔注射がある。

≪利点≫

・ 作用が確実でかつ迅速に発現

・ 悪心、嘔吐、食道障害患者にも使用可

・ 少量で効果発現

≪欠点≫

・ 副作用が強く、注意が必要

・ 無菌操作、消毒、注射技術が必要

・ 疼痛を伴う


与薬方法による作用の違い

  静脈内>吸入>筋肉内>皮下>経口(内服)

与薬方法による作用持続性

  経口(内服)>皮下>筋肉内>吸入>静脈内



薬物療法に影響を与える因子

服薬率(コンプライアンス)

  処方された薬物が指示通りに服薬されている割合。要するに患者さんが薬を飲んでるかどうか

インフォームドコンセント

  医療関係者による十分な説明と患者の同意

薬物相互作用

  2種類以上の薬物を同時に与薬すると、一方の薬物が他方の薬物に及ぼす影響

相加作用 : 単独の効果の和と同じ作用
相乗作用 : 単独の効果の和よりも強い作用
拮抗作用 : 単独の効果の和よりも減弱される作用


プラセボ

  先入観や心理効果の影響によって得られた治療効果


血中濃度モニタリング(TDM)

  安全域の狭い薬物の治療に至適な薬物濃度を維持するために行うモニタリング



中枢・末梢神経系薬

自律神経

交感神経

≪受容体≫

受容体作用
α 受容体@ 動脈血管収縮、血圧上昇
A 散瞳作用
β 受容体 @ 気管支拡張
A 心機能促進(心収縮、心拍数・心拍出量増加)
B 血糖上昇
C 骨格筋の血管拡張

≪情報伝達物質≫

 カテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン)

副交感神経

≪受容体≫

 ムスカリン受容体、ニコチン受容体

≪情報伝達物質≫

 アセチルコリン


交感神経興奮薬

≪薬剤≫

  ノルエピネフリン


交感神経抑制薬

≪薬剤≫

  塩酸プロプラノロール、メチルドパ


副交感神経興奮薬

≪薬剤≫

  ネオスチグミン


副交感神経抑制薬

≪薬剤≫

  硫酸アトロピン


全般的中枢抑制薬

≪薬剤≫

  エーテル、ハロタン、バルビツレート類

≪主作用≫

  意識消失、鎮痛、骨格筋弛緩、自律神経反射抑制が外科麻酔に重要


抗精神薬(強力トランキライザー)

≪薬剤≫

  クロルプロマジン、ハロペリドール

≪主作用≫

  精神分裂病や躁病の治療薬

≪副作用≫

  錐体外路症状、自律神経症状


抗不安薬(小(穏和)トランキライザー)

≪薬剤≫

  ジアゼパムなどベンゾジアゼピン類

≪主作用≫

  神経症や心身症に見られる不安や緊張に対して有効。依存性あり


抗うつ薬

≪薬剤≫

  三環系抗うつ薬(イミプラミン)、四環系抗うつ薬


抗てんかん薬

≪薬剤≫

  フェノバルビタール(×小発作)、フェニトイン、カルバマゼピン、エトサクシミド(○小発作)


抗パーキンソン病薬

≪パーキンソン病≫

  中脳黒質のドパミン神経細胞死による錐体外路系運動障害

≪パーキンソン症候群≫

  大脳基底核の血管障害によって起こる同様の症状を示すもの

≪薬剤≫

  レボドパ、アマンタジン、トリヘキシフェニジル


麻薬性鎮痛薬

≪薬剤≫

  モルヒネ、コデイン、ジヒドロコデイン、メペリジン、フェンタニル

≪拮抗薬≫

  ナロキソン、ナロルフィン

≪主作用≫

  鎮痛作用、鎮咳作用

≪副作用≫

  便秘、呼吸抑制、縮瞳、悪心、嘔吐、情緒変調、強い依存性


解熱鎮痛薬

≪薬剤≫

  NSAID(アスピリン、インドメタシン)、アセトアミノフェン、フェナセチン


局所麻酔薬

≪薬剤≫

  コカイン、プロカイン、リドカイン

≪主作用≫

  局所の鎮痛、筋弛緩、反射抑制



循環器系薬

強心薬

≪薬剤≫

  ジキタリス、エピネフリン、ドパミン、アミノフィリン、テオフィリン

≪ジキタリス≫

主作用 : 強心利尿薬
副作用 : 徐脈。利尿薬と併用で低K血漿に陥りやすい
       薬の有効量と副作用量とが近いためTDM対象


抗狭心薬

≪薬剤≫

  β遮断薬(労作狭心症有効)、Ca拮抗薬、ニトログリセリン、イソソルビド、亜硝酸アミル


抗不整脈薬

≪薬剤≫

  キニジン、リドカイン(キシロカイン)、β遮断薬(硫酸プロプラノロール)、カルシム拮抗薬


利尿薬

≪作用部位≫

  遠位尿細管に作用

≪薬剤≫

  フロセミド(ラシックス)

≪副作用≫

  低K血症


降圧剤

≪薬剤≫

  利尿薬(フロセミド)、Ca拮抗剤、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬



消化器系薬

抗潰瘍薬

≪薬剤≫

  精神安定薬、制酸粘膜保護薬、抗コリン薬、ヒスタミンH?拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬



代謝・内分泌系

血糖降下薬

≪薬剤≫

  スルホニル尿素薬(インスリンの分泌を促進)、ビグニナイド薬(ブドウ糖を吸収抑制)


抗甲状腺薬

≪薬剤≫

  プロピルチオウラシル

≪副作用≫

  白血球減少症



抗アレルギー薬・自己免疫系

抗アレルギー薬

≪薬剤≫

  抗ヒスタミン薬、交感神経興奮薬(気管支拡張薬)、副腎皮質ステロイドホルモン



生体活性物質

オータコイド

≪薬剤≫

  5-HT、アンギオテンシン、キニン、プロスタノイド、サイトカインなどの生体活性物質



抗菌薬

細胞壁合成阻害薬

≪薬剤≫

  ペニシリン系、セフェム系、バンコマイシン

≪副作用≫

  過敏症


タンパク質合成阻害薬

≪アミノグリコシド系≫

薬  剤 : ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン
副作用 : 第8脳神経障害(難聴、めまい)、腎障害

≪クロラムフェニコール系≫

薬  剤 : クロラムフェニコール
副作用 : 骨髄機能障害

≪テトラサイクリン系≫

薬  剤 : テトラサイクリン
副作用 : 腎障害、肝障害

≪マクロライド系≫

薬  剤 : エリスロマイシン
副作用 : 肝障害


細胞膜合成阻害薬

≪薬剤≫

  ポリミキシンB、アンホテンシンB(抗真菌剤)

≪副作用≫

  腎障害


DNA・RNA合成阻害薬

≪DNA阻害薬剤≫

  キノロン系(ナリジクス酸、オフロキサシン)

≪RNA阻害薬剤≫

  リファンピシリン



抗癌薬

抗癌薬

≪薬剤≫

  アルキル化薬(シクロフォスファミド)、代謝拮抗薬(メトトレキサート、フルオロウラシル)、抗生物質(マイトマイシン)など



ビタミン剤

ビタミン主要欠乏症


VA (レチノール) 夜盲症
VD (カルシフェロール) クル病、骨軟化症
VE (トコフェロール) 不妊症、神経障害
VK 血液凝固障害


VB1 (チアミン) 脚気
VB2 (リボフラビン) 口角炎
VB6 (ピリドキシン) 多発性神経炎
VB12 (シアノコバラミン) 悪性貧血
VC (アスコルビン酸) 壊血病
ナイアシン (ニコチン酸) ペラグラ
パントテン酸 皮膚炎
葉酸 大球性貧血

※ ビタミン剤であっても過剰投与は、副作用を引き起こす。



新薬の開発

新薬研究

≪治験≫

  新薬(又は既存薬の新適応、新製剤、用法・用量の変更等)の承認申請を目的とする臨床試験

≪倫理性≫

  Good Clinical Practice(GCP)に従う

≪OTC≫

  一般向けの薬。処方箋なしに薬局・薬店などに行って購入できる薬

≪スイッチOTC≫

  医師の指示でしか使用できなかった薬がOTC薬と同じように薬局で購入できるようになった薬


臨床相研究

≪第1相(PT)≫

  少数の健常志願者。安全性の確認

≪第2相(PU)≫

  病気の人。有効性、特に用法・用量の見当付け

≪第3相(PV)≫

  比較試験を行い、承認申請資料を整える。医薬品機構や厚生労働省で法的・科学的な調査・検討を経て一定のレベルに達していれば、承認、市販される

≪第4相(PW)≫

  市販後監視

≪比較試験≫

  どちらの薬を用いているか判らないよう目隠しして行う二重盲検(遮断)法を採用する









目次