東洋医学・漢方・ハリ治療・良導絡治療
 一見みすてられたかの観のあったこれらの治療法が再び脚光を浴び始めました。 『痛み』とはなにか?神経科学の分野では神経系のplasticity(可塑性)が話題になり、疼痛メカニズムに関係する分子が明らかになってきましたが、 それで『痛み』のすべてが解明されたわけではありません。ペインクリニックをやってみると、『痛み』は知覚の伝道路を遮断するだけですべてかたが 付くものではないことを痛感します。ここに東洋医学的な治療法を導入した理由があります。もちろん漢方医学やハリ治療は単に『痛み』だけを対象に 行われるものではありません。東洋医学の考え方を生かすと、腰や手足の冷え、だるさ、のぼせ、頭痛、肩こり、不眠、イライラ、 不定愁訴と呼ばれる症状は『お血』とよばれる症状を改善すればぐんと良くなります。
経穴(つぼ)の正体は?
 経穴(つぼ)は、身体の外(界)と内(界)との門戸となるところで、しかもそこをハリや灸で治療すると、 効果が現れる点のことです。「気」が流れる通路を経絡と言います。経穴(つぼ)を刺激して 「気」の状態を調節して身体全体のバランスをとる治療法が経絡治療です。人間の体には三百六十五のつぼがあり十二ある経絡に沿って配列されています。つぼとはズバリ!「最も重要な」という意味を持っています。「肝心要」や「つぼを得た」という言葉はここからきています。
良導絡・良導点
 ヒトの皮膚に弱い電気を流した時、《多く流れる所》と《流れが少ない所》があり多く流れることを「導電性が高い」といいます。 「電気がく」「流れる(かれる)「点の意味で良導点 と中谷博士はなずけました。身体の異常や刺激に反応して出現し変動する良導点を、『反応良導点』と呼んでいます。良導点は誰にでも共通してみられる 生理的現象であり反応良導点は疾病や刺激の反射として現れる病態生理現象あると言えます。経穴(つぼ)の部位に多く一致し 良導絡と経穴(つぼ)は相似系をなしていて「局所に交感神経の興奮している場所」です。
ツボの見つけ方
指先で押しながら、痛いところや気持ちのいい治療点を注意深く探してください。ツボを探すときは、多少痛みを感じる姿勢をとるようにしてください。ツボが1つ見つかると、上下左右1a〜2aくらいのところに別のツボが見つかります。
知って得する漢方薬
漢方薬はいくつかの天然生薬を配合した薬です。生薬には植物性、動物性、鉱物性のものがあり、特徴は一とつひとつの生薬にいろんな成分が含まれていることです。漢方薬は作用がマイルドなイメージがありますが、効き目が弱い訳ではありません。多彩な生薬の組み合わせにより、互いの作用を引きだし、副作用を抑えあうーこれが漢方薬の特徴です。いまや医療現場では漢方薬と西洋薬の併用は日常的。たとえば、西洋薬のみでは効果が不十分な場合や、副作用が強くて長期間の服用を避けたい場合にも漢方薬が使われています。漢方治療の特徴のひとつは、不快な症状があれば、たとえ検査で異常がなくても,病気になる手前の「半健康」の段階から治療が可能ということです。
人参(ニンジン)ウコギ科のオタネニンジンの根。調整法により白参、生干人参、御種人参、紅参などがあります。大脳皮質の刺激により血圧降下や呼吸促進、インシュリン作用の増強、赤血球数・ヘモグロビン増加などの作用が認められている。はなはだしい全身の機能低下を回復し、さまざまな病邪を除く.激しい口渇、頻尿を止め、苦しみもだえるもの飲食の不摂生による嘔吐、下痢、四肢の冷え、(息切れ)呼吸促迫、呼吸浅表、腹痛、自然に汗が出るものを治す。高麗人参(コウジン)の効用コウジンの活性成分は、十種類の「サポニン」。コウジンの最大の特徴は、これらの「サポニン群」が“中枢神経のバランスを調整する”ことにあります。中枢神経は、身体のすべての臓器・生理的機能を統制しています。これを調整するニンジンは、『人体が本来もっている自然治癒力を助けるはたらき』をするわけです。ニンジンが昔から「未病」「病中」「病後」をとうして愛用されつづけたのは、このためです。貧血・冷え性・更年期・食欲不振・肩こり・ストレス疲労・肝臓・糖尿・心臓・病後健康維持etc。
辛夷(シンイ)“こぶし”の花。微量のアルカロイドを含む。鎮静、鎮痛、消炎薬として、頭痛、鼻炎、蓄膿症による頭重感などに応用する。蕾頭痛,頭重感を抑え、特に鼻炎、鼻づまり。
大黄(ダイオウ)タデ科のRheum属の根茎。大腸に作用し、蠕動促進、瀉下作用をあらわす。腸の動きを刺激して便秘を改善する。胃腸の炎症を抑える。イライラなどを鎮めるなど精神面への働きなど多彩な作用をもつ。主として停滞している病毒を下す。したがって、胸腹部の膨満、腹痛、便秘、小便の出が悪いものを治す。また、黄疸、血液の停滞による症状、できものを治す。
甘草(カンゾウ)マメ科のGlycyrrhiza ularensis Fischer根および根茎。鎮静・鎮痙作用・鎮咳作用・利胆作用・抗炎症作用・抗ウイルス作用・抗菌作用,炎症を抑え,のどの痛みを取り除き,咳を鎮める。潰瘍修復作用、抗アレルギー作用、筋肉の緊張を和らげ,急激な苦痛を緩和する。主として急迫症状を治す。したがって,腹部の拘攣,疼痛などの急迫症状を治す。また,手足の冷え,煩悶して落ちつかないもの,体の下から上のほうにつきあげてくるような症状など,さまざまな急迫症状をも治す。
杏仁(キョウニン)あんずの種。咳を鎮め、たんを取り除く。喘息を改善する。便秘を穏やかに改善するので高齢者の便秘にも向く。鎮咳、去痰、緩下を目的とし、喘息や咳、呼吸困難などに用いる。主として胸にたまった水分、痰などを治す。したがって、呼吸困難、咳嗽を治す。また、息切れ,みぞおちのあたりが膨満しつかえて痛むもの、胸痛、むくみなども治す。
桂皮 (ケイヒ)クスノキ科の樹皮。体を温め,軽く発汗を促す。アレルギーや炎症を抑える。血液の循環をよくする。関節や筋肉の痛み,冷え
による腹痛を改善主として体の下から上のほうへつき上げてくるような症状を治す。そのつき上げの激しい一種の心悸亢進発作、頭痛、発熱、軽度の悪寒、汗が出て体痛のあるものを治す。
麻黄(マオウ)マオウ科のEphedra sinica Stapf地上茎。体を温め、発刊を促し汗とともに悪いものを外へだす。寒気や熱による“ふしぶし”の痛み、咳や皮膚湿疹などを改善。発汗、解熱、鎮咳、利尿剤として熱性病やぜんそくの治療によく用いられている。有効成分エフェドリン(アルカロイド)はわが国で最初に研究された植物成分で、喘息治療薬として有名である。主として喘息様の呼吸困難,咳嗽,浮腫を治す。また,悪寒の弱いものや強いもの,汗が出ないもの,身体の痛み,関節痛,全身に黄色がかった浮腫のみられるものも治す。
地黄(ジオウ)アカヤジオウの根。補血、強壮、解熱、止瀉、緩下などの目的で、貧血、吐血、または虚弱を対象に方剤に配合される。主として血液に関連して起こる種々の症候,水分の代謝・循環障害に関連して起こる種々の症候を治す。
細辛(サイシン)ウマノスズクサ科ウスバサイシンの根及び根茎。体を温め、冷えをのぞく。体内にたまった水をさばく。冷えによる頭痛、鼻炎、咳や痰を改善。主として、胸部、横隔膜のあたりに病邪のとどまっているもの、水毒(水分の偏在)を治す。小青竜湯、麻黄附子細辛湯
柴子(サイコ)セリ科のミシマサイコの根。一般に解熱、鎮痛、抗炎作用、ステロイド様作用、肝障害改善作用があり、漢方では胸脇苦満、往来寒熱を呈す疾患(マラリア、黄疸、胸腹部もしくは脇下部の痛み、肝炎など)に他剤と配合して用いられる。主として、心窩部より季肋部にかけて膨満感を訴え,抵抗・圧痛の認められる症状を治す。また、悪寒と熱が交互に起こる熱型、腹痛、みぞおちがつかえて硬く緊張しているものを治す。
芍薬(シャクヤク)ボタン科のシャクヤクの根。生薬の芍薬はひげ根と周皮を除去し乾燥したものである。代表的な薬理作用としては、鎮痛作用をはじめ、抗炎症作用、平滑筋弛緩作用があげられ、筋肉のこりなどに効果がある。主として(筋肉が)硬くなってひきつれるものを治す、血液の循環を促しうっ血による痛みや筋肉の痛み、気管の痙攣も取り除く。腹痛,頭痛,知覚麻痺,疼痛,腹部膨満,せきこむもの,下痢,化膿性のできものなどをも治す。
附子(ブシ)トリカブトの塊根。アコニチンを主体とするアルカロイドを含み、猛毒性であるが減毒して用いる。利尿、強心、鎮痛作用があり、四肢関節の麻痺、疼痛、虚弱体質者の腰痛、下痢、失精など内臓諸器官の弛緩によっておこる症状の復活に応用する。主として水分の代謝を盛んにし、水分の偏在を除く。したがって、悪寒,身体,および四肢の関節痛,重だるいもの,知覚麻痺,手足の冷えなどを治す。また、腹痛,遺精や夢精,下痢をも治す。
よく苡仁(ヨクイニン)ハトムギCoix lacryma-jobi L. var. ma-yuen Stapfの種皮を除いた種子。利水滲湿・清熱・排膿・除痺・健脾止痛・筋弛緩作・抗炎症作用・血糖降下作用。主として浮腫を治す。利水滲湿・清熱・排膿・除痺・健脾止痛。

黄連(オウレン)キンポウゲ科のオウレンの根茎。ベルベリンを主とするアルカロイドを含む。消炎性苦味健胃、鎮静薬として、精神不安、心下部のつかえ、吐下、腹痛、出血などの症状に応用する。主として胸苦しく,煩悶し、動悸がするものを治す。また、みぞおちのあたりの痞え、嘔吐や下痢、腹部の疼痛も治す。
猪苓(チョレイ)サルノコシカケ科(Polyporaceae)のチョレイマイタケPolyporus umbellatus Friesの菌核。主として、口渇があり、小便の出にくいものを治す。 五苓散、柴苓湯、猪苓湯、
生姜(ショウキョウ)ショウガ科(Zingiberaceae)の根茎。主として吐き気がしてムカムカするものを治す。したがって、からえずき、おくび、しゃっくりも治す。鎮吐作用・発汗解表・温中止嘔・解毒
半夏 (ハンゲ)サトイモ科のカラスビシャクの塊茎。漢方では、鎮嘔、鎮吐、鎮咳、去痰などの目的で方剤に配合される。水分代謝を改善する。去痰を促し咳を鎮める。胃の機能を整え、気分を落ちつかせる作用もある。咽喉部の痛み、咳、動悸、腹がゴロゴロ鳴るものを治す
白朮(ビャクジュツ)
キク科のオケラの根茎。漢方でいう水毒を除く要薬として、腎臓機能の減退による尿利の減少または頻数、身体疼痛、胃腸炎、浮腫などに応用する。主として水分の偏在・代謝異常を治す。したがって、頻尿、多尿あるいは小便の出にくいものを治す。また、身体の煩しい疼痛、痰、咳嗽、嘔吐など水毒(体液・水分の偏在)による症状、遺精、夢精、帽子をかぶっているように頭が重くめまいがするもの、下痢、唾をたびたび吐いたり、ダラダラと流すものなども治す。

よく使われる経穴(絵で見る和漢診療学・富山医科薬科大学教授寺澤捷年)