ペインクリニック
             どこが痛くて困っていますか?

肩こり・なぜ肩がこるの?
肩こりの多くは頚部及び肩の筋肉を長時間使うと筋肉がかたくなりそこにある血管が圧迫されて 血液が流れ
にくくなり老廃物がたまり、筋肉がかたくなった(疲労)まま、栄養を血液が運んでこなくなったために起こります。
 主に僧帽筋の疲労、緊張などにより生じ、上肢の単純作業の繰り返し、同一姿勢の保持、不良姿勢、ストレス、
頚椎、目、鼻、歯、などの病的状態よっても引き起こされます。 肩こりの治療はその原因を除去することが第一です。リラクセーション、ストレッチング、等尺運動なども有効です。強いマッサージは単純な肉体疲労による肩こりには効果的ですが、頚部椎間板ヘルニアなどがある場合はかえって悪化するので注意して下さい。

いわゆる肩こりを来たす整形外科的疾患

1)頚椎・頚髄の疾患
 (頚椎椎間板ヘルニア・変形性頚椎症・むち打ち・頚髄腫瘍)

肩こり、手のシビレ感、上肢の外側の神経痛様疼痛、頚部痛、後頭部痛、肩甲部の痛み、前胸部の痛みなどを訴え、たいてい持続性で手のシビレは特有で手背側より掌側に強く,この訴えを聞いただけで診断がつきます。
2)胸郭出口症候群−血管造影・レイノー症状−
3)頚頚腕症候群・肩関節周囲炎・肩手症候群−いわゆる肩こり−

いわゆる肩こりを来たす全身的疾患
1) 循環器 狭心症・心筋梗塞・高血圧・低血圧・動脈硬化
2)消化器 胆嚢炎・胆石・慢性膵炎・慢性胃炎・肝硬変
3)婦人科 更年期障害・心因性不定愁訴
4)神経科 不安神経症・軽症うつ病
5)眼科 眼精疲労・視力障害・緑内障
6)耳鼻科 中耳炎・副鼻腔炎
7)歯科 虫歯・歯周炎
手足のしびれ(ピリピリ、チクチク、つっぱた感じ、つめたい、鈍い、ふるえる、感覚鈍磨)
シビレといっても、いつも神経疾患とは限らないわけで,貧血、高血圧、低血圧、更年期障害、
関節リュウマチ、過喚気症候群など,神経系のどこと病巣部位をはっきり指摘できるような
器質的病変がないもので全身性のものでもいろいろあります。
1) 非神経疾患:貧血、高血圧、、更年期障害、レイノー、ビュルガー病
2) 末梢神茎障害:糖尿病性ニュロパチー ビタミンB1欠乏性ニュロパチー,中毒性ニュロパチー、
              ギランバレー症候群
3) 脊髄疾患頚部脊椎症(頚椎椎間板ヘルヒア)に伴うミエロパチー、 
          後縦靭帯骨化症に伴うミエロパチー、 脊椎炎
 脊髄腫瘍 、筋萎縮性側策硬化症
4) 脳の疾患脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、多発性硬化症、パーキンソン
五十肩(肩関節周囲炎)
40〜60歳代を中心に発症し、はっきりとした原因がなく肩が痛み、可動制限を起こします。その病態原因は、
はっきりしていませんが
老化による炎症が起こったものです。肩関節の関節包、靭帯、腱、軟骨などの障害は少なく
時間はかかりますが、半年、1年の単位で必ず治ります。この五十肩の予防や治療にはゴルフは大変有効です。
手を後頭部や背中に回して組む動作だけでも、かなり緊張がほぐれます。
1kgぐらいの軽いものをもち円を描くように手と肩をうごかす(風呂上り毎日20〜30回)
ぎっくり腰・腰椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症
急激に腰に障害のでるものを総称してぎっくり腰といいます。ぎっくり腰になる場面は腰に不意に力が加わった場合です。
中途半端な姿勢で重いもの持ち上げたり、また歯を磨く時のように 軽く前かがみになったぐらいでもよく起こります。
人間の身体は姿勢さえ整えればかなりの重さの物を持ち上げることが出来ますが不意の力には意外ともろいものです。
腰椎の間のクッション(椎間板)が、大きな力により後ろに飛び出して神経を圧迫する椎間板ヘルニアは坐骨神経に沿っ
て走るような痛み、しびれがあり、クシャミで強くひびくこともあります。
 原則的には安静!安静にしても良くならない
場合は整形外科・ペインクリニックへ行ってください。椎間板ヘルニアの手術法も従来法・顕微鏡下手術・内視鏡手術の
3通りありますが、半数以上の病院が従来法で、次いで顕微鏡下手術が多く、内視鏡下手術をしているのは2割程度です。数年前に注目されたレーザー手術は、脱出したヘルニアには効果がなく、適応が著しく制限されます。
内視鏡手術の登場で医者も患者も簡単に手術を考えるようになっていますが
治療の基本は保存療法です、
とくにヘルニアは痛みが起こってから最低3ヶ月は様子を見たほうがいいと思います。
牽引療法・リハビリ・神経ブロック・ハリ治療などの保存療法で、もっと人間の自然治癒力に目を向ける必要があります。
当院ではほとんどの症例が保存療法で軽快しています。
関節リウマチの診断基準
1)朝のこわばり少なくても1時間以上続く
2)三つ以上の関節に腫れがある
3)手くび、中手指関節(MP),近位指節関節(PIP)の腫れ
4)左右対称性の腫れ
5)手指、手くびの関節の特徴的なX線写真
6)皮下結節(リウマトイド)が認められる
7)リュマトイド因子の確認

  
1〜3までは6週間続く
  以上の7項目の中で4項目以上あれば関節リュマチと診断してよい

多発性の関節炎に加え
内蔵・皮膚での病変とくに心臓(心筋梗塞)・肺(間質性肺炎,肺繊維症)が侵され高熱、全身衰弱がおこり、命を落とす危険もあります(悪性関節リウマチ)

変形性膝関節症
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0歳以上の4人に1人が膝に痛みなどの異常を感じています。そのほとんどは歳を重ねることによって
クッションの役割をしている関節の軟骨がすり減ったり半月板が断裂したりして関節に炎症が起こることが原因です。
膝関節の軟骨が何らかの原因で変性・磨耗して、歩いたり、階段の昇降時に痛みがあり、関節に水が溜まり、関節の安性が悪くなり正座するのがつらい、膝がきちんと伸びないなど日常生活に支障をきたすことがあります。身体の部位で最も衰えを痛感させられるのは下半身、とくに膝です。大腿から膝にかけてはゴルフでも他のスポーツでも最も大きな力を発揮するところ、この障害、衰えは致命的になります。ゴルフのショットは下半身を安定させておいて、上半身を思い切りひねってボールを飛ばします。膝に力が入らなくては飛距離も方向性も期待できません。
膝の強化は大腿四頭筋(膝を支える筋力)をきたえることが大切です。膝や腰の痛みの原因はいろいろありますがどうしても手術が必要だったり、安静が必要でじっと動かずにいなくてはならない時期は別にして本当に痛みから開放されようと思ったらそれなりの努力をしてください。きたえていくための運動が必要です。

          東京都リハビリセンター副院長 林 泰史
       名古屋大学整形外科教授岩田 久