平成14年9月5日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官

平成14年(ネ)第461号 懲戒処分無効確認等請求控訴事件
(原審・神戸地方裁判所平成12年(ワ)第2231号)

当審口頭弁論終結日 平成14年6月25日
                     判          決
  控訴人                           本四海峡バス株式会社
                                      代表者 代表取締役 川真田 常男


  被控訴人                          古川 雅昇、近藤 則明

                     主           文
  1 本件控訴を棄却する。
  2 控訴費用は,控訴人の負担とする。
                   事 実 及 び 理 由   
第1 当事者の求めた裁判

 1 控訴の趣旨
(1) 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。
〈2) 被控訴人らの請求をいずれも棄却する。
(3) 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。
 2 控訴の趣旨に対する答弁
 主文同旨
第2 事案の概要
 事案の概要は,次のとおり付加・訂正するほかは,原判決「事実及び理由」の「第2事案の概要」欄(原判決2頁未行から19頁13行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する。
1 原判決4頁2行目の「締結されている」の次に.「(甲1)」を付加する。
2 同5頁16行目の「被告就業規則の規定内容」の次に「(運転士に関する,上記各処分当時のもの。乙71)」を付加する。
3 同末行の次に改行して「運転士等が次の各号の1に該当する行為を行った場合は,懲戒する。」を付加する。
4 同6頁7行目の次に改行して「懲戒の種類は次のとおりとする。」を付加する。
5 同10行目の「30日以内」を「−7日以内」と訂正する。
6 同7頁1行目の「被告」の次に「(控訴人は,一般の営利会社ではなく,離職船員の雇用確保を最優先するべく本四特別措置法に基づき設立された特殊な株式会社で,その資本金は,明石海峡大橋の開通に伴い影響を受ける一般旅客定期航路事業者十数社が共同で全額出資したものであり,平成12年5月時点で発行済株式総数の54パーセントを全日海が保有している等の特殊な性格を有している。)」を付加する。
7 同4行目の「被告本社に出頭命令を発した」を「控訴人本社へ出頭するよう命令を発した(被控訴人古川自身もこれを違法であるとは考えなかった。)」と訂正する。
8 同8京6行目の「正当な棄務命令とは認められない」の次に「(控訴人がいかに全日海との一体性を強調しても,従業員の組合選択の自由が奪われる理由は全くない。)」を付加する。
9 同9頁14行目の「営業開始当初」の前に「平成10年4月の」を付加し,同16行目末尾の「設立以来」を「営業開始後」と訂正する。
10 同24行目末尾の次に「また,本件違反運転が発覚した経過,殊に,乗客からの通報で陸運支局を通じて通告があったため,その対処をあいまいにすることは運行管理者である控訴人としては到底できず,その後の他の処分事案と単純に比較して著しく重いと判断することは相当でない。」を付加する。
11 同12頁17行目の「有給の懲戒処分であり,」を「有給の出勤停止であり,出勤停止中はもとより休暇中ではない。」と訂正する。
12 同19行目の「明らかである」の次に「(控訴人と被控訴人両名が雇用契約を締結している以上,法定の休日及び控訴人と被控訴人両名が勤務を要しない日として休日と認めた日を除き,被控訴人両名は勤務を要するのであり被控訴人両名から休暇届が出されていないのであるから,上記、の時間帯は当然に勤務時間帯であり,被控訴人両名には職務専念義務がある。控訴人は,被控訴人らに対する各第1次懲戒処分において職務専念義務を免除していない。)」を付加する。
第3 当裁判所の判断
 当裁判所の判断は,次のとおり付加・訂正・削除するほかは,原判決「事実及び理由」の「第3争点に対する判断」欄(原判決19頁15行目から35頁5行目まで)記載のとおりであるからトこれを引用する。
1 原判決20頁14行目の「就航」を「開通」と訂正する。
2 同22頁3行目の「バスの後方に,全港湾組合員らが同行してきたため」をバスの後方を,全港湾組合員らが自動車で追走していることが判明したため」と訂正する。
3 同11行目の「帰属」を「所属」と訂正する。
4  同22,23行目の「明らかであり」の次に「(このことは,控訴人の主張にかかる,控訴人会社の特殊性を考慮しても左右ざれない。)」を付加する。
5 同23頁4行目の「処分事由」の前に「控訴人の主張する」を付加する。
6 同12行目冒頭の「54,」の次に「72,」を付加し,13行目の「徳島陸運局」を「徳島陸運支局」と「同陸運局」を「同陸運支局」とそれぞれ訂正する。
7 同24頁18行目の「発進」を「発車」と訂正する。
8 同25頁8行目の「運転士のうち7,8割の運転士」を「運転士の相当数」 と訂正する。
9 同17,18行目の「本件シートベルト不着用運転について」の次に「乗客から徳島陸運支局に通報がなされ,」を付加する。 から徳島陸運支局に通報がなされ,」を付加する。
10 同19行目の「結果も軽くはない」を「控訴人の信用低下を招き,したがって,結果は相当に重いというべきである。」と訂正する。
11 同23行目の「運転士の7,8割」を「運転士の相当数」と訂正する。
12 同26頁8,9行目の「重きに失し」の前に「前記のとおりの,本件シートベルト不着用運転の発覚の経緯や控訴人の信用の低下を招来したという結果を十分考慮しても,」を付加する。
13 同12・行目冒頭の「もっとも,」を削除する。
14 同16行目の「設立以来」を「営業開始後」と訂正する。
15 同25行目の「同日までに」の前に「同年4月以降」を,「事故」の前に「物損」をそれぞれ付加する。
16 同27頁2行目の「自動車事故」の前に「その後に」を付加する。
17 同24,25行目の「出勤停止処分に含まれる自宅待機ないし自宅謹慎義務に違反するとともに,」を削除する。
18 同28頁3行目から7行目までを削除する。
19 同8行目冒頭の「(2)」を「(1)」に改める。
20  同9行目から13行目までを次のとおり改める。
 「被控訴人らが受けた出勤停止処分については,上記のとおり,就業規則上,「7日以内の期間を定めて出勤を停止し,将来を戒める」と規定されているのみであるから,労働者の就労(そのための勤務場所への立ち入りをも含む。)を一定期間禁止するにとどまり,これを超えて,労働者に対し,その期間中,自宅その他の特定の場所において何らかの勤務をすることを命じるものではないと解される。
 したがって,このような出勤停止期間中においても勤務時間が、存在すると解することはできないから,仮に,被控訴人らが,各第1次懲戒処分による出勤停止期間中に控訴人の主張するような行為をしたとしても,勤務時間中の組合活動の禁止規定(就業規則22条)に違反したということはできないし・勤務時間の存在を前提とする職務専念義務(勤務時間中は職務に専念して他の私的活動を差し控える義務)に違反したということもできない。」
21 同14行目冒頭の「(3)」を「(2)」に改める。
22 同23行目の「被告本社ビル」の次に「(海員会館)」を付加する。
23 同29頁13行目冒頭の「(4)」を「(3)」に改める。
24 同16行目から19行目までを削除する。
25 同22行目の「理由がない」を「違法無効である」と訂正する。
26 同30項 11行目冒頭の「帰属」を「所属」と訂正する。
27 同18行目の「理由がない」を「違法無効である」と訂正する。
28 同19行目の「原告らに対し」から21行目の「図ったもの」までを「被控訴人らを,全港湾組合員であることを理由として不利益に取り扱ったもの」と訂正する。
29 同22行目の「労働組合法第7条1号」から23行目までを「労働組合法.7条1号所定の不当労働行為に該当して違法無効であるから,控訴人は被控訴人 らに対し,本件各懲戒処分によって生じた損害を賠償する責任を負う。」と訂正する。
30 同31頁5行目冒頭の「したがって,,」を「(3)したがって,」と訂正する。
第4 以上によれば,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。



                          判決・命令一覧
                           トップページ