ア 原判決の主文1項ないし第3項を次のとおり変更する。
イ 控訴人会社は、被控訴人(附帯控訴人)中田良治(以下「被控訴人中田」という。)に対し、313万0249円及び内220万3993円に対する平成16年9月26日から、内92万6256円に対する平成17年5月26日から、それぞれ支払い済みまで年6分の割合による金員を支払え。
ウ 控訴人会社は、被控訴人(附帯控訴人)日野隆文(以下「被控訴人日野」という。)に対し、313万1249円及び内220万4697円に対する平成16年9月26日から、内92万6552円に対する平成17年5月26日から、それぞれ支払い済みまで年6分の割合による金員を支払え。
エ 控訴人会社は、被控訴人(附帯控訴人)板谷節雄(以下「被控訴人板谷」という。)に対し、426万1937円及び内300万0809円に対する平成16年9月26日から、内126万1128円に対する平成17年5月26日から、それぞれ支払い済みまで年6分の割合による金員を支払え。
オ 附帯控訴費用は、控訴人会社の負担とする。
(内、平成16年9月25日までに支払われるべき金額が220万3993円、平成17年5月25日までに支払われるべき金額が92万6256円)被控訴人日野 313万1249円
(内、平成16年9月25日までに支払われるべき金額が220万4697円、平成17年5月25日までに支払われるべき金額が92万6552円)被控訴人板谷 426万1937円
(内、平成16年9月25日までに支払われるべき金額が300万0809円、平成17年5月25日までに支払われるべき金額が126万1128円)」
(1) 原判決23頁21行目の「及び」の次の「同」を削除し、同22行目の「現職」を「原職」と改める。
(2) 同24頁3行目から同4行目にかけての「関西支部長」を「関西地方支部長」と改め、同16行目の「決定」の次に「(前訴最高裁決定)」を加え、同22行目の「同月」を「同年3月」と改める。
(3) 同25頁13行目の「支払った」の次に「(ただし、控訴人会社は、前記(4)のとおり、この中から、同年2月28日分として既に支払われた諸手当分を控除した。)」を加え、同行目から同14行目にかけての「首席手当」を「事務兼務手当」と、同16行目の「祝日手当」を「祝日勤務手当」と、同行目の「常務」を「乗務」と、同25行目の「59.0%」を「59.4%」とそれぞれ改める。
(4) 同26頁3行目の「基準内賃金」を「基準内賃金のみ」と改め、同11行目の「労使関係」の次に「(相互信頼関係)」を加える。
(5) 同27頁5行目の「3人」を「被控訴人中田ら3名」と改め、同14行目末尾の次に、改行の上、次のとおり加える。
「(14) 兵庫県地方労動委員会は、同年11月2日、控訴人会社に対し、被控訴人中田ら3名について、自宅待機処置を取り消し、原職に復帰させるべきこと、被控訴人神戸支部との団体交渉に誠意をもって応じるべきことなどを命じた(甲第46号証)。
これを受けて、被控訴人神戸支部及び本四海峡バス分会は、同月16日、控訴人会社に対し、上記命令の履行として、同月25日までに団体交渉を開催することを求めた(甲第47号証)。」
(6) 同16行目の「額」を「金額」と、同18行目の「あることを確認する」を「あることが確認される」と、同21行目の「命じる判決がなされた」を「命じられた」と、同23行目から同24行目にかけての「20万9551円」を「21万3686円」と、同24行目の「21万9204円」を「22万3340円」と、同行目の「22万8996円」を「23万4626円」と、同25行目の「支払ったこと、」を「支払ったが、同時に、その賃金から、同年2月28日分の基準外賃金に相当する金員(被控訴人中田について4135円、同日野について4136円、同板谷について5630円)をそれぞれ控除したこと、」とそれぞれ改める。
(7) 同28頁4行目、同7行目から8行目にかけて及び同10行目の各「同年9月分」をいずれも「平成17年5月分」と、同15行目の「首席手当」を「事務兼務手当」とそれぞれ改める。
(8) 同22行目から同23行目にかけての「確認され、本件解雇前の地位に復帰すべきところ、」を「確認されたものであるところ、被控訴人中田ら3名が運転士として控訴人会社に採用され、本件解雇前まで運転士として勤務していたことにかんがみると、特別の事情の変更がない限り、被控訴人中田ら3名は、運転士としての地位に復帰するのが通常と思われる。しかし、」と改める。
(9) 同29頁5行目及び同12行目の各「3名ら」をいずれも「3名」と、同20行目の「3名に」を「3名を」と、それぞれ改める。
(10) 同21行目の「本四海峡バス分会を結成し、」を「被控訴人中田ら3名が中心となって本四海峡バス分会を結成してその三役に就任し、」と改め、同22行目の「なされた」の次に「もので、業務上の必要に基づかない不当なものである。また、これを被控訴人神戸支部との関係でいえば、」を加え、同23行目の「いうべきである」を「いうことができる」と、同24行目の「不当なものであるから」を「不当なものであり、業務命令権を濫用するものといわざるを得ないから」とそれぞれ改める。
(11) 同25行目末尾の次に「そして、このことは、一般に労働者に就労請求権が認められるか否かという議論とは直接の関係がないものであるし、また、控訴人会社の主張するとおり、控訴人全日海と全港湾との中央本部間において、現在、被控訴人中田ら3名の処遇について協議中であるという事情があったとしても、そのことによって、控訴人会社が被控訴人中田ら3名に対して執った前記の措置が正当化されるとは解されないから、上記認定を左右するものではないというべきである。」を加え、これに続けて、改行の上、次のとおり加える。
「もっとも、基準外賃金の内、通勤手当については、一般に、通勤に要する実費の弁償としての性質を有するものであり、控訴人会社の賃金規定(甲第16号証20頁以下)上も、そのことは当然の前提とされているものと解される(同規定17条参照)。そして、被控訴人中田ら3名は、前記認定のとおり、前訴最高裁決定後、自宅待機を命じられており、現在に至るまで、控訴人会社に出勤した事実は認められないのであるから、この間、通勤に要する実費の支出を免れたとういうことができる。したがって、被控訴人中田ら3名は、控訴人会社に対し、その実費の弁償を求めることはできないということになるところ、証拠(乙第4号証の1ないし3、第5号証の1ないし3、第6号証)によれば、その額(月平均額)は、被控訴人中田について3630円、同日野について7106円であるが、同板谷については0円と認めるのが相当である。」
(12) 同末行冒頭から同31頁17行目末尾までを次のとおり改める。
「(3) そこで、被控訴人中田ら3名に支払われるべき賃金額を算定するに、証拠(甲第2号証、乙第4、第5号証の各1ないし3、乙第6号証)によれば、本件解雇前3か月の平均賃金額は、被控訴人中田につき月額32万9468円、同日野につき月額33万9159円、同板谷につき39万5267円であることが認められるが、上記のとおり、この額から、被控訴人中田、同日野において支払いを免れた通勤費用相当分を控除すると、その額は、被控訴人中田について、月額32万5838円、同日野について、月額33万2053円となる(なお、被控訴人板谷については、上記のとおり、月額39万5267円である。)。そして、上記金額につき、平成12年ないし平成14年の各4月分からの控訴人会社における賃金規定の改定に従って、基本給(本給及び勤続給によって構成される。)、勤務地手当及び事務兼務手当(以下「本給等」という。)をそれぞれ増額し、上記月額賃金に加算すると、計算上、平成15年3月分の賃金は、被控訴人中田が35万0815円、同日野が36万7480円、同板谷が43万9507円となり、同様に平成15年4月分からの賃金規定の改定に従って本給等を増額加算すると、計算上、同月分以降の賃金は、被控訴人中田が35万6048円、同日野が37万2744円(ただし、同年9月分からは扶養手当の減額に伴い37万1744円)、同板谷が44万2597円となる。さらに、平成16年4月分からの賃金規定の改定に従って本給等を増額加算すると、計算上、同月分以降の賃金は、被控訴人中田が36万0456円、同日野が37万5751円、同板谷が44万5738円となる。
なお、控訴人会社は、本件解雇当時と現在では、運転士の乗務時間や残業時間に顕著な差異があり、稼動実績により支給する時間外手当等も大きく減少している旨主張するが、これを認めるに足りる的確な証拠はないから、本件解雇前3か月の平均賃金によるほかない。
以上のとおり、本件解雇前3か月の平均賃金に、その後の控訴人会社における賃金規定の改定に従って本給等を加算し、ここから、前記(1)の控訴人会社の既払賃金額を控除すると、被控訴人中田ら3名に対する未払賃金額は以下のとおり認められる。
被控訴人中田
平成15年3月分 11万6287円
同年4月分から平成16年3月分 月額11万2152円
(合計134万5824円)
同年4月分から平成17年5月分 月額11万2152円
(合計157万0128円)
総合計 303万2239円
(内、平成16年9月25日までに支払われるべき金額が213万5023円、平成17年5月25日までに支払われるべき金額が89万7216円)
被控訴人日野
平成15年3月分 11万2849円
同年4月分から同年8月分 月額10万8713円
(合計54万3565円)
同年9月分から平成16年3月分 月額10万8713円
(合計76万0991円)
同年4月分から平成17年5月分 月額10万8713円
(合計152万1982円)
総合計 293万9387円
(内、平成16年9月25日までに支払われるべき金額が206万9683円、平成17年5月25日までに支払われるべき金額が86万9704円)
被控訴人板谷
平成15年3月分 16万3271円
同年4月分から平成16年3月分 月額15万7641円
(合計189万1692円)
同年4月分から平成17年5月分 月額15万7641円
(合計220万6974円)
総合計 426万1937円
(内、平成16年9月25日までに支払われるべき金額が300万0809円、平成17年5月25日までに支払われるべき金額が126万1128円)」
(13) 同31頁20行目の「最高裁決定の後も、」の次に「また、前記のとおり、原判決後に、兵庫県地方労働委員会が被控訴人中田ら3名の自宅待機処置を取り消し、原職に復帰させるべきことを命じた後も、」を加え、同22行目の「生活は」を「生活が」と改める。
(14) 同32頁4行目の「前訴判決」から同10行目の「相当である。」までを「したがって、被控訴人中田ら3名に対して自宅待機を命じ、出勤をさせない措置が、業務上の必要に基づかないものであり、業務命令権の濫用に該当するものとして、正当化することができないものであることは、前記認定のとおりであり、かかる不当な措置によって、被控訴人中田ら3名が精神的損害を受けたことは、同人らに就労請求権が認められるか否かによって左右されるものではない。」と改める。
(15) 同13行目から同14行目にかけての「第11号」を「第11号事件」と、同17行目の「3名ら」を「3名」とそれぞれ改める。
(16) 同33頁6行目の「被告会社に対し、」を削除し、同7行目の「同月6日」を「同月4日」と改め、同9行目の「これに応じて」の次に「、同月27日に」を加える。
大阪高等裁判所第11民事部
裁判長裁判官 武 田 和 博
裁判官 楠 本 新
裁判官 鈴 木 和 典