名曲座・メジャー篇

VOL.3  「BURN」/DEEP PURPLE  (from “BURN”/1974)

紫の炎
 1974年に発表した8枚目のスタジオ・アルバム、というよりは、第3期DEEP PURPLEの第1弾アルバムとして名高い、“BURN”のタイトルトラック。私にとっては、その後の人生を大きく変えた一曲として、永遠に残るであろう名曲なのだが。曲について語る前に、この頃のPURPLEについて語らなければならないだろう。

 1973年に、イアン・ギラン(Vo)、ロジャー・グローヴァー(B)を解雇したDEEP PURPLEは後任として、TRAPEAZEというローカル・バンドで活動していたグレン・ヒューズをベーシスト(コーラスをとるベーシストとして。これが後々問題になるのだが・・・。)に、そして、ヴォーカルには全くの無名の新人、デイヴィッド・カヴァデールを加入させた。
 イアン・ギラン、ロジャー・グローヴァーが抜けた後、ほとんど未知数の二人が加入したことと『ライヴ・イン・ジャパン』(外国盤は“Made in Japan”)の大成功の反動が心配されたが、それは杞憂に終わることになる。明けた1974年に発表された“BURN”は全米チャート9位まで上昇。見事ゴールド・ディスクを獲得。同年4月8日、カリフォルニア・スピードウェイで行われた第1回「カリフォルニア・ジャム」ではEL&Pと共にヘッドライナーをつとめ、歴史に残る名演を演じたのである。
 成功の原因は、デイヴィッドの持つ、ディープでソウルフルな声と激しい情念(‘MISTREATED’で顕著)、グレンの持つファンキーながらもエモーショナルな声質が新鮮さをもたらしたことが第1だが、アルバム全体ではっきりわかるのは、イアン・ペイス(ds)のドラミングがイニシアティヴを執っていることである。‘BURN’における、彼独特のシンコペーションを駆使したドラムや、‘YOU FOOL NO ONE’でのジャズ・ドラムのような軽妙かつ重厚な叩きには、イアン・ペイスの良さが十二分に発揮されていることがよくわかる。
 しかし、本当にすごいのはやはりリッチー・ブラックモア(G)だ。このアルバムに関しては彼の情念が思いっきりほとばしっている。ブルージーな大曲‘MISTREATED’でもそうだが、究極の様式美ハード・ロック・チューンである‘BURN’至っては、破壊力が桁違いである。‘SMOKE ON THE WATE’同様、印象的なGコードのリフが始まるとそこからリッチーの破壊的情念の世界が奔流となって押し寄せてくる。初めて聴いた時、私はこのリフ一発で打ちのめされてしまった。この曲を聴くまではDEEP PURPLEを聴いてもピンと来なかったのだが、これ以降、リッチーに熱狂するようになりました。
 そして、この曲でのギター・ソロも素晴らしい。バッハのある曲のコード進行を使用したものだが、これまた魂を非常に揺さぶる。といっても、そのあとのジョン・ロード(key)のオルガン・ソロも良いのだが。
 この曲がその後の歴史にもたらしたものは決して小さくはないだろう。のちにリッチーはRAINBOWを結成するがベーシストにコーラスを取らせるようにしたし、後年、出現した、様式美系ハード・ロックバンドも源流をたどればここに至るであろう。1984年には、日本でこの曲をヒントにしたへヴィ・メタル雑誌『BURRN!』が創刊。まさにこの曲はHR/HM史上、エポック・メイキングとなった名曲であろう。
 そして、この曲を初めて聴いた1996年、私はリッチー・ブラックモアという、偉大なる魔術師に尊敬を抱き、今なおあこがれ続けている。この思いは決して変わらないだろう。私の心が燃え続けている限り・・・。(ヴァレーリエ)


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