堕天使 〜Prinzipal der Finsternis〜

第3話 戦友


 岩田は深く腰掛けて、質問を始めた。
「まずは、松島にホームランボール投げさせるために、最初の2球を空振りしたというのはほんとか?」
「あぁ。本当だ。総じて投手、特にエースといわれている奴は、自分が如何にカッコいいかを見せつけようとする人種だからな。ど真ん中を投げさせるには、オレが如何に格下であるかを見せ付ける必要があったのさ」
「100%引っかかると思ったのか?」
「思った。ぱっと見たとき、単純だと思ったから。女の子にコロッといかれそうな、ね」
 そう言って文成は微笑した。いかにも、してやったりの表情だ。
「しかし、あの時俺は用心して内角低めの150kmのサインを出した。読んでいたのか?」
「あれははっきり言って勘。ピッチャーがど真ん中の速球で打ち取りたくても、キャッチャーはそうしない可能性があるからね。投げさせるとしたらインローかな、と。150km以上なら空振りしてくれるだろうと、考えると思ったよ。でも、コントロールミスするとは思ってなかったね。ど真ん中154kmだったんじゃない? ちょっと、焦ったよ」
「そうか? はじめからど真ん中狙いじゃなかったのか?」
「うまく当たった、と思ったよ。オレもバットコントロールをミスしたのかな?」
「それはコントロールミスじゃなくて、きれいに修正できたと言うことじゃないのか?それにしても、木製バットでよく場外まで飛ばしたなぁ。どこにそんな力があるんだ?」
「バットはメープルなんだ。バリー・ボンズが使って以来、日本のプロ野球選手も使い出したけど。堅いし、反発力も良いから好きなバットなんだ。金属バットしか使ってはならないなんてルールはないからな」
「しかし場外へ飛ばすとなると、バットだけじゃ無理だ。金属でも飛ばないぜ。スイングが鋭いだけでもない。フォロースルーといっても高が知れてる。いったい、どうなっているんだ?」
「たった一瞬、ほんの一瞬だけ全身の力を最大限に発揮できるようにするんだ。もっともこれは、他の奴と鍛え方が全然違うから、簡単にはできないけど」
「……ということは、何か?君のポテンシャルは人間離れしているのか?」
「そういうことだね」
 そこへ注文の定食が運ばれてきた。文成が注文した刺身定食は、鮪、ハマチ、イカ、蛸そして鮭のシンプルな刺身に味噌汁、酢の物、香の物とあっさりしたものだった。それに対し、岩田が注文したスペシャル定食は、肉じゃが、白身魚と牡蠣のフライ、ロールキャベツ、ダシ巻き卵、味噌汁と、まるで自分の好きなものを集めたような定食だった。
「すごいなぁ……。一試合やったあとで、こんなに食えると言うのは、あんたすごい胃袋してるなぁ。オレなら絶対無理だ」
 先ほどあれだけの傲慢な態度を取った文成も、岩田の食欲には唖然とした。
「そうか? ま、食欲が無くなったら人間終わりだからな。好物を食えなくなった時が死ぬ時だ」
 岩田が奇妙な哲学を披露した。が、この奇妙な哲学は文成の琴線に触れた様だ。
「目の前の食べ物はともかく、好物を食えなくなったら死ぬ時だ、と言う考えは同感だな。人間、そんなに健康でいられる時間が長いわけじゃない」
「その通り。旨い物はいつでも食えると思って、自分自身のケアを怠ると、早いうちに旨い物が食えなくなる。未成年のお子様なのに、食事制限しなければならない目に遭っている奴等が多いが、そもそもは自分自身の躯に対するケアを怠っているからだ。真に鍛えると言う事は、常に頑強な体を作ると言うより、常に頑健な躯を作ると言う事だ。言ってみれば、砂漠の中でも自分ひとりで楽しく生きていける躯だな」
 これには文成も唸ってしまった。随分と興味をかきたてられる人間だ。しかし、それならこんな興味深い思想を抱いた人間のいる高校の野球部がなぜ初戦敗退したのだろうと、文成は他人事のように考えてしまった。
「なんか、すごくオレのツボにハマる興味深い考え持ってるけど、それほどの哲学を持っている選手を抱えた武蔵学院が、なんで負けたんだ?」
 文成が素直に自分の疑問を提示すると、岩田は箸を止めて文成を見た。目が点になっている。そんな目を向けた。そして、
「……? あ、あはははは。いや、失礼! でも……、ちょっと待って!」
 文成の言ったことがよっぽど可笑しかったのか、岩田は箸を置いて向こうを向くと顔を覆って笑いを堪えようとしていた。彼にしてみれば、いや彼でなくても悶絶しそうな質問だったのか。
 ようやく笑いが収まって文成に顔を向けると、岩田は口を開いた。
「いや、失礼。しかし、負けた原因の君になんで負けたなんて質問されるとは思わなかったよ。ま、ウチに原因があるとすれば、俺のような考えを持った人間はいなかったな。さっきの譬(たと)えになるが、いつでも勝てると思って、自分自身の心身のケアを怠ったために負けたということだな。常に勝つための訓練を真剣にやらなかったと言うわけだな」
「そうとばかりも言えないだろう? でなきゃ、優勝候補と言われないだろうし、大体、9回裏まではワンサイド・ゲームだったんだぜ」
「君はそこを衝いたんじゃないのか?正直、あと一人となって俺も油断したよ。まさか、2アウトから3人もランナーを出すなんて思っても見なかった。そして最後に出てきたのが“絶世の美少女”だった。油断しないほうがおかしい、と言うか、正常な感覚じゃなくなっていたよ」
「オレの色香に参ったと言いたいのか?それはいくらなんでも、あんたたちの問題であって、オレの責任じゃないぜ」
 苦笑しながら文成は返した。
「いや、君のその容姿、結構な武器だぜ。現実にこの甲子園で場外ホームランを打ったんだから、余計にその美貌と華奢な体型が引き立つ。人間誰しも、現実離れしたものに憧れるからな。今の君はシンデレラだよ。傲慢なのが玉に瑕かな」
「ま、顔貌(かおかたち)は両親から受け継いだものだからな。有りがたいと言えば、有りがたいさ。それよりあの時、そして今現在、あの場面で4番の山崎さんがそのまま打席に立っていたら、あっさり打ち取れていたと思うか?」
「意地悪な質問だなぁ。ま、5割の確率でゲームセットになっていたと思うよ。後の5割は1点取られるだけで済むと思うね。少なくとも、逆転サヨナラ満塁ホームランは考えようが無かったよ。そう考えると、君のチームの監督はよくあそこで君を代打に送ったと思うよ。何にもデータが無い君を代打に送ると言う事は余程自分の見立てに自信があったとしか思えないな」
「あの親爺は、オレが打つ自信が無いと言ったら、おまえがダメなら他の奴はもっとダメだと言ったよ。どうやっても、オレを代打に出すつもりだったんだ。いやな言い方するよ」
 苦笑交じりに文成が言った。
「なんだよ、君の監督も結構食わせもんだなぁ。普通に考えたら、4番を引っ込めようとは思わないぞ、3打席無安打とは言え……」
「三度あることは四度ある、と思ったのかな。見切りが良いと言えばそこまでだが。それより、オレも聞きたいことがあるんだけど良いか?」
 文成が遠回しに、これ以上オレの事は訊くなと言わんばかりに岩田の質問を打ち切り、自分が質問する事を求めた。岩田は自分が質問されると思っていなかったから少し戸惑ったが、文成の要求を聞き入れた。
「あぁ、構わんさ。聞きたいことがあるなら何でも言ってくれ」
 鷹揚に岩田は応じた。
「一番気になったことなんだが、自立している人間に対してどうのこうのと干渉する権利は誰も持ってない、と言ったな。あんた、親の援助を受けずに自分ひとりで生きているのか?」
 この質問に、岩田は箸を置き、茶を一口啜ってから腕組みをした。答えかねると言う事か。
「答えられないなら、それでも構わないが」
「いや、答えられないと言う事じゃない。君の言うとおり、俺は、両親はもちろん親類縁者、それからどこかの他人に頼ることなく、自分ひとりで生きている。自分の責任ですべてやっているよ。生活も学業もな。未成年とかその他訳わかんない理由で、他人にごちゃごちゃ言わせないつもりだ。他人に迷惑を掛けてないのにな」
「全く同感だ。義務教育を終えて誰にも頼らず自分で稼いで自活して、その上で好きこのんで高校に入ったんだから、未成年だのなんだのという、くだらない理由でイチャモン付けられたくないな。迷惑を掛けているならともかく、掛けても無いのに言われるから腹が立つ」
「同感、と言う事は君もか?」
「オレの場合は一応後見人はいる。いないと高校に入れてくれないからな。どこの馬の骨かわからない奴を入れるのは、危険性があるとでも思ってるんだろう」
「オレも色々と身元保証人になってくれた人間はいるけど、金の世話にはなっていない。それにしても厄介だよ。たった一人で生きていこうと思ったら、陽の当たるところでは働けないからな」
 岩田はかなり意味深な表現をした。心に引っ掛かりを覚えたが、文成はあえて問わなかった。
 その後二人は互いの事を何一つ訊かず、目の前の定食を平らげていった。食べる事に集中して言葉を交わさなかったが、二人とも無愛想な顔ではなかった。むしろ、生き生きとした表情で食していた。まさに彼らは、「同じ釜の飯を食った仲」となったのである。

 文成と岩田は【だるまや】を出てから、何のあてもなくフラフラと歩いていた。その間、何ひとつ話す事なく、ただただ黙って肩を並べて歩いていた。しかし、そこには険悪な空気もピリピリとした緊張感も無かった。むしろ、何も喋らなくても心が寛ぎ、満たされていった。
(ついさっきまで戦っていた相手と飯食って、肩並べて歩くとはなぁ……)
 こんな状況に文成は驚いていた。平井文成という少年はほとんどの人間に対して距離を取る。容易に他人を自分に近づけようとはしない。本来の文成なら、岩田の後ろに回って距離を取って歩いたはずだ。それが肩を並べるのを厭わない。それどころか、なんらわだかまり無く接している。文成は知らず知らずのうちに岩田に敬意を抱いたようだ。もっと言えば、気を許しているのだろう。
 気が付くと、武庫川の河川敷で二人並んで腰を下ろして川を眺めていた。時間はゆったりと過ぎていった。非常に穏やかな情景が目の前に広がっている。つい先ほどまで文成に凶暴な熱光を照らしつけていた円環はかなり西に傾いてはいたが、それでもまだ沈みそうに無かった。だが、今の文成にはそんなことは全く気にならなくなっていた。
「不思議なもんだな。つい4時間くらい前に、どこの誰かもわからない者に最後の最後に逆転負けを食らわされて、しかも一回戦の第一試合だぜ。本当の初戦敗退だ。なのに、悔しさがまったくない。それどころか、君にものすごく興味を持ってしまった。初めてだぜ、見ず知らずの男と飯を食って、肩を並べてぼんやりと川を眺めるなんて。しかも、変に落ち着くんだ。傲慢な男だとわかっていても憎めない。君はほんとに不思議な魅力を持っているなぁ」
 岩田が落ち着きをもって話した。が、その声音はすこし熱を帯びていて、ややもすると今にも興奮しそうな雰囲気だった。
「オレも不思議な気持ちでいるよ。甲子園を出る前は、正直あんたなんてどうとも思っていなかったんだよ、岩田さん。でも今はオレにとって非常に興味深い人間だよ。なんかようやく、分かり合える人間を得た気がする」
「俺もだ。君を見ていると、なんか戦友という気がするな。共に戦うからではなく、敵同士だったのに戦友になれるというのが、いまひとつ信じられんが」
「もう戦う事がないからじゃないのか?」
「それならなおさら、顔を見たくないくらい気分が悪いよ。でもそんな気持ちに全くならないんだ。やっぱり、場外ホームランを打った瞬間を見たからかもしれないな」
「一億……、いや、一兆分の一の確率で起こる奇跡かもしれない。誰もオレのような女みたいな体型の高校生が打ったとは思わないだろう」
「だから知りたくなったんだ。どうすればあんな奇跡を起こせるのか、いったいどんな身体構造なのか、無性に知りたくなったんだ」
「それで何かわかったのかい?」
 文成がいたずらっぽく笑って言った。こんな顔を男に向けたのはおそらく初めてなのかもしれない。
「たった一つの事しかわからなかったよ。君が途轍もないスーパースターだと言う事しかね。だからこそ、場外ホームランが打てる。今の俺にはそこまでしかわからない。惜しむらくはもう二度と君と対戦できない事だ。三上は勝つまで戦おうとするだろうけど、俺にはもうそんな気持ちが無い。どんなにがんばってもオレは君に絶対に勝てない事を知ってしまったし、第一、君に惚れてしまった。こんな気持ちになると、俺の想いとしてはいつか君を打ち破る事よりも、君が一体どこまで高く昇ってゆくのか、それを見たいよ。君は多分、誰も昇りつめることのできなかった高みに昇りつめるよ。それだけははっきりしている」
 とうとう熱情を迸らせて岩田は語りきった。やはりこの男は最初から文成に心を奪われていたのだ。だから文成の傲慢な言動にも腹を立てるどころか、かえって文成の正体を知りたくなったのだろう。
「……まさか男から告白を受けようとはねぇ……、女の子からは4,5人ほどかな、告白を受けたけど。」
 ニヤニヤ笑いながらも文成は満更でもないと言わんばかりに、さらに続けた。
「オレもあんたのことを知りたいと思ったから、あんたの事を聞いたんだけど、わかったのはたった一つだけ。あんたが信頼できる人間だということだ。ただ同種であるというだけでなく、オレの事を真剣に理解しようとしている人間だからだ。最もそれだけで十分だけどね」
 文成は微笑しながら岩田に向かって言った。内心、見ず知らずの人間に向かって、信頼できると言う自分自身に驚いていた。そんなセリフを吐くことになるとは、まるで思っていなかったからだ。
「うれしいねぇ、君から信頼される人間だと言われるのは。ほんとに君と話し合えたのは有意義だったよ。もう二度と会うことがないのが心残りだ」
「二度と会えないことはないだろう。オレは高校三年間、甲子園には出続けるつもりだし、あんたは大学へ行くかどうかはわからないけど、大学へ行って野球続けるにしたって、高校野球を観に行く暇はあるだろう? その時に今日みたいに飯食って、河川敷で川を眺めながらいろんな話をしてもいいんじゃないのか?」
「すごい自信だなぁ……。君は今回の大会を入れて、春夏5回も出るつもりなのか?」
「オレが誰も昇りつめることのできなかった高みに昇りつめるところを見たいんじゃないですか?そうなるとオレは、たとえ高校が違っても甲子園に出続けたいし、それに5回全部出場して全部優勝したい。あ、今思ったんだが、地方予選勝ち抜くのが大変だなぁ。夏の予選はいいけれど、春の予選は大変だなぁ。秋の大会の成績が良かったチームを選抜するんだから、夏の大会より出るのが大変だ。ごめん岩田さん、春の選抜は出られないかもしれない」
 そう言って文成が本当に困った顔をして岩田の目の前で両手をあわせて謝ると、岩田は吹き出して大笑いした。春夏5回とも出てやると言ったかと思ったら、すぐさま、春の選抜に出られるかどうか心配になってダメかもしれないと、本当に困った顔をして謝ったのだ。文成が意図したのかそうでないのかわからないが、その落差の激しさに岩田は笑いを堪えきれなくなった。
「ははははは。もう、君には絶対に勝てない! こんな芸術的に面白い男を初めて見たよ! も、天性だな! ほんとにさっき、甲子園で場外ホームランを打った男と同じとは思えんよ。ゴンザレスに君の半分、いや、せめて1%でもいいから君のユーモアがあったらいい人間になれるのに……」
「どさくさに紛れて酷いこと言いますね、ゴンザレスって。オレはいくらなんでもそんなことは言えないなぁ」
「あ、汚ねぇ! 一番最初にゴンザレスと言った男が、もうそんなことは言えないとか言ってやがる! まるでビートたけしみたいに逃げるのがうまいなぁ!」
「岩田さん最高だよ。これほど芸術的に乗りがいい人間初めて見たよ。それにひきかえ、わが弘成高の連中は……、ほんとにつまらない奴らばっかりですからねぇ!」
「なんだ、君のとこもわりかし………」
「不健康だね、はっきり言えば。ただウチの場合は優勝するほどの実力もないし、かと言って目を覆いたくなるほど弱いわけでもない。県大会で最高がベスト4、だいたいベスト8には入ってくるという、言ってみれば中途半端に実力があるチームなんだ。なのに、部員がなぜか40人もいる。校内でも人気がある。どうしてなのか、入って4ヶ月になるけど全然わからない。でもはっきり言える事は中途半端な強さでしかないのに、有力校だとか実力校だとか言われてのぼせ上がって、レギュラーと言われている連中は控えや下級生に意味も無く高圧的な態度を取ったり、人を従わせるために変に優しくなったりして、気分悪い事この上ないね」
「随分喋るようになったなぁ、君がそこまで喋るとは思わなかったぜ。でも、マスコミが盗み聞きしていたら盛り上がるだろうなぁ……、『逆転サヨナラ男、平井文成が在籍する弘成高校の信じられない内幕!』と書かれたりしてな」
「新聞、TVではわからないってか?ははははは、まさかこんな事を人に話すとは思わなかったなぁ。岩田さんが悪いんだぜ、先に自分とこの内幕ばらすもんだから、ついついオレもばらしてしまったよ」
「なんだよ、俺のせいかよ!? でも、対戦校同士が内幕を暴露しあうというのも変な話だなぁ」
 互いに大笑いしてしまった。それは一切の曇ったものが無い、心の底から湧き上がった笑いだった。
「文成君、必ずこの大会優勝しろよ。そして、高校三年間で春と夏の甲子園に必ず出て優勝してくれ。君がどれだけ高く昇りつめていくか、この目で必ず見届けるよ」
 岩田が決然として文成に言った。
「追っかけか。必ず見てくださいな、岩田さん。はっきりいって、オレ以上の事をできる奴はこの世に存在しない。高校野球優勝の金メダルを5つ、必ずそろえるよ」
 文成は自信に満ちた貌を岩田に向けて言った。その貌は最初に岩田が見た“美少女”の貌ではなく、誇り高き戦士の貌だった。
 二人はもう一度笑った。そして、互いの右腕をぶつけ合った。すぐに左腕をぶつけ合って、さらに両拳を合わせた。メジャーリーグでよく見られる「バッシュ」と言う動作だ。1980年代後期〜1990年代前期のオークランド・アスレチックス全盛期を支えた主砲、ホセ・カンセコとマーク・マグワイアが「バッシュ・ブラザーズ」と呼ばれたのは、ホームランを打った際、本塁上でこの動作をしたからである。1989年、この二人を軸にした強力打線とデイヴ・スチュワート、マイク・ムーア、ボブ・ウェルチ、デニス・エカーズリーらによる強力投手陣でサンフランシスコ・ジャイアンツとのワールド・シリーズに臨み、カリフォルニア大地震に見舞われながらも見事4連勝で優勝した。
 両腕をぶつけ合わせたあと、文成と岩田は大いに笑った。互いを理解しあえる戦友になったのだと確信しきったのだ。



第4話へ続く



トップへ
戻る
前へ
次へ