雑感雑念

VOL.6 「死んだ熱」を繰り広げるって・・・?
 新聞やTVなどに目を向けると、結構目障り、耳障りな言葉、もしくは言葉遣いが目立つ。英語などでは、いわゆる誤用をよく目にしたり、耳にしたりするのだ。

 例えば、先日の大阪国際女子マラソンの実況でもあったのだが、「・・・先頭の4人の選手がデッド・ヒートを繰り広げています。」と伝えていた。すかさず、私は「デッド・ヒート言うなぁ!」と突っ込んだ。その前の週に行われた都道府県対抗男子駅伝、さらにその前の都道府県対抗女子駅伝でも「デッド・ヒート」がレース中に頻繁に使われたので、そのたびに私は突っ込んだ。
 ちょっと見ただけではいかに激しいかを伝えるのにふさわしい言葉だと思われているらしいが、実は「デッド・ヒート」はとんでもない誤用なのである。

 そもそも「デッド・ヒート」の意味は?答えは「同着」。もともとは競馬で複数の馬(この場合、ほとんど2頭だけど)がゴールに同時に入選することをさすのである。大体スペルが"Dead Heat"死んだ熱なんだからレース中にそんなものがあるわけないのである。にもかかわらず、いかにも激しい競り合いに熱くなっていることを表現するのに、やたらと「デッド・ヒート」という言葉が繰り広げられているのだ。
 このことは10年以上前、大橋巨泉氏が『巨泉のこんなモノいらない?』というTV番組で「英語教育」を取り上げた際に出てきたのだが、いまだに無理解のままTVなどで平然と使われている。

 近年、正しい言葉遣いを、と言う声が良く聞かれるようになったが、もとを糺せば、勉強不足からきているのではないだろうか?難しいことを無理に勉強する必要は無くとも、できて当たり前のこと、必要最低限のこと、知らなきゃ馬鹿にされるようなことは学んでおくことが大事であろう。
 常に知ろうとする事、聴く事。これらを少しずつ積み重ねていくことが後々その人の資産になるのだから・・・。


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