雑感雑念

VOL.9 最後の頂上決戦、第1ラウンド 〜明暗分けた両左翼手の守備〜
 メジャーリーグ・ベースボール、アメリカン・リーグの東地区最後の首位攻防戦となる、ヤンキース‐レッドソックスの第1ラウンドがボストン・フェンウェイパークで行われた。結果は、4−3とレッドソックスのリードで迎えた8回表、ヤンキースはこの回先頭打者の4番・松井秀喜左翼手がレッドソックス先発、ペドロ・マルティネスから右中間、レッドソックス・ブルペンに飛び込む第27号ホームランで同点にすると、指名打者ルーベン・シエラのタイムリーヒットで勝ち越し。9回表には松井がレフトオーヴァーのタイムリー二塁打で貴重な追加点をあげ、6−4でヤンキースが勝利を収めた。ヤンキースの先発、マイク・ムッシーナは6回3失点で勝敗付かず。7回からマウンドに上がり、2イニングを投げた2番手のトム・ゴードン投手が8勝目(4敗)をマーク、リベラが自己最多の51セーブ目を挙げ、一方のマルティネスは7回1/3を投げ9安打、5失点の内容で8敗目(16勝)を喫した。

 さてこの試合、期待通りの手に汗握る好試合だった。得点の仕方も対照的だった。レッドソックスが、3本のホームランで全得点を挙げたのに対し、ヤンキースはタイムリーや犠牲フライで加点していった。ホームランは松井の同点ソロだけだった。1発で決めようとしたレッドソックスに対し、ヤンキースの方は打線を繋いでいったのが印象的だった。

 この試合の明暗を分けたのは、タイトルにあるとおり、両チームの左翼手の守備だった。まず、ヤンキースの松井。6回裏、レッドソックスのケヴィン・ミラー一塁手がレフトフェンス、通称「グリーンモンスター」直撃の打球を放ったが、跳ね返ってきた球を松井がすばやく二塁へ送球してミラーを刺すファインプレーを見せ、先発ムッシーナを援護した。これが効いたか、この回は無得点に終わっている。
 そして対照的だったのが、レッドソックスの左翼手は、現在アメリカン・リーグのホームランダービー・トップのマニー・ラミレス。9回表、2死一塁。松井がレフトオーヴァーのヒットを放ったが、この時、ラミレス跳ね返ってきた球を取り損ねてしまった。ぐずぐずしている間に、一塁走者、ゲイリー・シェフィールド右翼手が生還。貴重な6点目が入った。「たら」「れば」を言うのは禁物ではあるが、もしきちっと捕球できていれば、2死一、三塁で、次のホルヘ・ポサーダ捕手を打ち取り、最終回のサヨナラにつなげることも可能だっただろう。シェフィールドがホームへ突っ込んでいっても、アウトになった可能性のほうが高いだろう。

 宿命の対決のレギュラーシーズン最終決戦、第1ラウンドはヤンキースが競り勝ったが、勝負のポイントとなったのは、松井、ラミレスの守備にあった。さて、第2ラウンドはどうなるのか?ヤンキースは14勝のハヴィエル・バスケス、レッドソックスは11勝をあげている、ナックルボーラーのティム・ウェイクフィールド。どちらも防御率4点台後半と、安定さに欠けるため、打撃戦の予想。しかし、仮に投手戦となったとしても、守備の良し悪しが明暗を分ける可能性は大いにある。いや、このカードだからこそ、守備力の差が勝負の明暗を大きく分けることになると言って良いだろう。第2ラウンド、打撃を見るのも良いが、守備にも注目してもらいたい。ほんのちょっとしたことでも、ちょっとした事が大事になってくるだろうから。


戻る
前へ
次へ