詩集TOP
冬眠
(1965.8〜1966.10)
駄荼懦惰堕
(1967.2〜1968.4)
呪歌
(1968.5〜1968.11)
名前のないもの
(1968.11〜1969.3)
拾遺集
(1969.4以降)
Home |
詩集 名前のないもの 第1章 冬眠 11
足跡
函館山のいただきには
小さな鳥の足跡がひとつ
あの日海は青かった
朝もやの晴れていく街は
海につき出た岬にしがみついて寂しげだった
だあれもいない山の上で
いったいあれは何だったろう
ボクの胸にうかんだ白いもの
津軽と下北のかげを見ながら
出港して行く連絡船に手を振ってみたのはなぜだろう
足の下で
人々の生活が始まる
みんな生きている
ボクも生きたい
ただ生きたい
函館山のいだだきには
小さな鳥の足跡がひとつ
(1966.3.xx)
back
next |