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詩集 名前のないもの 第1章 冬眠 11

足跡


函館山のいただきには
小さな鳥の足跡がひとつ

あの日海は青かった
朝もやの晴れていく街は
海につき出た岬にしがみついて寂しげだった

だあれもいない山の上で
いったいあれは何だったろう
ボクの胸にうかんだ白いもの
津軽と下北のかげを見ながら
出港して行く連絡船に手を振ってみたのはなぜだろう

足の下で
人々の生活が始まる
みんな生きている

ボクも生きたい
ただ生きたい

函館山のいだだきには
小さな鳥の足跡がひとつ

(1966.3.xx)

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