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詩集 名前のないもの 第1章  冬眠  05


 

足のない人間にとって
一日は永すぎはしないか

24時間もある

そぞろ歩きもできない人間にとって
一日は永すぎはしないか

神も神々もない人間にとって
生きることはタイクツすぎはしないか

無限に何もない

反抗する意義も祈る対象もない人間にとって
生きることはタイクツすぎはしないか

 

群を離れた羊にとって
柵のない牧場は広すぎはしないか

無いものは目的だけ

草を食い
不安げにあたりを見回す
やがては夜が
冷たい風にのって
落ち着かない眠りが

やってくるのだろうか

しかし
感じるのだ

無限に何もない

(1965.10.xx)

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