冬眠 (1965.8〜1966.10)
駄荼懦惰堕 (1967.2〜1968.4)
呪歌 (1968.5〜1968.11)
名前のないもの (1968.11〜1969.3)
拾遺集 (1969.4以降)
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帰郷
北のはずれの海峡で ゆっすり ゆっすり 揺られていたら 涙がにじんできたのです
ザッザッギーッ と連絡船は傾いて もうこんなに離れてしまったのです
いいえそうではありません 夜汽車の天井に 蚕のように寝そべって 僕は帰って行くのです
外は不思議な世界です 小さな窓の向こうに 白いものが立ち並んで あれは森かも知れません 雪の野面を風が渡って行くのかも知れません
汽車は走っているのだけれど 僕は帰って行くのだけれど とってもあてどなく 遠い所へ旅をしているようです
ああ 今夜はクリスマスイヴでした メリイ クリスマス 今はもう知らない人になってしまったあなたに やっとわかったのです あなたが好きだったのだということが
(1968.12.24)
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