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詩集 名前のないもの 第4章 名前のないもの 02

頭としっぽ あるいはハタハタの悲しい悲しい物語の後で


ハタハタ
ひれをはたはた はためかせ
泳いでいたのか 頭としっぽ

アニサキスの種
腹の中に宿して蝕まれ
それでもころころふくれて
産み落とす
産み落とす

ハタハタ
死んでしまって
ゆらゆらゆら
敵意も持たずに歯をむいた魚族
骨も残さず
さよならも言わない

ハタハタ
ひれはためかせ
泳いでいたのだな
頭としっぽ

(1968.11.21)

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