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詩集 名前のないもの 第4章  名前のないもの 01

名前のないもの


しゃらしゃら
しゃらしゃら
と降ってきたのは
雪ではなかった
雨でも霰でもなかった
それはきっと名前のないもの
呼びかけているうちに
ただの水になってしまう

自我に凍えて
かじかんで
ひっそりひっそり
マッチを燃やす

いまはもう
雨になってしまって
雨だれ ぽつん
さっきのそれのお弔いに
耳の奥では
しゃら しゃら
しゃら しゃら

(1968.11.19)

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