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詩集 名前のないもの 第3章 呪歌 16

遺書


団結せよ
所属せよ
来世を信ぜよ
進むは極楽 退くは地獄
赤き旗のもとに結集
(けつじゅう)せよ

我はまた
聖書一冊ふところに
首くくらんとうろついて
遺書を書こうと紙さがす

書けたところで
なんになろ
値打ち三文あれば成功

神のみ国は近づけり
来世を信ぜよ
来世信ぜよ
進むは極楽 退くは地獄

地獄の責め苦はいとわねど
浮き世の風が身にしみて
五月の鯉の吹き流し

(1968.11.7)

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