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詩集 名前のないもの 第3章 呪歌 14

見えない満月


宴の後の空が
あんなにうっすらと明るいのは
雲の上に月が出ているからです
今夜は満月

宴の後の空から
細かな細かな水の玉が
しっとりと落ちてくるのは
溶解できなかった心をぬらすためです

酔声のコダマが
さえざえと深夜のキャムパスにひびくのは
移ろいやすい想いの後を
追いかけていくからです

空気の中を
水のつぶたちが乱舞して
雲の上では
今夜は満月

(1968.11.5)

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