〔3〕検査成績証明書/校正証明書
よくある話なのだが、ハサミゲージの見積に際して、その見積書記載金額に対して、別途添付証明書類の作成費用の取り扱いについて、質問を受ける。
添付証明書類を請求した場合、その費用は幾らであるか?ということなのである。
当方の考え方は、ハサミゲージの納品時に、これらのゲージの寸法がどのように仕立て上がっているかを報告するべき義務を負っており、従って、その報告文書が同時に納品添付されなければ仕事が完結しないということなのである。ゲージ製作見積費用には、当然、この報告文書の作成費用が含まれる。
ゲージがどのように仕立て上げられているかは「事実報告」であって、そのため、この報告書というのは「事実証明」の意味を持つ。そのために、出荷前の「検査成績証明書」というタイトルで差s\くせいされる文書になる。
これに対して、特に「校正証明書」というのは、構成という手順を賦敢えての、国家標準との繋がりでゲージがどのように仕立て上げられているかを証明する文書である。
従って、先にいう「検査成績証明書」と「校正証明書」とは全くの別の手順で検査・作成されたものであるのか?という疑問が呈される場合があるのだが、そうではない。
ゲージ製作に際して、その最終的な検査をブロックゲージで行う場合、その検査用ブロックゲージは定期的に校正を受けて、ブロックゲージセット全体が国家標準と繋がりを持たせられているものであるから、そのブロックゲージを用いての最終検査とは、つまり校正手順を踏んでいることを意味する。従って、「検査成績証明書」と「校正証明書」とは、同じ意味をもつものである。従って、私どもでは、「検査成績証明書(兼校正証明書」とタイトルする場合がある。
この「検査成績書(あるいは、校正証明書)」の適正さを担保するのが、検査基準であるブロックゲージの校正結果とブロックゲージの精度管理の適切さを保証する「ブロックゲージ校正管理手順書」と、そのブロックゲージを用いてゲージの寸法検定を行う「ハサミゲージ寸法検定手順書」なのである。事前に文書化されているかどうかは別にして、顧客先から求められれば十分に説明できなければならない。日常業務上のことだから、これらの説明に窮するということは有り得ない。顧客先では、少なくともお金を払って購入する限りは、完全な「商品説明」を受ける権利があるだろう。
もちろん、「検査成績書」でも「校正証明書」でも、書式フリーであって、特にモデル書式というものが定められていないから、そこにどれ程の情報を記載するかは顧客先との間で決まることである。とはいえ、検査成績データの各一がどのような検定手順で求められたかという検定方法手順については明記されていないと具合が悪いと言える。
検査成績書を作成するということは、当方にもその製作データを保全しておくという意味がある。何かの社内事情の所為でもあるのかも知れないのだが、納品後半年も経過してから、このゲージの寸法がおかしいと大騒ぎする顧客先というものが存在する。納品後の顧客先での受け入れ検査を無事通過すれば、原則的には、メーカーの側としては免責されることになっているのだが、クレームの内容によっては、例え納品半年後のクレームに対しても対応しなければならない事例もあり得る。こういう場合に備えて、政策記録を保全しておくことは我が身を護るという意味で大事なことになる。
ずっと以前には、検査成績証明書の定型書式を街の軽印刷屋さんに依頼し作成しておき、手書きで各欄にデータを記載するということをしていたのだが、その費用が掛かり、データの保全にも二度手間が掛かるといったことで、なかなか不便でもあった。
現在では、検査データを書式化するということはパソコンでは如何にも容易で簡便であるわけだから、添付書類の作成に特に手間が掛かる、費用が掛かるということは有り得ないことだから、(費用が掛かる、手間が掛かると言うと、パソコンの活用能力もないのか?と顰蹙を買う時代なのである)、顧客先も、ゲージ屋に対して、自社内での測定機器の管理上必要な文書類は、当然請求されて然るべきことだという時代ではある。
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