ハサミゲージの素材について

 

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 〔4〕ハサミゲージの素材について



 ハサミゲージの素材については、その標準材質として、JIS B 7420 に規定されている通り、SK4相当もしくはそれ以上とされてきた。現行では、ゲージ測定部の焼き入れ硬度がHRc60以上とされているから、その側面から言ってもSK4相当もしくはそれ以上というように材質が求められることになっているのだが、旧のJISではHRc以上となっていたから、かなり強引な解釈によってSK5でも容認されるケースが多く見られた。
 他方、リングゲージや栓ゲージの材質としてSKS3相当もしくはそれ以上と規定されてもいたから、ハサミゲージについても、SKS3材を採用すべきことが求められたりしたのだが、SK4に比べればSKS3は手作業で寸法を仕立て上げるという場合にはその耐摩耗性がいっそう上回っているから、それだけ製作に手間暇が掛かる素材とされてきていた。
 SK3の場合は、その焼き入れ硬度がHRc64位にはなるから、焼き入れ硬度がせいぜいHRc60〜62となるSKS3と比べれば更にハンドラップ仕上げには難渋をきたすから、3種工具鋼でとゲージ材質を指示された場合、自ずとSKS3が選択されることとなる。

 SKS2という、言わば「タングステン鋼」とも指称されたSK工具鋼種があった。
 旧い人なら未だ記憶が鮮明であるだろうが、タップ等の切削こぐに広く採用されていた鋼種で、要するにSK工具鋼の中では最も耐摩耗性に秀でた鋼種であって、従って、この鋼種でハサミゲージを製作すれば耐摩耗性に秀でたものが出来上がると期待する向きもあった。幸か不幸かこの鋼種の焼き入れたものは、遊離砥粒ラップ/湿式の技法で、WA
砥粒を用いてかろうじてラップ加工が可能であるから、逆に言えば、その耐摩耗性というものも十全なものとは言えない程度のものであるから、労多くして効少なしと敬遠されることに終始したのだった。現在では、SKS2製の切削抗議というものはとんと見掛けなくなり、そのほとんどすべてがハイス製となっているのは、材質としての耐摩耗性、刃物工具としての切れ味とその持続性とがもたらせた結論なのであった。

 以上のようなことから、ハサミゲージの材質として、JIS標準規定としてのSK4、実務的な高品質ゲージとしてSKS3というのが、広く採用されることとなっている。

 ただし、ゲージの「価格条件」と言うことが重視され出すと、遙かに価格の安いSK5で製作すれば便宜だということになる。材料価格は遙かに低廉であるし、寸法仕立て時の作業者の心身の負担も遙かに軽減されるから、作り手の側から言えば、それで顧客が満足されるならば、予定調和的に「至福空間」が広がってくれるのである。もっと事態が進めば、S45cやS55cという素材が採用できれば、そして、寸法仕上げの技法としてらっぷ仕立ててではなくて砥石での研磨仕立てで構わないということになれば、いっそうゲージ製作には便宜となる。直ぐに寸法が狂い、ゲージ測定部の磨損は著しいことになって、ほとんど金を払って購入するべきものではないだろうということになりそうなのだが、果たしてゲージ・メーカーがそこまで「堕落」するのか?と問われれば、そういったメーカーでも存続できた時代が確かにこの国ではあったのである。
 
 ハサミゲージの「耐摩耗性」と言うことが強調されるようになってきている時代というものは、一旦購入したゲージの「賞味期限」がいっそう長く保たれる方が好ましいという判断があるのだが、その背景として、社内校正か外部委託校正かという違いはあるにしろ、ゲージの寸法精度管理が重視される時代に至ってきているということがある。

 ゲージを長期に亘って良きコンディションで活用仕様とするならば、いわゆる「置き狂い」ということはあってはならないし、無意味に発錆するということは避けられなければならないし、ワークでの検定の度にゲージ測定部が磨損するということはあってはならないということに至る。

 SUS420J2でハサミゲージ等を製作し始めてもう20年程になるのだが、そもそもがSUS420J2というマルテンサイト系ステンレスの開発がSK工具鋼の代替ステンレス鋼という位置づけであったようで、例えば「ノギス」等に広く活用されてきた素材であって、ゲージ用素材としての適性を有しているものである。現在では、日立金属(株)でHPM38という、更に錆びにくい鋼種が開発されてきているから、素材としてはむしろ一般的なものと評価できる。
 ステンレス鋼というと、SUS304がいっそう一般的でなのであるが、ニッケルが含まれるステンレス鋼はいわゆる「腰がない」素材で、ゲージ製作には全く不向きなのである。
 ステンレス鋼のうち、焼き入れができて、その焼き入れ硬度が最高になる鋼種として、SUS440Cがあるのだか、その圧延が難しいせいかどうか、薄板がない。ナマ材での段階でもその成型加工が非常に困難な「粘り」を呈するから、ゲージ類の1製作には全く不向きなのである。同時に、そこまでの苦労を注ぎ込んでまでゲージ素材とするべき意味があるかどうか?という疑問が付きまとう。
 SUS440Cでゲージ製作を試行するのであれば、ダイス鋼製を試行した方が遙かに意義が大きい。
 そうこうしているうちに、日立金属(株)のSK工具鋼からの生産撤退という事態を受けて、ダイス鋼製を標準とする方向へ舵を切ったわけである。
 JISで規定するハサミゲージの標準材質というものは、実際上は、SK4=YG4。SKS3=SGTであったのだが、日立金属製のSK工具鋼というものは、工場出荷時にはいわゆる「球状化焼き鈍し」を施したものであって、被加工性やその後の形状安定性に対する信頼性には大なるものであるから、ゲージ素材として日立金属製以外のものというのは選択の埒外にあったのだが、そのことは現在でも変わらない。

 ダイス鋼製以外に、ハイス製ゲージというものが考えられるのだが、ハイスの場合、焼き戻しによって焼き入れ硬度を実現するということがフレーム焼き入れでは不可能なのである。


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