§13 用間篇
用間篇では、
「情報収集の方法としてのスパイの用い方」
などが説かれている。  

13-01
「爵禄(しゃくろく)百金(ひゃくきん)を愛(おし)みて
 敵の情を知らざる者は、不仁(ふじん)の至りなり」 
恩賞や費用を出し惜しんで敵情を知ろうとしない者は、
人の上に立つ将の資格は無い。

13-02
「明君(めいくん)賢将(けんしょう)の動きて人に勝ち、
 成功の衆に出ずる所以(ゆえん)の者は、
 先知(せんち)すればなり」 
明君名将が軍を動かせば必ず勝ち
抜群の成果を挙げるのは、
事前に情報を知っているからだ。

13-03
「先知なる者は、鬼神(きしん)に取る可(べ)からず、
 事に象(かたど)る可からず、度に験(ため)す可からず。
 必ず人に取りて敵の情を知る者なり」 
事前に情報を知るには、祈っても星占いしても、
先例から類推してもダメで、
必ず人を使って情報収集することが肝要である。

13-04
「三軍の事、間(かん)より親しきは莫(な)く、
 賞は間より厚きは莫く、事は間より密なるは莫し」 
軍の中で、将の信頼の最も厚いのも、賞与の最も多いのも、
任務の最も機密を要するのも間者である。

13-05
「微妙(びみょう)に非ざれば
 間の実を得ること能(あた)わず」
ちょっとした兆候からでも真相を看破できる能力が
なければ、間者から真実を聞き取ることは出来ない。

13-06
「惟(た)だ明君(めいくん)賢将(けんしょう)の
 能(よ)く上智を以て間(かん)と為す者にして、
 必ず大功を成す」 
優秀な人物を間者として使いこなせる明君名将のみが、
必ず大きな成果を挙げることが出来る。


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