§02 作戦篇
作戦篇では
「無意味に戦争を続けないために、
 効果的な戦争決着を考えなければならない」
ことを説いている。

02-01
「凡(およ)そ兵を用うるの法、日に千金を
 費(つい)やして然る後に十万の師(し)挙(あ)がる」
軍隊を動かすには膨大な戦費が必要である。

02-02
「勝つも久しければ則(すなわ)ち兵を鈍らし鋭(えい)
 を挫(くじ)く。久しく師を暴(さ)らせば則ち国用足らず」
戦争が長期化すれば、戦力が消耗し士気が衰える。
長期間戦場に軍を張りつけておけば国の財政が窮乏する。

02-03
「兵を鈍らし鋭(えい)を挫(くじ)き、
 力を屈し貨を弾(つく)せば則(すなわ)ち
 諸侯その弊(へい)に乗じて起こる」 
戦力が消耗し士気が衰え、国の財政が窮乏すれば、
周辺の諸侯はこの疲弊に衝け込んで
兵を挙げることになる。

02-04
「兵は拙速を聞くも、未(いま)だ巧(たくみ)の
 久(ひさ)しきを賭(み)ざるなり。夫(そ)れ兵久しくて
 国に利するは未だ之有らざるなり」 
多少作戦にまずい点が残っても速やかに決着をつければ
成功するが、戦いを長引かせて良い結果は得られない。
そもそも戦いが長引いて国に利益をもたらした例は無い。

02-05
「尽(ことごと)く用兵の害を知らざれば、
 尽く用兵の利をも知ること能(あた)わざるなり」 
戦争によって生じる弊害を知らない者は、戦争によって
どんな利益が得られるのかを知ることは出来ない。

02-06
「善(よ)く兵を用うる者は、役(えき)は再びは
 籍(せき)せず、糧(かて)は三たびは載(の)せず。
 用を国に取り、糧を敵に因(よ)る」 
名将は徴兵や糧秣調達を計画的に効率化を図る。
しかも軍需品は輸送するが、食糧はなるべく
現地調達する。

02-07
「国の師に貧(ひん)するは遠く輸(おく)ればなり」 
国の財政が戦争で窮迫するのは、
遠征部隊の糧秣を運ぶからだ。

02-08
「敵を殺すものは怒(いかり)なり」 
兵士を敵との戦いに駆り立てるのは
敵愾心(てきがいしん)である。

02-09
「敵の利を取るものは貨(か)なり。故に
 車戦(しゃせん)して車(くるま)十乗(じょう)以上を
 得れば、其の先ず得たる者を賞すべし」 
敵の物資を奪い取り活用するのが有効である。
だから、敵の戦車を捕獲する戦果を挙げた時は、
真っ先に手柄を立てた者に賞を与えなければならない。

02-10
「兵は勝つを貴(とおと)び久しきを貴ばず」 
戦争は勝つことが重要で、長く戦うことではない。


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