わたくしのホームページ

森林生産システム屋のホームページ

このWebページは、森林から木材を生産するシステムについて、さまざまな情報を提供するために開設したものです。1999年7月に,はじめて開設したものです。良くわからないことや未経験なことが多々あるわけですが、とりあえず、開設して、関係の皆様の情報交換に少しでもお役に立てればと考えます。皆様のご援助を心から期待しております。なにごとによらず、率直なご意見をお寄せいただければ幸いです。
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アクセス
架線集材法と路網集材法
労働生産性を最高にするために
路網計画用ソフト 2005年6月1日改定
向井林業の間伐伐出2004年
滝上伐出作業功程調査 2006年1月
ハーベスタで伐倒した樹木を架線で集材する間伐作業2010年7月
最近のMenziMuckのエクスカベータとハーベスタ2010年7月
ドイツWelte社製タイヤ型フォーワーダ 北海道紋別の佐藤木材2010年9月
20mスーパーロングリーチマン 北海道浦幌の北村林業2010年10月
大型メッシュバケット北海道滝上町2010月9月
向井林業の間伐伐出
2004年におこなわれた功程調査のまとめ(京都大学、新永智士)
向井林業が行っている間伐作業は、全機械化作業で山岳地域の小規模林地間伐方法として優れたやり方です。
高密度路網の敷設、小型プロセッサ、グラップル、クローラ型フォーワーダなどを駆使した少人数作業です。レポートをpdfファイルにしてあります。
滝上伐出作業功程調査
平成18年1月に厳冬の滝上町伐採現場で、滝上町第Vセクター(株)グリーンたきのうえの4人のメンバーと森林組合の林君と一緒に調査したデータのまとめです。バイオマス搬出費なども計算しております。
チェーンソー伐倒→トラクタ搬出→大規模土場での造材→トラック運材という北海道の典型的な大型機械を使った大規模伐採システムです。レポートはpdfファイルと功程計算エクセル表とその使い方をつけています。
架線集材法と路網集材法

木材収穫法を大別すると、架線集材法と路網集材法に分けることができる。わが国の森林が大部分山岳地にあるために、従来は架線集材法が主に用いられました。
しかし、架線集材法では架線の架設・撤去という作業に多くの人手を要し、大変コスト高になるために、最近では、めっきりその使用が少なくなりました。
その代わりに架設・撤去の簡単なタワーヤーダーを用いた軽架線が用いられるようになりましたが、まだ、わが国では思わしい結果を得ておりません。
ところで、同じ山岳国のオーストリーでは、高馬力のタワーヤーダーと材処理用のクレーンプロセッサーをトラック車台に搭載して、1時間あたり10立方以上としいう処理能力を実現しています。「オーストリーの伐出技術」に詳しい記述があります。
小面積皆伐で、チェーンソー伐倒1名、荷掛け手1名、タワーヤーダーとプロセッサー兼用オペレーター1名の計3名で作業が行われ、材が林道まで運ばれて玉切りされます。
玉切りされた材はあまり貯まらないうちにグラップルクレーン付き運材専用トラックに積み込まれて運び出されます。
どうやら、最近のヨーロッパ中部の山岳地では、このタイプのシステムが定番になっているように思われます。これを現在の架線集材法と呼びましょう。
このシステムを筆者は1999年6月にスパン150mくらいの現場を実見しましたが、そのとき、サイクルタイムを測ってみますと約4分でした。
すると、1時間に15回と言うことになります。大体全木一本ずつの搬出でしたが、1本あたり0.8立方ということでした。
これで計算は合うわけですが、ここで見逃してはならない重要な点は、この一回あたりの運搬材積なのです。
このシステムで運搬回数を増やすことはまず不可能ですから、架線集材能率は単純に木の大きさに比例するわけです。
要するに、小さな木を収穫していては合わないということです。
わが国では、まだ十分な路網ができていない森林が多く残されています。
それで、この種の軽架線を用いることさえ困難な場合が多いのですが、すでに路網が整備され、このような選択も可能な森林も見られるようになっております。
さらに、もっともっと路網が整備されて、路線間隔が50m以下の平行路網のような形に整備されてくると、その段階では、軽架線は不要になり、ほとんどロングアームのハーベスタまたはプロセッサーだけで収穫作業ができるようになります。
この形の収穫法を路網集材法ということにします。
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労働生産性を最高にするために

森林作業を構成するときに一番大切なことは、全体を通しての労働生産性、つまり、1人あたり1日出来高を最大にすることです。
今、プロセッサーが多く用いられるようになりました。
これは,枝払い作業が楽になるからです。
枝払い作業は手がかかりますし、危険な作業でもあります。
これが、プロセッサーでやればあっという間にできてしまいます。
皮肉なことに枝が多い部分はあまり売値の良い部分ではありませんので、なおさら頭にくるわけです。
その部分はいっそのことチップにして山にばら撒いた方が良いのかも知れません。
そういうことで、プロセッサーが多く使われるようになりましたが、実は、このプロセッサーという機械は大変能力の高い機械なのです。
このプロセッサーが大変の処理時間が早いために、常時動かすだけの材が集まってこず、遊んでいる時間が長い現場が多いようです。
プロセッサーをせっかく入れても、その他の機械が昔のままなものですから、全体としては、昔のまんまの能率にとどまっているのです。
大切なのは、全体の作業を通しての1人あたりの能率です。
伐倒、木寄せ、枝払い、玉切り、集材、選別、運材など、一本一本の木、それぞれに、これら全部の工程を経なければならないわけですが、これらの順順にやっていく作業では、全体を通しての1人あたり生産性は、その各々の作業工程の1人あたり生産性(1人1時間あたり出来高)のうちの一番低い生産性より、さらに低くなります。
したがって、一番低い生産性の工程をなんとか改善しなければならないわけです。
つまり、ネックの部分を消してしまう必要があるわけです。
ということは、結局、各々の作業工程の生産性を揃えなければいけないというわけです。
ですから、プロセッサーを入れて、造材工程の生産性を上げたであれば、その前の集材工程、伐倒工程などもなんとか引き上げなければなりません。
その後の運材工程もまたしかりです。
でなければ、枝払いが楽になっただけで、お金にはならないわけです。
もちろん作業は途切れ途切れでもかまわないわけですが、とにかく、全体の必要作業時間を全体の延べ作業員人数で割った値、つまり、1人あたり、時間あたり最終出来高(労働生産性)を高くしなければ、お金にはならないのです。
もうひとつ労働生産性を高めるための大切な要因は、木の大きさです。
もともと、木が大きいほど労働生産性が高いことは皆様良くご存知のことですが、機械作業の場合は、スピードが速いだけに、これが大変大きく影響します。
石まわりの大きな木を伐採木に選ぶということは、機械作業では最も大切なことかも知れません。もっとも機械にかからないほど大きな木では、どうしようもありませんが。
とにかく、ここで言いたいことは、エンピツみたいな小さな木は収穫するべきではないということです。
素性さえよければ、残して育てる方がよっぽど賢いのではないでしょうか?
この収穫対象木の大きさということは、従来はあまり重要視されなかったのかもしれませんが、機械作業では、機械の性能を揃えることと同じように大切な要因です。
その他、以下のようなこともあります。
全体にかかわる作業員の数が少なければ少ないほど、1人あたり生産性は高くなります。
全体の工程数が少なければ少ないほど全体を通しての生産性は高くなります。
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路網計画用ソフト
2003年12月8日
森林作業路網支援ソフトを作りました。自由にお使いください。
森林作業路網シミュレート・プログラムにできることWhatItCanDo.pdf
このソフトは二つのプログラムを持っています。
MapJob(MapJob.exe へのリンク)と
AutoRoad(AutoRoad.exe へのリンク)
MapJob は、ASCIIタイプの地形データを元にして、以下のような作業をするプログラムです。(ASCII地形データのサンプル)
1)等高線図を作る
2)オルソ航空写真とのオーバーレイ表示(オルソ写真サンプル)
注意 このサンプル写真データはjpegタイプですので、bmpタイプに変換する必要があります。
3)傾斜区分図の作成とオーバーレイ表示
4)崩壊危険性の高い地域や、生態系保存の理由で路線を通すことを避けたい地域などのマーキング
5)林小班の境界線の記入と林小班名の記入
AutoRoadは、MapJobで作られた等高線図などの表示機能を用いて、以下のような作業をするプログラムです。
1)電線、集材架線、公共道路、既設道路の書き入れ
2)縦断勾配と建設費用などの情報を見ながら適当な計画路線を描く
道路建設費用の計算根拠である地面傾斜度による建設単価表は自由に変更できます。
3)伐区の境界と伐区名の記入
4)各伐区内のメッシュ中心点から最短直線集材距離線の表示と特定の伐区の平均最短直線集材距離表示
5)林小班内のメッシュ中心点から作業路までの最短直線の表示と特定林小班内の平均最短直線距離表示
6)等高線図の3D表示
7)各路線の路線データ
8)各路線の設計3面図
操作法など詳しいことは、チュートリアムを見てください。
Tutorium.pdf へのリンク こちらはpdfファイルです。
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ハーベスタで伐倒した樹木を架線で集材する間伐作業
1998年のオーストリアのレポートにハーベスタで伐倒をして、トラック搭載型の集材機で集材をする実験のレポートがありました。このような場合でもチェーンソー伐倒による場合よりも相当に有利になることが示されています。pdfレポートへ
最近のMenziMuckのエクスカベータとハーベスタ
山岳地で使用できるという脚式のエクスカベータやハーベスタとして、KeiserのSpyderやMenziMuck社の機械が知られていますが、最近はかなり進歩したものになっているようなので、説明パワーポイントを作ってみました。ハーベスタpdfレポートへ なお、同様の機械でHighlanderというのがオーストリアのKonrad社から出ています。
ドイツWelte社製タイヤ型フォーワーダ クローラ型かタイヤ型か?
雨の日などに滑りやすいということで、日本ではタイヤ型よりクローラ型がこのまれるようであるが、本当にそうなのだろうか?
クローラ型は縦には強いが、横滑りには弱い。その上、クローラ型はタイヤ型に較べてコスト高になることは良く知られていることである。
北海道紋別の佐藤林業ではドイツWelte社製コンビ・マシーンを昨年から使用している。
この機械はグラップルつきフォーワーダで、荷台にクラムバンクを取り付けて長材の集材にも使用できる。
また、後方に2個のウインチと荷台の一部に地引き集材用アーチを内蔵しており、1台で集材作業の全てをこなすことができるように設計されている。
作業操作はすべて2本のジョイスティックによって行われる。エアクッション座席は180°自由回転でどの位置にでも固定できる。したがって、好きな方を向いて運転することが出来る。
エアコンつきキャビンは快適である。
チェーンを巻いた大径タイヤは縦にも横にも強いようにおもわれる。
 平成22年10月はじめ
20mスーパーロングリーチマン 浜松のイービジョンエンジニアリング社製
急斜面集材には高密度路網とロングブームグラップルの組み合わせが最適であろうと思われる。
急斜面の作業路は道による斜面崩壊を避けるべく道幅を狭くせざるを得ない。したがって、使用機械も小型にならざるを得ない。
それで、斜面からの集材はワイヤロープによる地引き集材にたよることになる。しかし、この作業は玉掛け作業員に急斜面を上下に動くという負担をかけることになる。とくに上方斜面からの下げ荷集材の場合には、荷掛け索を斜面上方に引き上げなければならないという力仕事の負担がかかる。
このスーパーロングリーチマンはその20mのブームによって、その負担を大幅に軽減してくれる。少なくとも、ブームの届く範囲内では玉掛け手は不要である。
ただ、この機械は45クラスの本体が必要なので、作業路幅が2.5m以上必要になる。
この機械が使えれば、算術的には50m間隔の作業路があれば、ほとんど玉掛け手を必要としない。
北海道浦幌町の北村林業で見たスーパーロングリーチマンの写真を掲載する。平成22年10月はじめ
  
林地残材収集用大形メッシュバケットの試作(平成22年9月)
北海道紋別郡滝上町では、林地残材有効利用促進事業によって古くから林内に放置されている多くの伐採残材を収集するために、大形のメッシュ型バケットが試作された。
林内に捨てられている残材は通常のバケットやグラップルで集めると土砂も一緒に付いてくるために、後のチッピングにも不都合でチップボイラー用燃料としても不適当である。
この土砂を収集時に篩い落とすために、メッシュタイプの大形バケットが試作された。詳細なコスト分析についてはなお計測中であるが、作業のやりやすさはかなり改善されているようである。

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