2001/04/11作成
絶乾バイオマス比
対立木材積および対素材材積絶乾バイオマス比、絶乾バイオマス比の計測手順、調査データの分析
対立木材積および対素材材積絶乾バイオマス比
伐採によって発生するバイオマス量(枝葉・端材合計量)を樹種別に次の二つのバイオマス比で記載します。
バイオマス絶乾重量/立木材積(バイオマス立木材積比)、バイオマス絶乾重量/素材材積(バイオマス素材材積比)
この形にした数値を係数として、伐採される予定の立木材積または伐採後に原木市場などで測定される素材材積に掛け算をするとおおよそのバイオマス量を掴むことができます。右側の欄には、全木集材をした場合に土場に集積される両バイオマス比を記載します。各項目の右側の欄(間伐丸太追加全量)は丸太も全部バイオマスにした場合の全バイオマス比です。除伐・間伐材を全部バイオマスとして使用する場合にこの数値を使えます。
伐採による発生量(kgf/m3) | 全木集材集積量(kgf/m3) | ||||||||
枝葉・端材合計量 | 間伐丸太追加全量 | 枝葉・端材合計量 | 間伐丸太追加全量 | ||||||
樹種 | 分母 | 平均値 | 標準偏差 | 平均値 | 標準偏差 | 平均値 | 標準偏差 | 平均値 | 標準偏差 |
スギ | 立木材積 | 109.2 | 42.2 | 437.5 | 63.4 | 43.9 | 20.2 | 372.2 | 79.0 |
素材材積 | 142.2 | 77.0 | 537.8 | 103.4 | 45.6 | 26.8 | 375.0 | 29.5 | |
ヒノキ | 立木材積 | 152.2 | 40.8 | 464.9 | 80.1 | 152.2 | 40.8 | 464.9 | 80.1 |
素材材積 | 258.2 | 151.6 | 893.7 | 167.8 | 214.5 | 151.6 | 594.7 | 70.2 | |
カラマツ | 立木材積 | 131.2 | 20.7 | 653.4 | 49.3 | 63.0 | 17.9 | 585.1 | 49.3 |
素材材積 | 168.1 | 64.3 | 759.6 | 64.3 | 67.6 | 22.1 | 659.2 | 22.1 | |
トドマツ | 立木材積 | 164.2 | 27.2 | 540.5 | 48.4 | ||||
素材材積 | 220.0 | 54.6 | 714.5 | 54.6 | |||||
広葉樹 | 立木材積 | 87.5 | 27.0 | 650.0 | 91.8 | ||||
素材材積 | 97.2 | 44.4 | 694.7 | 44.4 |
このデータは1999/10〜2001/1の間に林野庁「バイオマス資源の利用手法に関する調査」プロジェクトで調べたものです。詳細は、林野庁の調査報告書「平成11年度 バイオマス資源の利用手法に関する調査」および、同じタイトルの平成12年度のものを参照してください。後者は平成13年4月11日現在、原稿とりまとめの段階です。手に入れたい方は日本林業技術協会の鈴木圭氏に連絡してみてください。
絶乾バイオマス比の計測手順
ご参考までに、私たちが調査した際に行った絶乾バイオマス比の計測手順を掲載しておきます。2年間の計測の間に次第に固まってきたものです。
本調査手順は、立木材積絶乾バイオマス量比または対素材材積絶乾バイオマス量比を求めるためのものです。これを算出するために集材木(立木)1本毎に以下のように計測します。
計測する立木はできるだけ、胸高直径が広い範囲に広がるように大きさの広く異なるものを選ぶことが肝心です。計測個体数は少なくとも10本以上はとって下さい。
1.土場に搬入された各伐採木の長さ(樹高)と胸高直径の測定、先折れを記録する。できれば、先折れのないものを選ぶ方がよい。やむを得てければ折れた先の長さを計測しておく。
2.造材後、丸太の材積を測定(末口2乗法)する。
3.枝葉の重量計測、タマコ(チョーカー索)またはモッコを用いてグラップル等にロードセルを介して吊るし枝葉重量を計測する。
4.丸太および端材の重量を別々に同様にして計測する。
5.各部位の含水率測定用資料を採集する。枝葉と、端材および各丸太の先端部分を厚さ2cm程度の円盤に切り取って含水率を求めるための試料とする、採集した資料は直ちに電子秤等で少なくともグラム単位の精度で重量測定(生重量Gw)をしておく。
6.実験用乾燥器によって重量が変化しなくなるまで乾燥させて重量(絶乾重量Gd)を計測し含水率を算出する。含水率は部位によって異なるのが普通なので、これを枝葉、端材、丸太毎に各部位資料の絶乾重量配分で含水率の平均値を計算しておく。
7.枝葉、端材別に絶乾重量に換算し、立木材積および素材材積に対する絶乾枝葉量比、絶乾端材量比、絶乾バイオマス量比を算出する。ただし、絶乾バイオマス量比=絶乾枝葉量比+絶乾端材量比 である。間伐材のバイオマス利用を考えて、丸太の絶乾比重も求める。
この作業には、造材のためのプロセッサーと計量や資材の運搬、土場整理などを行うグラップルは欠かせ増せん。いずれも0.45m3クラスの大きさのものが望まれます。ロードセルと表示器は必携品です。また、含水率資料の重量を計る電子秤等精密な秤の用意が望まれます。