神様仏様―――・・・いや、もっと現実的にいこう。先輩、何で私にこんな仕打ちを!!



「何故私に興味を持つなんて血迷った行動に出たわけでしょうか? 選り取りみどりで綺麗なお嬢さん方が周りにわんさかと寄ってくるでしょー!!」

ここ最近、何を思ったのかことあるごとに構ってくる、無駄に顔の良い男を睨みつけた。
しかし、全く効果は見られず、にっこりと笑みを浮かべた。

「選り取りみどりって言うんなら、もう選んだけど?」
「私以外でお願いします!!」

切実に!!
だって私は平穏無事な学校生活を送りたいのよ。
こんなのと一緒にいたら嫉妬、恨みの対象になってしまう!!

「何、好きな人でもいるの?」
「へ? いな・・・いや、いる! います!!」
「今いないって言ったよね?」
「言ってません! 心の底から大事な人が・・・!!」

そう! 私は自分が大事だ!!

しかし、先輩は私の必死の訴えにも全く気にとめる様子はなく、あっさりと言った。

「まあ、そんなの気にしないけど」
「して下さい!!」

ていうか、いつの間にか近寄って来てる?!
距離をとろうとすると、腕をつかまれ阻止された。

「・・・半径1メートル以内に近付かないでください」
「嫌だよ。触れられないとおとせないじゃない」
「いかがわしい言い方をしないでください!!!」
「でも、既成事実って言葉があるくらいだし」
「それはそういう意味で使う言葉じゃないと思います!」
「そういうって?」

突っ込まれ、答えに窮する。
そんな私の顔をじっと見て、それから実に綺麗な笑みを浮かべて言った。

「そういう始まり方があっても、いいんじゃない?」
「他の人の場合なら」

他人の恋愛に口出しする気はない。
が、それが自分に降りかかってくるとなると勿論話は別。
好きでもない人の為に、厄介ごとを背負い込む気はさらさらない。
相手の性格が悪いのなら尚更・・・!!

「私は先輩なんて―――」
「黙って」

何とか逃げようとする私の言葉を遮るように先輩はそう言って、唇を塞いだ。





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