―ブイ・ドイ―
アメリカではジョンがベトナム戦争における混血児達の救済活動を行っている。
会議場では、混血児達の姿が映し出された巨大スクリーンを背にジョンが演壇に立つ。
(ジョンの最大の見せ場です。《ブイ・ドイ》=ごみくず。 う〜んっっ。いろんな方が
おっしゃるように、この歌もう少し訳なんとかならないものか!すごくジョンが偽善者に
聞こえるのです。アメリカ人のやなところ、『自分らがやっといて今頃なにぬかす!』
と言いたくなるんですわ。すいませんっっ。口の悪いワタクシ。
坂元ジョンはどうしても営業のプレゼン。今井ジョンは大統領の政見演説でしょうか。
自分の好みから言いますと、やっぱり岡ジョンが一番しっくりくるんですよねえ。
片手をあげて映像を指し示す時、はっとします。)
講演終了後、キムの生存と子供の存在を知らされ、とまどうクリス。
(なぜ生存を喜ぶ前に『どうしよう?』なの〜?キムが死んでたほうが良かったの?
あれだけキムを愛してたのに。ああ、腹が立つ!)
妻にすべてを打ち明けることを決意する。
―バンコク―
バンコクの歓楽街。ここは変わらずにぎわいを見せている。
しかし、かつてはGI、今は観光客。客層はすっかり様変わりした。
安キャバレーの客引きの中にエンジニアの姿。
表向きは愛想よく呼び込みをし、内心はこのままではどうしようもないとため息。
(キャバレーのオーナーに『もっとバンバンバンバン客いれろ!』と怒られるのですが、
市村エンジニアは『客?一杯入っています。』と劇場の観客を指し示します。
橋本エンジニアは『あ、唾飛んだっっっ。』だったと思うのですが...。)
ふと目をやると目の前に待ち望んだ懐かしい顔が...。『ムッシュ・ジョン!?』
(市村さん、『く〜っ!』と泣きまねをしたあと、岡ジョンに飛びつきます。
まるでひょろ高いユーカリの木にしがみつくコアラのような格好で。笑。)
キムに会い、なんとかクリスの現状を話そうとするジョン。
しかし、あまりにも一途にクリスを慕い待ち続け、嬉しげに子供に話しかけるキムの姿に
結局は何も言い出せずにいる。『自分に出来ることはただ会わせることだけ。』
ジョンが立ち去った後、『なぜ逃がした!』と地団駄を踏むエンジニア。
『居場所を見つけてやるから、会いに行け!』と言い残し、部屋を飛び出す。
―ナイト・メア―
蒸し暑いはずの部屋。なぜか寒気を覚え、我が身を抱きしめるキム。
やがて仏壇の後ろから現れるトゥイの亡霊...。
(初めて目にした時、どきっとしました。しかしこの白塗りのオバケメイク、明るい場所で
見ると相当笑えるらしく『稽古場で一生懸命歌えば歌うほど笑われて切なかった。』
と泉見氏はインタビューでおっしゃっていました。)
―脱出―
大使館閉鎖で大混乱の職員達。
移住許可証を受け取り、これからの生活に思いを馳せる幸せそうな二人。
(この非常時にのんきにベッドではしゃいでる場合か!とジョンではありませんが
ワタクシ思わずつっこんでしまいました。)
荷造りして待ってろと言い残し、自分の銃を手渡して大使館に戻るクリス。
戻るやいなや撤退を知らされ、慌てて電話に飛びつく。
しかし電話はつながらない。まさにその時キムは大使館前にいた。
押し寄せる群集の中で『兵士の妻なの!お願い!入れて!』と叫ぶキム。
『残るぜ俺は!彼女を連れ出す!何故俺だけ助かるんだ!』
大使館から飛び出そうとするクリス。(井上氏すごい声で叫び、暴れまくってます。)
『今は戦争なんだぞ!』ジョンに殴り飛ばされ引き止められている。
フェンスを境に、手を伸ばす群集と彼らに銃を向ける兵士達。
(キムの姿はないかと、フェンスのそばで必死になって探しつづける井上クリス。)
爆音とサーチライト。ゆっくりと最後のヘリが着陸する。
次々と乗り込むアメリカ兵。『連れて行ってくれ!』と泣き叫ぶ群集の声、声、声。
キムの名を叫ぶクリスの声は、ヘリの爆音にむなしくかき消される。
離陸するヘリ。絶望に崩れ落ちる人々。
― それがあの夜、クリスの最後の記憶...。―
夜明けが訪れる。懐かしいあのアオザイに袖を通しながら、
悪夢を振り払うように『クリスはもう側にいる。また愛は生まれる。』と歌うキム。
(29日。最後にショールをかぶるのですが、松さんは絶妙のタイミングではらりと
髪から肩に流すのです。うわあっ!と思いました。)
ジョン達のホテルの部屋番号を手に現われるエンジニア。
キムは部屋を飛び出してゆく。
―エレン―
ホテルに向かうキム。キムに会いに行くクリスとジョン。
雑踏で彼らはすれ違う。それが悲劇の始まり...。
喜びに胸躍らせ、部屋のドアをノックするキム。中には一人のアメリカ女性が
ベッドに腰掛けている。(ANZAエレンは割りと普通にくつろいでいるように見えましたが
高橋エレンは不安気でとても落ち着かない様子でした。)
『私はエレン。クリスの妻...。』
愕然とするキム。せめて子供だけは引き取って欲しいとエレンに懇願する。
はじめは夫婦で何とかすると言っていたエレンも、『無理よ。私もクリスの子供が欲しい。』
つい本音をもらしてしまう。(松キム。ANZAエレンが相手の時はなんだか恫喝している
ように見えてしまうぐらい激しかったのですが、高橋エレンは同じぐらい激しいですから
もう情念の世界です!高橋エレン。頭ではキム達を何とかしてあげたいと思っていても、
キムに対する嫉妬で混乱する複雑な女心が垣間見えます。)
『あなたのせいで、あの人が私達を捨てるというのなら、
タムがブイドイであの子に未来はないというのなら、
あの人は今夜私達に会いに来るべきよ!自分の口で言うべきだわ!』
―告白―
一人取り残されるエレン。
『一夜の遊びなんかじゃない。今もあの娘はあの人のことを真剣に愛してる。
あの娘もつらいはず。助けるのよ。でもどうすればいい?
奪われるなら私も戦うわ!でも憎めやしない。知らなければ良かった...。
ではあの人は?彼の心はどうなの?』揺れ動くエレン。
部屋に戻ってくるクリスとジョン。キムに会ったことを告げるエレン。
(高橋さんはこの時、無理に笑顔を浮かべ平静をよそおうとしていました。
こわばった顔がとてもつらそうです。)
『あの子は子供をよこすつもりよ。あなた隠し事が多すぎる。
キムに言って!その口から!結婚はしていないと!』
(ANZAエレン。クリスを責め立てています。
高橋エレン。『君ひとりだ。』と言われ、後ろから抱きしめられると、少し怒りが
和らいだ様子で穏やかに尋ねます。『あの子はどうするの?あなたの子供を
産んだ人よ。あなたは一体どちらをとるの?彼女?私?』)
椅子に座り込み、話し始めるクリス。
『泥沼の中であの子にひとときの夢と安らぎをみつけた。アメリカ人の俺ならあの娘を
守れるはずだったのに!俺は失敗した!なにもかも!』(身喰いするかのように激しく
嘆く井上クリス。高橋エレンは「やっと話してくれた」というような様子でよりそい、
慰めています。)
『甘すぎる。君達はそれでいいかもしれない。でも子供はどうするんだ?』
苦い表情のジョン。(そのとーり!!思わずジョンに拍手。)
『彼女らはバンコクに残して援助しよう。』『彼女もわかってくれるわ。』
(井上君と高橋さんは手を取り合い、赦しを請うように、すがるように岡ジョンをじっと
みつめています。)
抱き合う二人。苦い顔のジョン。キムの悲しい姿がオーバーラップする。
― なつかしいキス。あなたの声。もう届かない私の夢。
せめて、せめてお願い!あなた今夜タムを迎えに来て...!―
(松キム。とにかく子供だけは!と必死な母の姿です。
知念キム。よるべない、孤独で今にも消え入りそうな程途方にくれているキムでした。)
―アメリカン・ドリーム―
キムの帰りを待ちわびるエンジニア。
『あの人は来るわ。私は荷造りして最後の仕事よ。』静かに答えるキム。
(『やったなあっ♪一緒にアメリカに行こうなあっっ♪♪』と無邪気にはしゃいでいる橋本
エンジニア。その姿を見ているとなんだか哀れに思えてくるんです。
キムの声が聞こえる気がします。『ごめんね、ごめんね、エンジニア...。』)
― 俺の親父は入れ墨師でした。
オフクロは麻薬で舞い上がり、身を売りました。
そしてガキの俺はオフクロの客引きでした...。―
はじめて語られるエンジニアの過去。
リムジン、シャンペン、アメリカで開くクラブ、夢が次々に語られる。
(市村氏は悲哀をにじませ、おさすがです!必ずアメリカで成功してやる!という
意気込みまんまん!いえ、やるに違いないエンジニアです。
橋本氏は盛り上げるのがほんとに上手い!でかいので派手!目立つ目立つ!
でもやっぱり夢は夢で終わりそうなんです。橋本エンジニアは...。笑)
―忘れないで―
息子にミッキーマウスの赤いトレーナーを着せ、髪をとかしてやる母。
『タムいい子ね。パパがあなたを迎えにくるわ。忘れないで。ママにキスを...。』
(この曲、CDとかなり違いますよね?曲はともかく、歌詞はCDの方が好きです。
「見てタム。ママ幸せ。」こちらの方が素直に泣けます。
「お前の命、決めるのは誰でもないこの私。」ちょっと待ったーっ!!子供に選択肢を
与えるのは親かもしれませんが、命も人生も決めるのはタム自身でしょう。
これでいっぺんに冷めてしまいました。泣けない〜っっ!)
タムに帽子を被らせ、扉の向こうのクリス達の元へと送り出す。
クリスの銃を取り出し、カーテンの向こうに消えるキム。部屋に響き渡る銃声。
飛び込んでくるクリス。姿を見せぬようタムを身体で覆い隠すエンジニア。
― タムを...つれていって....。―
それが最後の願い。
こと切れた身体を抱きしめ、キムの名を呼ぶクリスの声が響く。ただ空しく..。
【サイゴンあれこれ】
(伸びた...ゝゝ。果たしてこれが観劇記になっているんだろうか??)
これだけぶちぶち言っているのにこの長さって一体....。
いやあ、これだけ頭の中で補足を加えながら観た芝居も初めてです。
― 嗚呼、脱力感...。―
井上クリスの熱演にほだされて、ついだまくらかされそうになりましたが(笑)
こうやって観劇記を書いていますと、〈この男、やっぱりキライだ〜!〉
逃げてばっかり。行き当たりばったりも甚だしい!
PTSDになってしまったのは気の毒だとは思いますが、あんただけじゃないわ〜っっ。
『サイゴンは修羅場』。あんたは平和なアメリカに逃げ帰ればいいかもしれないけど
その修羅場でキムは一人でずっと戦ってるのに、一年で見捨てるのは早すぎる!
(しつこく言いますが決して井上君のせいではないんですけどゝゝゝ。)
ホテルでの告白。「ちょっときいていい?クリス、エレン、あんたら何しに来たん?」
と思わず心の中で尋ねましたわ。クリス〜ゝゝあんた一体エレンに何を話したん?
彼女は何もしらんし、何も話し合ってないじゃないのよおお〜っ全部ばれてから
『ふたりはバンコクに残して援助しよう。』はないんじゃない?ものすごい脱力感...。
なんで芝居でこんなにかっかしているんだろう...?ワタシ(T‐T)
― 嗚呼、不憫...。―
ちょっとでも良いように書いてあげようと思っていたんですが、書けば書くほど不憫さが
増してくる泉見トゥイ(笑)。ほんとに純愛一途(へたすりゃストーカーゝゝ)。
妻がGI相手の元娼婦と発覚したら、権力者としては致命的なスキャンダルですよね。
それでもいいっていうんだから、キムのこと真剣なんだなあ。しかし、泉見トゥイなら
キムのことをとやかく言う奴は、すべて不幸な事故にあわせそう(爆笑)。
(『まかせておけ!みんなメコン川に浮かべてやる!』とか言って、現実やりそうだわ。)
―マキバオー来襲!―
なんじゃそれ?と思われますよね(笑)。悪名高きあのヘリコプターのことです。
よく『白いイヌの顔に見える。』と皆さんおっしゃいます。
『マキバオーが降りてきた...。』(ご存知ですか?《ミドリのマキバオー》たれぞう
ちゃん。イヌのようなカバのような競走馬のマンガです。もう笑いをこらえるのが必死!
『あかんっっ吹き出しそうっっ苦し〜っ』極力ヘリを見ないよう、見ないようしていました。
一体その小さいヘリに何人乗り込むの?と思いましたねえ。
(いらないなあ。タラップと爆風とサーチライトだけあったらいいんじゃないかと。)
それでもやっぱりはまってるんですよねえ。DVDが欲しい〜(T‐T)。