― 見えた現実 ―
(一幕終了時の四人のポーズの続きから始まります。)
ポーズをキープするのに段々疲れてきた四人。『あつい。』ぽそっと斉藤ぱぱ。
ひくーい声で再び『あ゛ーつーい...。』ポーズを崩す四人。段々現実に気付いてくる。
『太陽の下で見ると彼違って見える。』『よく考えりゃ、あいつただ隣に住んでただけだ。』
それぞれの嫌なところがどんどん目についてくる。やることなすこといちいち気に障る。
それを振り払うがごとく、無理にはしゃいで父親達を馬鹿にする子供らの姿に、沢木ぱぱ
は遂に我慢できなくなり、ぽそっとつぶやく。『マヌケ...。』
『は?なんておっしゃいました?』笑顔をひきつらせながら井上マットが聞き返す。
とうとう企みを全部ばらしてしまう沢木パパ。
『ハ、ハックちゃん...っ。ハックちゅあああ〜んっっ』ねばっこーい斉藤ぱぱの悲鳴が
響きわたる。請求書の金額に腰を抜かす父親達。
初めは信用しなかった二人も明細を読んでいくうちに血の気が引いてくる。
激怒するルイーザ。そして現われるエル・ガヨ。精一杯の虚勢を張って嫌味を言うマット。
『青二才』と鼻で笑われ、頭に血が上る。(井上君『僕の剣を!』とカッコよく手を差し出す
のですが、本当に手渡され『ええっ?!ほんとに渡すのっっ??』という感じでうろたえて
おりました。)斬りかかっても適当にあしらわれ、剣の稽古をつけられてる始末。
結局返り討ちに遭ってしまう。
― 旅立とう! ―
希望と期待に満ちた曲《T can see it》エル・ガヨとマットのデュエット。(こんなにテンポ
が早かったでしょうか?)
さあいくぞ!と意気込んだ途端、速攻ヘンリーとモーティマーにとっつかまってしまった
マット。あれよあれよという間にまるめこまれて拉致されてしまう。(オヤジギャクの連打。
お客さんは本当に引き潮に乗って劇場の最後尾まで引いておられました。さぶっ!)
― 月日は流れて ―
マットはまだ帰らない。なんだかすっかり老け込んでしまったかのような沢木ぱぱ。
『また壁を作り直す!』と大喧嘩したあの時の元気はどこへやら。二人の父親達のパワー
は最早なく、残った娘もずっとふさぎ込んでいる。
再び娘の前に現われる悪漢約一名。
『そんな木の上で何してるの?』初めはにらみつけた娘も何気に声をかける。
『何が見える?』『ああ、何もかもね。』おだやかに答える男。
(箱を三つ重ねてその上で二人は話してるんですが、後ろで水野氏が崩れないようにずっと
支えておられました。)世の中目で見えるものばかりではないと話している男に対して、
その言葉の裏に隠された意味を理解できず、どこまでも幼いルイーザ。
『つれてって!いろんなものを見たいの!いろんなことを試してみたい!....。そうよ、
わたしって、酷い、悪い、変な女の子なの...。でも!』(泣き笑いのように声を詰まらせる
ルイーザ。なんだか可愛いんですよね。)
― 回れ、回れ ―
ルイーザは男に一枚の仮面を手渡される。それをつけると彼女は真実が見えず人に対して
傲慢で残酷な性格に変わってしまう。
イタリア、エジプト、インド、世界が見える。そこにはヘンリーとモーティマーにおもちゃに
されているマットの姿がある。(『たすけて〜。』と情けない声で逃げ回っている井上君。)
仮面をつけた彼女には見えているのにマットを認識できない。それどころかもっとやれと
はやし立てている。
― ちょっぴり苦い現実 ―
『荷物をまとめてくるわ!ここで待ってて!』走り出そうとするルイーザ。彼女を呼びとめ
戻ってくるという証に彼女の母親の形見のネックレスを預けてくれというエル・ガヨ。
迷った末、男に預け家に戻るルイーザ。
そして、男の前にぼろぼろのマットが現われる...。『放蕩息子のお帰りか?』
男の手にルイーザのネックレスを見つけ、『盗んだな!』と叫び掴みかかるマット。
しかしやはりいいようにあしらわれてしまう。立ち去る男。
ルイーザが戻ってきた時、男の姿はどこにもない。
『置いていかれた...。』声もなく泣き崩れるルイーザ。(『みんなあたしを置いていく。
ママも、マットもみんな。』そんな声が聞こえてきそうです。)
『泣くなよ。』聞きなれた声がする。振り向くとそこには懐かしい後姿が...。
おだやかに語り合う二人。(低く静かに歌い始める井上君と泣いてるかのように声を震わせ
ながら歌う美帆ちゃんのデュエット。好きだなあ。)怪我を気遣うルイーザ。
― 雪が降る ―
今年初めての雪が舞う。身体を震わせる彼女にコートを差し出すマット。
『二人で入れるわ。』身を寄せ会う二人。
ちょっぴり大人になって、ちょっぴりほろ苦いハッピーエンド。
幸せはすぐそこに...。あなたが(君が)そばにいるならば...。
【カーテンコール】
二度の観客参加のトライ・トゥ・リメンバーの大合唱の後、二瓶さんから楽日の挨拶。
次に一言もしゃべらなかった水野ミュートに話がふられました。
『僕にマイクをっっっ。』すぐさま美帆ちゃんと井上君が自分達の頭についているマイクを
曲げ伸ばし、水野さんにくっついてフォロー。(笑)なんだか可愛かったです。
― 斉藤ぱぱ最高!―
とにかく声だけで笑っちゃうのです。水遣りのシーンではあのまったりした声で
『かわいいお花ちゃーん。口を大きくあけて〜。あ〜ん。』
(舞台上のお客さんに注いでいます。お客さんもまた口を開けてます。)
『可憐な花が咲いたー。』ナイスフォロー!おとーさん!
―どうしても参加してしまう客(笑)―
ルイーザが『女性の方が早く成長するのよ。ねえ?』と舞台上の女性客に同意を
求めます。すると女性客は一斉に首をこくこくと。(みんなおかしすぎる〜。)
―ステージベンチシート―
芝居に入り込むには不適切な席でした。なにせほとんど役者さんの背中ですから
セリフが聞き取りにくいっっ。(稽古場で見学させてもらっているという感じでしょうか。)
座席は結構ゆったりしています。私は一番上でしたが、ラストに後ろのセットがいつの
間にか下げられて背中には空間。ふと斜め下を見ると見事に床!(ちょっと恐怖。)